脈々と受け継がれる伝統を使える贅沢。Navajo Rug(ナバホラグ)

ネイティブアメリカンであるナバホ族のシルバージュエリーと並んで伝統的な工芸品として知られるのがナバホラグ。昔と変わらない手間暇を惜しまない手法には、伝統と魂が受け継がれている。

旧さゆえの圧倒的な存在感と最上級のクラフトマンシップ

1
こちらはLARRY SMITHのアトリエにある小部屋。室内は、ヴィンテージファニチャーで統一されており林田氏が自ら現地で見つけてきたネイティブアメリカンのアーカイブも並ぶ。壁に掛けられたベストは、ナバホラグを使ったもので、1934年7月の文字が入る希少なもの。インディアンジュエリーでも使われているバタフライがセンターにあり、そのサイドにはエイトポイントスターがあるデザインで、非常にバランスがよく、凝っている。
2
上はピクトリアル調の羽根とスカッシュブロッサムを組み合わせた珍しいデザイン。自然界にあるものをモチーフにして、抽象的なパターンにすることが多いので、実物を忠実に再現した柄はピクトリアルと呼ばれている。
3
こちらは第二次世界大戦時にナチス・ドイツがシンボルとして使ったものと類似していたため、ネイティブアメリカンたちが使わなくなったスワスティカ。4つのLを組み合わせたものだと言われ、年代判別の大きな鍵となるモチーフだ。
4
こちらはLARRY SMITHがパートナーシップを組んでいるトレーディングポストであるTOADLENAのラグ。ナバホラグは、トレーディングポスト毎にある程度のデザインやカラーリングが決まっており、このTOADLENAは、ナチュラルな染色にこだわっているため、ベージュ、ブラウン、グレーが基調。このようにバランスよく文字を組み込んでいくことは非常に難しく、レベルの高い織り子が多いことでも知られる名門だ。
5
ナバホラグの名うてとして知られるトレーディングポストであるTOADLENAのアートワーク。すべて現在の織り子が編んだものであるが、昔とまったく同じ手法であるため、ヴィンテージと遜色ない。右の人形のように木を組み立てたシンプルな織り機で、作品によっては数カ月掛けて製作されていく。LARRY SMITHではこの素晴らしい伝統工芸品を身近に取り入れてほしいとの思いから、自らがチョイスした古材のフレームを製作し、アートとして飾れるように提案している。柄とサイズによってプライスは異なっている。
6

普遍的な部分に惹かれます

7
●林田吉史氏(Yoshifumi Hayashida)
LARRY SMITH/Owner
アパレルメーカーに勤務する傍ら、独学でシルバージュエリーを学び、LARRY SMITHをスタート。米国でも評価される数少ない日本人シルバースミスだ。
今も昔も変わらないアメリカで高い評価を受ける唯一の日本人アーティストである林田氏。ライフワークとして集めているナバホラグの魅力は、新旧問わず、変わらないことだと語る。
「もちろんヴィンテージも素晴らしいのですが、遜色ないくらい現代のナバホラグも高いクオリティを持っています。そういうものってないじゃないですか。今でも羊から育てて、羊毛を刈って、糸を紡ぎ、何日も掛けて作っていきます。同じ柄でも織り子で微妙に違いますし、本質的にリッチなものだと思います」
【DATA】
●Larry Smith
電話:03-5794-3755
http://larrysmith.jp
※本ジャーナルは、『CLUTCH Magazine Vol.56』の内容を再編集したものです。
(出典:『CLUTCH web』、写真:Kazuya Hayashi 林和也、文:Shuhei Sato 佐藤周平)

この記事を書いた人
CLUTCH Magazine 編集部
この記事を書いた人

CLUTCH Magazine 編集部

世界基準のカルチャーマガジン

日本と世界の架け橋として、国外での販路ももつスタイルカルチャーマガジン。本当に価値のあるモノ、海外記事を世界中から集めた、世界基準の魅力的コンテンツをお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

【Willis & Geiger×2nd別注】ミリタリーとサファリが香るアーバンアウトドアウエア

  • 2025.09.17

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 90年代のアーカイブをデザインソースに、上品さを加えてアップデート。ウールメルトンジャケット[メトロ ウォーカー] ...

【BIG SMITH×2nd別注】米軍の名作バッグをデニムで再構築! 経年変化が楽しめるデニムのエプロンバッグ。

  • 2025.09.22

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! BIG SMITH × 2nd ワーカーズエプロンバッグ 1940年代のアメリカン・レッドクロス(米国赤十字社)が製...

Pick Up おすすめ記事

【Willis & Geiger×2nd別注】ミリタリーとサファリが香るアーバンアウトドアウエア

  • 2025.09.17

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 90年代のアーカイブをデザインソースに、上品さを加えてアップデート。ウールメルトンジャケット[メトロ ウォーカー] ...

【BIG SMITH×2nd別注】米軍の名作バッグをデニムで再構築! 経年変化が楽しめるデニムのエプロンバッグ。

  • 2025.09.22

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! BIG SMITH × 2nd ワーカーズエプロンバッグ 1940年代のアメリカン・レッドクロス(米国赤十字社)が製...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...