months – 縦スクロールカレンダー
https://apps.apple.com/jp/app/months-months-縦スクロールカレンダー/id6739420415
一画面で、月表示と当日のリスト表示が見られる
アップルの古くからある純正アプリ、特にカレンダーと連絡先が進化を止めて久しい。
iPhoneはどんどん大画面、高精細化しているのに、月表示にすると、個別の予定は見えず、週表示やリスト表示にすると全体は見えない。というわけで、筆者は、スケジュールの調整を行う時には、極力Macを使うようにしていた。とにかく、スケジュールの調整で失敗すると、ダブルブッキングしてしまったり、すっぽかしてしまったりと、他の人に迷惑をかけるから、ここは慎重にならなければいけないところだ。
そこに、フォーユーの金田進哉さんがデザインした『months』というアプリがリリースされた(開発は岩井雅行さん)。
このアプリはご覧のように、月表示とリスト表示が組み合わされており、月表示の方でも4.5文字ぐらい(iPhone 16 Proの場合。画面サイズによって違うかも)見えるようになっているので、全体のスケジュールを見ながら、その日の個別のスケジュールが見られるようになっている。これがすこぶる便利。
むしろ、こっちが純正アプリなら……と思うほどのデザインと出来栄えだ。
ご覧のように、個別のカレンダーの入力画面も分かりやすくて扱いやすいし、検索機能もしっかりしている。
月100円のサブスクは、高いか? 安いか?
しかし、このアプリで話題で考えさせられるのは、月額100円、もしくは年額1000円のサブスクリプション制であることだろう。
もちろん、毎日使うカレンダーアプリが便利になるなら、月額100円は安い。10年使ったって1万円だ。10年間、日々の生活が便利になるなら1万円は高くはないだろう。
しかし、サブスクリプションとなると、筆者の場合、心にブレーキがかかる。なにしろ、iCloud、Music、Evernote、Dropbox、Adobe CC、ChatGPT、Duolingo、インターネット回線、携帯の通信料金、電気、ガス、水道、家賃……と、今や我々は月額費用にがんじがらめになっている。「『サブスク』は増やしちゃいけない!」というのは、多くの人の心に刻まれているコトだろう。
実は、金田さんとは個人的にも友人で、自分の個人会社のロゴと名刺のデザインを、ん十万円払ってお願いしたほど彼のデザインの美しさを気に入っている。その筆者でさえ、100円に躊躇するのがサブスクの難しさだ。
しかし、アプリの開発にもメンテナンスにも手間ひまコストがかかる。
みなさんは、iPhoneの黎明期から公開されているLCD Clockというアプリをご存知なのではないだろうか? 3Gや、3GS、4の時代にiPhoneを使っていた人はかならずインストールしていた定番アプリだ。
実は、このアプリをデザインし、17年間ずっとメンテナンスし続けているのが金田さんなのだ。
解像度を高くし、画面サイズが変わるごとに調整し、色を変える機能を追加し、アイコンカラーを変更できるようにし、毎年最新のOSに対応し……という作業を17年間無償で続けてらっしゃるのだ。
※ちなみに、LCD Clockには投げ銭機能がある。愛用している方はぜひ投げ銭を。
開発者アカウントを保持するのにもお金はかかるし、筆者もフリーランスだからよく分かるが、時間を割いたのに収入がないと、仕事としても生活としても行き詰まってしまう。それゆえ、苦渋の決断としての今回のmonthsのサブスク化だと思うのだ。
利益が世界を回す
サービスを続けるためには対価が必要だ。我々メディアも収入が必要だから、広告をいただくか、課金メディアになるかしか方法はない。特にメディア内の広告は目の敵にされるが、目の敵にするから収入が少なくなって、さらに強引な表示方法が一般化する。収入が少ないと質も低下していく。
あこぎな課金方法で収入を得るアプリが利益を上げて大企業になっていくことを考えると、この金田さんのmonthsに課金するのは、こういう良質なアプリを支援するためには大切なことだと思うのだ。
おそらく、金田さんがこのmothsをサブスクにしたのも非常に悩んでのことだと思うのだ。しかし、LCD Clockで無償メンテナンスを続けていることを思うと、サブスクにせざるを得なかったのだろう。
良質なデザイン、良質なサービスを続けるために、ぜひ、monthsに課金していただきたい。このアプリが美しくて、便利であることは間違いないし、もしこういうアプリでちゃんと利益が上がるなら、金田さんもさらに、連絡先や、リマインダーなどのアプリも、もっと美しい独自バージョンを開発してくれたりするかもしれない(筆者の妄想です)。
(村上タクタ)