1.「VOX GOLF OF AMERICA 」代表・佐々木均さん
幼少時代に見た、TVのゴルフ番組に出演していた米ツアー選手たちの格好良さに痺れて以来、使っているクラブやウエアが気になり、最終的にそれらを扱うショップまでオープンさせた佐々木均さん。東京・駒沢の住宅街にある店舗には、全国からゴルファーが訪れる。
「店の絶対的ルールはアメリカンブランドであること。あとは他所の店舗では扱っていないモノであること。ある意味、商品の買い付けは自分が欲しいと思った買い物、不良在庫ばかりです」
そう語る佐々木氏が見せてくれたのは、3000万円( !?)の値札が付いた、「マクレガー」社のパター『IMG5』。パターヘッドを保護するビニールのシュリンクを通して何者かのサインが見える。
「これは、現在お店の店長を務める息子が生前のアーノルド・パーマーに会うために、アポなしでパーマーさんのホームであるベイ ヒルクラブ&ロッジを訪れ、奇跡的に出会えた本人に、彼の愛用モデルと同じIMG5にサインしてもらったもの。その後ほどなくして彼が亡くなったので、パーマー直筆のサイングッズとしては最晩年のものだと思います。正直、手放しくたくないゆえの価格なんです」
商品について質問すれば、即この情報量。特に熱量が高いパーマー関連のグッズは、80年代に展開していた、ブランド「HOT-G」のキャディバッグなど、独自の仕入れルートを通じ、アメリカから直輸入。店頭に並んだ瞬間に、価値を共有するゴルファーたちの元へすぐに引き取られていく。
手編みのニットヘッドカバー「ジャンク レイグ」を初めて日本に紹介したのも彼らだ。「渡米した際、雑誌の広告で電話番号を見つけ、直接連絡したのが取り扱いのきっかけ」と均氏。アパレルアイテムも「ポロ ゴルフ」や「マルボンゴルフ」、「グレイソン」など一貫してアメリカづくし。旧いものから新しいものまで、ブレないアメリカ愛と審美眼、カブらない物選びならまずはこの店だ。
「VOX GOLF OF AMERICA 」で気になったアイテムを紹介!
2016年パーマー追悼のアーノルドパーマー招待プロアマ戦限定パター82万5000円と「ウィルソン」のパーマーパター19万8000円
パーマーのブランド「HOT-G」の80年代製バッグ9万9000円
ポンポンのサイズや柄、色をオーダーする「ジャンクレイグ」のニットカバー。DR1万890円、FW9460円、UT6105円
米選手御用達「イリアック」のアライメントスティックカバー。右2万7060円、左2万2660円
【DATA】
東京都目黒区八雲5-14-19 IST5010 1F
TEL03-5731-7731
2.「Hickory Golf Shop」代表・アレックス・ブルースさん
東京・青山にある「ヒッコリーゴルフ」は、ゴルフクラブのシャフトがカーボンやスチールとなるはるか昔、およそ100年前の木製シャフトを使った、ヒッコリー(くるみの木)クラブの販売や往時のプレーの装いであるニッカボッカの専門店だ。オーナーは笑顔 が似合い日本語も堪能なジェントルン、アレックス・ブルースさん。
実は彼、近代ゴルフ生誕の国であるスコットランド人。しかも全英オープン開催コースで、ゴルファーの聖地、セント・アンドリュース出身。グローバル企業の会社員だった時代に里帰りした際、友人の誘いでプレーしたヒッコリーク ラブでのゴルフに開眼、地元の友人が営む工房「セントアンドリュースゴルフカンパニー」が作る伝統的なヒッコリークラブや、ニッカボッカのファッションアイテム販売、ヒッコリークラブでのゴルフ文化を日本で広める活動をスタ ートさせた。
「通常のゴルフは会社員時代にも経験がありましたが、特別楽しいと思えなかった。ところが、飛ばないし、上手く打てないヒッコリーのゴルフは、スコア抜きで誰もが楽しめると感じたのです。また伝統的なニッカボッカのスタイルも新鮮でした。そこで修理したヒッコリークラブのセットを用意して体験できるイベントを始めたら、会を重ねる毎に参加者が増えた。何よりニッカボッカでゴルフをするとみんなが笑顔になるのです」
ニッカボッカなら同伴者と被らずに目立ち、名門コースのドレスコードもOK。ある意味究極のお洒落ゴルフなのかも。
「Hickory Golf Shop」で気になったアイテムを紹介!
欧米対抗戦「ライダーカップ」限定のツイードジャケット5万3900円
初めの一本はシックな柄が◎。スコットランド製ツイードのニッカボッカ3万1900円
猛暑の日本の夏用ウエアとして作った機能素材のオリジナルポロシャツ。クラシックな5つボタンやパイピング、タータンチェックのあしらいなどが特徴。1万7600円
スコットランドで製造されるヒッコリーのパター。木製ヘッド4万9500円、金属ヘッド4万5100円
【DATA】
東京都渋谷区神宮前3-6-4 フォーラム1F
TEL 03-6271-4700
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「2nd 2023年1月号 Vol.190」)
Photo/Katsunori Suzuki Text/Junichi Fujii