ローファーは雑に毎日履けて、そして、ディスコで踊れる靴! 「Pt.アルフレッド」オーナー・本江浩二さんのローファー考

  • 2025.07.06

これまでに様々な革靴を目にし、足を通してきた革靴巧者にローファーについて語ってもらうと、それぞれのローファーに対する考え方や認識の違いが見えてきた。今回は、「Pt.アルフレッド」オーナー・本江浩二さんに貴重なコレクションとともに、存分に語ってもらった。

「Pt.アルフレッド」オーナー・本江浩二|恵比寿の名店「Ptアルフレッド」のオーナー。旧くからの常連はもちろん、若きトラッドマンたちからの人望も厚い良心的な存在。本誌の巻末連載「バイオグラフィー」の案内人でもある

「ローファーは雑に毎日履けて、そして、ディスコで踊れる靴」

恵比寿で30年続く老舗「Ptアルフレッド」のオーナー本江さんは大のローファー好き。学生時代から、彼の足元を支えてきたローファーへの愛を伺う。

「50年も前ですが、学生時代の私は、国産よりアメリカ、そんな考えを持っていたのでスニーカーは『コンバース』や『スペリートップサイダー』、ローファーも『ジーエイチバス』を履いていました。70年代には、『オフィシャルプレッピーハンドブック』がでたこともあり、本に載っていたことを真似してボロボロの靴にガムテープを巻いていたほどに、アメリカに強い憧れを抱いていました。

革靴も様々履いてきましたが、一番に履いていたのはローファーです。毎日のスタイリングでも、ローファーを履く時は、ローファーに合わせてスタイリングを考えていたほど、自分のスタイルの中心となるアイテムでした。20代の頃は、よくディスコなんてところに行っていたのですが、マイケル・ジャクソンの「スリラー」で『ジーエイチバス』のローファーを履いて踊っていたという話は有名だと思いますし、私もディスコに行く時はいつもローファーを履いて行っていました。スニーカーよりもきちんとしていて、革靴よりも動きやすい、ちょうど良い靴でしたね。

その時から、いまもあまり変わりませんが、私にとってローファーはサンダルのようなラフな存在で、革靴とはまた認識が少し違っていたと思います。ローファーの由来でもある“怠け者”という言葉ではありませんが、気楽に、雑に履いてこそローファーなのではないでしょうか」。

今回、ご用意いただいたローファーでも一番に目に入ったのは4足の「パラブーツ」。すべて同じモデルの[ランス]でした。

「40年くらい前に、雑誌か何かでナイジェル・ケーボン氏がやけにボリュームのあるローファーを履いているのを見かけて、『なんだこれは』と思いましてね。仕事柄、話を聞ける人も多かったので、調べていくうちにその靴が『パラブーツ』の[ランス]だと分かったのです。これまで履いていたローファーとは違い、モカ縫いとソールが印象的で、履いてみたらその歩きやすさにも感動し、何足も買い直して履いています。

ローファーは楽に履ける靴だというところが魅力だと思っていますが、紐がないからこそ、フィッティングが難しい。このスウェードのローファーは『ジェイエムウエストン』なのですが、店でフィッティングしてもらい購入したものの、本当にぴったり過ぎて、血だらけになりながら履いていました。スウェードだったので多少の柔らかさはありましたが、人生の中でも、特別きつい思い出のあるローファーですね。

しかし、ここ20年ほどですね、僕も年齢を重ねましたので、ローファーは楽な靴なのだから、なるべく我慢をしないようにしています。もちろんゆるゆるで履くことが良いというわけでありません。

仕事柄、ローファーフィッティングの相談を受けることもあるのですが、どれくらいの頻度で履くかによっても足の馴染みは違いますし、週に1度しか履かないのであれば馴染むまでに時間がかかると思いますので、ゆるすぎるものはもちろん避けつつ、靴を足に合わせるのではなく、中敷や靴下の厚みで調整するサイズをおすすめすることが増えてきました。自分もソールを歩きやすいものに変えたり、履き心地を大事にしています。楽さが、ローファー本来の魅力ですからね」。

本江さんがディスコへ行く時は、いつもローファーを履いていたそう。そんな思い出を語りながら、ムーンウォークのフリ。その飾らない姿勢が、いまも人を惹きつける要因だろう
所有するローファーの中で、いまでもよく履いているという12足をお持ちいただいた。ローファーを履く時に大切にしていることはTPO。いつ、どこで、どんな目的なのか、そこに合わせた靴選びが重要だという
本江さんが長年愛用してきた「パラブーツ」の[ランス]。現行品ではもう手に入らないネイビーカラーが特にお気に入りとのこと。
以前に「オールデン」を取り扱っている「ラコタ」でいただいたという銀製のローファーのキーホルダーと、アメリカのシューズメーカー「セバゴ」で配布されていたペニーローファー用コインを見せていただいた。長年、業界に携わってきたからこそ入手できた貴重なアイテムばかり。それにしても、物持ちが良すぎませんか?

(出典/「2nd 2025年6月号 Vol.212」)

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

CLUTCH Magazine, Lightning, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

モヒカン小川

Lightning, CLUTCH Magazine

革ジャンの伝道師

モヒカン小川

ランボルギーニ三浦

Lightning, CLUTCH Magazine

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

アオイちゃん

Lightning, CLUTCH Magazine

チーママ系エディター

アオイちゃん

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

なまため

2nd(セカンド)

I LOVE クラシックアウトドア

なまため

みなみ188

2nd(セカンド)

ヤングTRADマン

みなみ188

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

おすぎ村

2nd(セカンド), Lightning, CLUTCH Magazine

ブランドディレクター

おすぎ村

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部