オンだったらなんとなく合わせたり、着こなせている人も、オフでどう合わせるのが正解か気になるところ。そこで基本中の基本のネクタイの種類、そして着回しのコツ、さらにはネクタイの結び方を4パターン紹介しよう。これさえ押さえておけばオンもオフもネクタイと友達だ!
シンプルなメンズカジュアルに個性を出せるのがネクタイの魅力。
ネクタイの基本はシルク製。アメリカントラディショナルに代表される、ストライプ柄のレップタイは生地の表面に程よい光沢があり首元に上品さをもたらす。それはどんな装飾品よりもカジュアルな装いにおいて最良のアクセサリーとなるのだ。
またレップタイと双璧を成すのが、ニットタイ。夏はリネン混、冬はウール混と季節に合わせた素材を選べば一年中楽しむことができる。
このようにタイの魅力のひとつには色や柄、そして素材などの種類が豊富に揃うことも挙げられる。それは、ベーシックなアイテムが基礎となるメンズカジュアルの世界において、それぞれの個性を表現するための頼れるスパイス。一見ハードルが高そうにも感じるタイドアップだが、アイテム選びに気を使えば、巻くだけでコーディネイトの次なるステージが開けるだろう。
知っておきたい各部名称。
まずは、ネクタイの部分ごとの名称をおさらいしよう。意外と知らない名前があるのでは?
ループ・バータック・大剣・小剣
まずは裏側を見ていこう。タイは通常、1枚の生地から斜めに切り取った3枚の布で構成され、それぞれ大剣(太い方の剣先)、小剣(細い方の剣先)、中継ぎ(首周り部分)と呼ばれる。写真中央に縫い付けられた輪っかはループ。小剣を通してタイを安定させるもの。その下のほうにある縫い目はバータックで、芯地を固定するためのステッチの名称だ。
ノット・ディンプル
一般的に「結び目」と呼んでいる部分はノットと呼ばれる。そのノットによってできるノットの下のくぼみをディンプルと呼ぶ。
いいタイはここで見分ける!
各部位の名称をしったところで、いいネクタイの見分け方をレクチャー! 見るべき部位はどこにある?
1.バータック
芯地を固定してタイの形状を保つバータック。大剣、小剣ともに縫いが丁寧なものを選ぼう。
2.大剣
縫製の良し悪しを判断するうえで見極めるべきは、大剣から覗く裏地が美しい菱形を描いているか。
3.芯地
型崩れを防ぐ芯地が左右の縁まで入っているかもポイント。触って確かめよう。
4.たるみ糸
タイは結ぶたびに生地に負荷がかかる。それを軽減するのが、縫いに遊びを生む糸。たるみ糸とも呼ばれ、ハンドメイドの象徴だ。
【種類】基本は織りの”レップタイ”か、編みの”ニットタイ”。
【レップタイ】マットな質感が持ち味のアメトラの大定番。
「レップ織り」という畝織の生地で作られ、表面に独特な凹凸が生まれるレップタイ。レジメンタル=レップというイメージが成り立つほど、アメトラにおける大定番アイテム。一般的には繊維密度の高いシルクを使って光沢を出したものが上質とされるが、畝が生み出すマットな質感も大きな持ち味。レジメンタル以外にも、無地やドットのタイも適度にカジュアルダウンされ、洗いざらしのオックスフォドシャツとも相性抜群だ。
【豆知識】レップとは? 品のある光沢を生み出す畝織り。
横方向に畝のある織物の総称。ポプリンよりもやや畝が太く、柔らかな表情を生む。シワになりにくく、タイの一般的な織り方として浸透している。大半はシルク糸を使用。
【選ぶポイント1】大剣幅は7cmが理想。
いまのカジュアル使いには、レギュラーとスリムの中間、ずばり7㎝幅が狙い目。幅が狭いとモードテイストが強くなり、広いとトゥーマッチなコーディネイトになりがち。
【選ぶポイント2】レジメンは3色、ドットは2色まで。
色数が多いとタイばかりに目が行き、コーディネイトが難しくなる。なお、レジメンタルにおいてはボルドー、ネイビー、グリーン、ゴールドの組み合わせが基本カラー。
【ニットタイ】“かっちり感”が苦手な人はまずトライ!
