書類、名刺、レシートなどすべてデータ化 リモートワークの必需品 ScanSnap iX2500

『注目の新製品はないけど大混雑』というCP+を考える

2月22日から25日まで、パシフィコ横浜で国内最大のカメラ系イベントであるCP+(シーピープラス)が開催される。初日の今日、筆者は取材に行ってきた。大メーカーのいわゆる大型の新製品はないのだが、平日だというのにカメラファンは非常に多かった。どういうことなのか?

『注目の大型新製品の不在』と、非常に多くの来場者

今日、日経平均が史上最高値を更新したというが、我々庶民にはまったくその実感はない。円安で企業の利益は上がるのだが、そのお金は我々庶民には落ちてこず、海外取材に行くと日本の国力の低下、貧しさを感じる。

そんなこともあって、モーターショーや、CP+などの展示会では、日本をターゲットとした新商品の発表がどんどん減っている。新商品を目当てに取材に行く我々としてはネタに困るというのもあるし、多くのユーザーの方としては、やはり『新型』が気になるところではあると思う。

貴重な新製品である、富士フイルムのFUJIFILM X100Ⅵ。さすがに多くの注目を集めていた。
歴代のX100シリーズを展示。

しかし、そういう気持ちとは別に、会場は大混雑で、どのブースも非常に盛況という状況が生まれている。「今日は初日とはいえ、平日なのにみなさん仕事はどうされてるのだろう……?」と不思議になるほどの盛況ぶり。この後、23〜25日の三連休はそれほど混むのだろうかと思うほどだ。

各社ブースには、実際にカメラを試用して、その性能を試せる展示が行われた。こちらは凄まじいAF性能を体感できるキヤノンのブース。

ファンの方々に受け入れられるイベントになっているのだと思う

そもそも、カメラというのは特殊な商材だ。

キヤノンは、AR/VRの撮影技術の展示にも力を入れていた。

EOS R3のところに展示されていた視線入力テスト用の人工眼球。眼鏡があると難しくなるし、まつげが長くても難しくなる。人の目は千差万別でこういう技術はとても難しいとのこと。

「『ジャパン・アズ・ナンバーワン』は遠くになりにけり」で、家電、パソコン、自動車などは、日本が首位から陥落して久しいのに、いまだにカメラだけは世界のトップブランドが日本に集中している。これは、電気系のみならず、光学系という深いノウハウが必要な部分があるかららしい。

スマホがカメラを駆逐すると言われ、たしかにコンデジは駆逐されたが、レンズ交換式カメラをはじめ、大きな光学系を持つカメラは現在も衰えることはない。生成AIの画像が増えても、カメラで撮られる写真は減っているように見えない。

ソニーは広いブースを活用してα9 IIIのAF性能を体感できる展示を行っており、多くの人が試用していた。α9 IIIは世界初のグローバルシャッター方式のフルサイズ機として注目を集めている。

高価な機材だけに毎年のように買い替えるものではない。レンズぐらいは買うかも知れないが、CP+に来ているカメラファンの多くは、何年も前に買ったボディとレンズを大事に使っている人たちに違いない(レンズ交換式とはいえ、統計上は多くの人は標準ズームと、せいぜい望遠ズームしか持ってないと言われている)。

また、とはいえ保有レンズや、使い勝手という縛りがあるから、多くの人はメーカーをまたいで買い替えることは少ない。キヤノンを買う人はずっとキヤノンだし、ソニー、ニコン、パナソニックなどについても同様のことが起こるはずだ。

となると、自社のファンに満足してもらい、何年かに一度の買い替えタイミングに、引き続き自社製品を買ってもらうために、顧客のロイヤリティをメンテナンスするのが、CP+のようなイベントの価値というところになるのだろう。そして、多くの来場者は非常に満足して、イベントを楽しんでいるように思えた。

用品ブースも大きな注目を集めていた

会場内でのブース面積は、ソニー、キヤノン、ニコン、富士フイルムの順で、それにパナソニック、シグマ、タムロン、OMデジタルソリューションズ(オリンパス)が続く。位置もあるので、一概にこの順にコストをかけているのかどうかは分からないが、ひとつの参考になるだろう。残念ながら、今年もリコー/ペンタックスの出展はなかった。

