1.「エイアンドエフ」会長・赤津孝夫さん
「エディー・バウアーを知ったのは1970年代初頭のまだ会社を立ち上げる前、当時読んでいた雑誌に載っていたんです。初めて知ったのはその時だったかな」
そう話をしてくれたのはエイアンドエフの赤津会長。父親の影響でハンティングからアウトドアの世界に足を踏み入れた。
「このダウンは初めてシアトルへ行った1973年にエディー・バウアーの本店で買いました。当時は重厚で高級志向な雰囲気のお店でしたね。この短めのすっきりとした丈感が気に入ったんですよ」
その後会社を立ち上げ、1977年頃には日本でエディー・バウアーの仕入れも行っていたという。
「アメリカものの良さは、丈夫さなんですよね。ダウンに付いているジップにしても、生地を巻き込んでしまいやすいとこはあるけど、とにかく丈夫なんです。トラブルなんて起こしたことはありません。僕がアメリカに惹かれる理由はそういうところなんです」
【所有アイテム①】ウエスタンヨークのダウンジャケット
1973年にシアトルにあった本店で購入したという1着。一見[スカイライナー]のように見えるが、袖のキルティングやウエスタンヨークになっているなど違いが見られる。そんなディティールもありデニムとの相性は抜群。
2.「ボンビュー」オーナー・大島拓身さん
大島さんが最近購入したというのが、プルオーバーのキルティングダウン。
「色が気に入ったのと、去年からプルオーバーにハマっていて。元々ダウンは『モンクレール』などのヨーロッパものが好きなのですが、エディー・バウアーにはそれらにはない武骨さがある。変わったアイテムも多く、スタイルの幅を広げてくれるブランドだと思います」
【所有アイテム①】グースダウンプルオーバー
おそらく70年代のもので裾や袖がリブ仕様になっており、インナーダウンとしても着用可能。やや褪色した赤が独特の風合い。
3.「サンタセッ」オーナー・大貫達正さん
10代の時に古着店でキャリアをスタートさせた大貫さんにとって、エディー・バウアーは一目置くブランドのひとつ。
「ダウンを1番最初に確立した、古着好きにとっては切っても切り離せない立ち位置にいるブランドだと思います。特に50年代は化学繊維が発達していっている時代で、天然素材とのマッチングが絶妙。
特に[カラコラム]はエディー・バウアーにしかない、唯一無二のアイテムだと思っています。コーディネイトは当時のアウトドアスタイルを意識しつつ、英国アイテムを合わせてクリーンにまとめました」
【所有アイテム①】カラコラム
50年代の最初期の[カラコラム]。リブがウール素材になっている。大貫さんはダイヤ型ステッチの[スカイライナー]よりも格子状の同モデルが好み。
【所有アイテム②】カナディアン ベスト
こちらも50年代アメリカ製のライナーダウンベスト。程よいダウンのボリューム感や裾の三角ラインなどデザインに一切の無駄がない。インナーダウンとしても重宝する。
4.「フルゴル」デザイナー・白石健太朗さん
古着店で見かけ、デザインにひと目惚れし購入したというニットはエディー・バウアーのアイテムだった。
「お直し風な柄が珍しいと思って手に取ったらエディー・バウアーだったんです。このアイテムで質実剛健なイメージを良い意味で覆されました。ボリューミーなニットなので、細めのデニム、シンプルな靴でサイズ感のバランスをとりました」
【所有アイテム①】ニットセーター
当時のLサイズらしい、オーバーサイズに、スモックのような襟、お直し風な柄というディティール盛りだくさんな珍しい一枚。
5.「ラブラドールレトリーバー」オーナー・中曽根信一さん
80〜90年代に驚異的な人気を博した名店「バックドロップ」の名物スタッフだった中曽根さんは何度もアメリカに渡り、“本物”に触れてきた。
「80年代は日本に直営店がなく、インポートの中でも最高峰のブランド。親交のあった高倉健さんも『エディー・バウアーのダウンは最高級だ』と言って、寒い地域へのロケにはいつも着て行っていました」
【所有アイテム①】スーパー パーカ
中曽根さんにとってのエディー・バウアーの傑作。デザインと機能性に驚き、80年代に当時知名度が低かった同モデルを雑誌で紹介。
【所有アイテム②】ミニショルダーバッグ
バックドロップで働き始めた77年に購入。当時は1000万円を超える現金の売り上げを入れることもあり、肌身離さず身につけた。
(出典/「2nd 2024年2月・3月合併号 Vol.202」)
Photo/Norihito Suzuki,Nanako Hidaka Text/Yu Namatame,Kihiro Minami
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