綾織りでも平織りでもなく、ニット編みならではの質感がウリのニットタイは、レップタイよりカジュアルな印象。実際のつけ心地も柔らかいため、タイの“かっちり感” がどうしても苦手、という人向けのカジュアルタイドアップの入門アイテムだ。秋冬を連想するかもしれないが、シルクやコットンを使ったニットタイは爽快なヌケ感を演出するのに最適。明るい色味もニット編みのおかげで落ち着いて見えるため、挑戦しやすい。
【選ぶポイント】編み方の違いで印象も変化。
ざっくりとしたラフな面持ちが魅力のニットタイだが、その振れ幅は編み方の違いで変化。編みが荒いほど粗野なビジュアルに。いい意味でアメカジの男らしさを強調する。
カジュアルタイドアップの、シャツとネクタイのおすすめ組み合わせ8選。
オフの日にどシャツとタイを合わせるのか悩んでいる人に、おすすめの組み合わせをご提案! レップタイとニットタイそれぞれ4パターンの組み合わせを紹介する。
【レップタイ①】ホワイトオックス × レジメンタル
清潔感と洒落っ気を過不足なく備えた、アメトラ王道の組み合わせ。ボルドーとネイビーのコンビがコーディネイトの幅を広げ、デニムに合わせてもチノに合わせても◎
【レップタイ②】ブルーオックス × レジメンタル
ブルーの同系色を使ったサンプルだが、トーンの異なる3つのブルーでグラデーションを形成した。さらに、差し色にゴールドを採用することでこなれた印象に。
【レップタイ③】キャンディストライプ × ドット
シャツとタイで異なる柄を選んでも、同系色でまとめればすっきりハマる。とはいえ、大きな柄と幅広ストライプの組み合わせはちぐはぐな印象を生みがちなので注意。
【レップタイ④】シャンブレー × 無地
無地×無地は無難すぎて逆に難しく感じることも。シャンブレー生地とレップ織りの素材感の違いが、着こなしを立体化してくれるはずだ。
【ニットタイ①】シャンブレー × ボーダー
シャンブレーとニットの軽さにボーダーの人懐っこさでダメ押し。清涼感を前面に押し出した爽やかなコンビネーションが、春夏にもぴったりな組み合わせ。
【ニットタイ②】ギンガムチェック × バイカラー
大胆にバイカラーで2色を大剣に使ったタイだが、ニットの柔和な表情のおかげでバランスが良い。細かなギンガムとタイの配色で、柄の強弱をつけるのがセオリーだ。
【ニットタイ③】タッタソールチェック × ネイビーニット
タッタソールのカジュアルな雰囲気と、落ち着いたネイビーカラーでありながら、茶目っ気のあるニットタイをミックス。ちょうどいいハズシ加減は、これぞオトナ。
【ニットタイ④】マドラスチェック × カーキニット
賑やかなマドラスをカーキの渋みで柔和させた。洒落感をもつ大人だからこそ似合うちょっぴり攻めの配色、ぜひチャレンジしてみてほしい。
ファッション業界人に聞く、着こなしのコツ。
【基本編】結び方はプレーンノット一択。(アイネックス/PRマネージャー並木さん)
プレーン、ダブル、ウィンザー……。実に多くの結び方が存在するなか、並木さんから嬉しい提案が。
「正直、いまのタイはほとんどが通常の結び方、いわゆるプレーンノットを想定して作られています。だから、これ一択で十分なんです。ダブルノットなどは、生地が薄くてノットがさまにならない時の、いわば非常用。いいタイを選んで、奇をてらわずにプレーンノットで結ぶ。アメトラにおいては、これが基本です」
【ポイント①】長さはベルトが隠れるくらい。
大剣がベルトに少しかかるのが適当。小剣位置は自然と決まるが、長い場合はシャツの中にしまっても。
【ポイント②】ディンプルに立体感を。
結ぶ際に人差し指でしっかり押さえ、ディンブルを作る。この立体感が、タイ特有の表情となるのだ。大人たるものディンブルのアピールも忘れずに!
【応用編①】B.D.シャツのボタンを外す。(ビームス/プレス 安武俊宏さん)
「イタリアのジャケットが好きなのですが、艶っぽくなりすぎてしまうので、襟のボタンを外してバランスをとっています」
【応用編②】ネクタイの大剣と小剣をずらす。(ディストリクトユナイテッドアローズ/セールスマスター森山真司さん)
「大剣が左前に来るように。ジャケットの仕立てと合わせるのがキモ。ディンプルさえ意識すればプレーンノットを雑に結ぶだけ」
結び目の違いでここまで変わる! おしゃれなネクタイの結び方【4種類】。
1.【プレーンノット】知らなきゃ社会人失格! 最もベーシックな結び方。
ノットが小さめの最もベーシックな結び方。襟の開きが65~90度くらいのレギュラーカラーのシャツにオススメ。
【1】最終的に上にくる太い方を大剣、下にくる細い方を小剣と呼ぶ。まずは大剣を上に、長めにとりながら、小剣にクロスさせる。
【2】小剣を中心軸として結び目を意識しながら、大剣を小剣の下を通す。そのまま小剣の周りを1周させる。
【3】大剣を首元のループに通すように上に引き上げる。
【4】上に引き上げた大剣を結び目に向かっておろす。
【5】小剣に巻くことでできたノットの結び目部分に、おろしてきた大剣を通す。
完成!
2.【ハーフウインザーノット】大きめノットがアクセント!
比較的大きなノットに仕上がるので、誠実な印象にまとめる。襟の開きが100~130度くらいのセミワイドカラーや、180度に近いワイドカラーのシャツと相性が良い。
【1】プレーンノットよりもさらに長めに大剣をとりながら、小剣の上に重ねる。
【2】大剣を小剣の下に通したあと、首元のループに上から巻きつける。
【3】大剣を下に引っ張りながら結び目をしっかりと固定。おろした大剣を小剣の上に重ねる。
【4】大剣を再度、首元のループに通すように引き上げる。
【5】引き上げた大剣を下におろしながら、ノット部分の結び目に通す。
完成!
3.【ウインザーノット】圧倒的ボリューム感をもつクラシカルなスタイル。
大きく美しい三角形で印象的な首元に。英国はウインザー公が考案したとされている。ワイドカラーのシャツに合わせたい。
【1】大剣を小剣の上に重ねる。セミウインザーノットよりもさらに大剣を長めにとる。
【2】大剣を首元のループに通すように引き上げる。そのまま巻きつけるように下におろす。
【3】おろしてきた大剣を、小剣の下を通すように重ねる。その際ノットとなる結び目の位置を定めながら固定していく。
【4】大剣を再度首元のループに通し、巻きつける。下にしっかりと引っ張ることで、ノットのベースとなる三角形を形成する。
【5】三度、大剣を首元のループに通すように、上に引き上げる。
【6】引き上げた大剣をおろし、首元の結び目に通す。
完成!
4.【ボウタイ】ボウタイを結べることは男のたしなみである。
一見すると結び方が複雑そうなボウタイも、意外と簡単に結べるもの。手結びならではの表情のある結び目が首元のアクセントとなる。男のたしなみのひとつとしてぜひ覚えておきたい。
【1】剣同士をクロスさせ重ねる。その際上になった側の剣を長めにとる。
【2】上になった剣を首元のループに下から通す。下の剣は最終形の羽の大きさになる位置で点線の下側を山折、上側を谷折に折り曲げる。
【3】下の剣の中央に、上の剣をまっすぐ重ねる。この剣同士が重なった部分が、最終形の結び目となる。
【4】上に重なった剣を最終形の羽の大きさで山折りに折り曲げながら、折り曲げた角を結び目の裏へとまわす。
【5】先ほど折り曲げた角を結び目の裏に出来たループに通す。その折り曲げた角が最終形の羽根の形になるように。
完成!
いかがでしたでしょうか? カッチリした時だけでなく、カジュアルにも楽しめるネクタイ。種類を知るだけでなく結び方もマスターすれば、よりファッションの幅が広くなること間違いなしだ。
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