OWCの新製品は、Thunderbolt接続のSSDドライブであるEpress 1M2。
アルミボディを冷却フィンだらけにしないければならないほど爆速のSSD。 最大3151MB/sなのだそうだ。 NVMe M.2 2230、2242、2280 SSDを搭載可能。
今日(22日)は情報解禁前ということでナイショで見せてもらったAtlas USB4 CFexpress 4.0 Type Bカードリーダー。USB3.2 Gen 2の4倍速で、プロセスが見直されており実効転送速度3300MB/秒という読み出し速度を誇る。(23日より情報解禁で展示されている)。

用品メーカーは、照明、バッグ、ストレージ系などを中心にアジア系のメーカーが増えているように思ったが、全般に盛り沢山で、盛況だったように思う。

銀一は今回もPeak Designを前面に押し出した展示。

用品メーカーの銀一は、今回もPeak Designを中心とした展示。WANDRDというブランドの展示にも力が入っていた。止水ファスナーも使って、しっかりしとした防水性がありそうなのが魅力的。

次いで今回プッシュされていたのはWANDRD。

先日取材したEvotoも出展していて、すごくにぎやかだった。4日分用として用意した紙のカタログが、初日だけで捌けてしまったと、嬉しい悲鳴も聞かれた。Photoshopで緻密に仕上げる場合もあるが、人物写真のカバーしたいポイント(シミやアバタ)を手軽に、テクニックなしに補正できるというのは、多くのニーズを掴んだようだ。

シグマのブースのインテリジェンスの高さ

スマホの隆盛や、Samsungのカメラ進出などで、日本のカメラ業界の先行きを不満に思ったこともあるが、少なくともレンズ交換式カメラにおいては、まだ日本企業の独走は続きそうである。

昨年、4年ぶりに開催されたCP+では、少し寂しさも感じたものだが、今年は感染症の影響もなくなり、非常に盛況だったといっていいだろう。

中でも、筆者が特に気になったのは、シグマのブースだ。

シグマは500mm F5.6 DG DN OS | Sportsと15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYEという、ユニークな長短2本の素晴らしいレンズを発表していた。

驚くほど軽い500mm F5.6 DG DN OS。光学的な工夫と精度でこの軽さを実現しているのだそうだ。

しかし、それにも増して、意義深く感じたのは膨大な写真集の展示だ。しかも、それらを自由に手に取ってページをめくることができるようになっていた。

シグマのブースに展示された写真集。写真文化の深みを理解するシグマならではの展示だと思う。実際に手に取ることができる。正直、CP+滞在時間のすべてをここで消費してもいいほど価値ある展示だと思う。

どの写真を見ても、「どうやって撮ったのだろう? レンズは? 絞りは? ライティングは?」と思わされるし、「写真の価値とは何だろう? 解像度の問題ではない。芸術性? いかに心を打つか? どうやったらこの写真を撮れるのだろう?」と深く考えさせられる。

結局のところ、写真は『文化』なのである。

注目の大型新製品はなかったけれども、多く集まった写真ファンの方々や、シグマの展示にそれを教えられたような気がする。

みなさんも、三連休に会場に足を運んで、ぜひ体感してみていただきたい。

(村上タクタ)

昨年の記事はこちら。

4年ぶり開催のCP+から展望する日本のカメラ業界、これからどうなるの?

4年ぶり開催のCP+から展望する日本のカメラ業界、これからどうなるの?

2026年08月28日

この記事を書いた人
村上タクタ
この記事を書いた人

村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

毎日に、最良の定番。B.V.D.の「GOLD」は昔ながらの良さと、いま欲しいバランスを兼ね備えたTシャツ

  • 2026.09.16

長く愛されてきた定番には、変わらない理由がある。B.V.D.の「GOLD」もそのひとつ。肌着として培ってきた心地よさをそのままに、今の気分で一枚でも着られるリラックスフィットが加わった。昔ながらの良さと、いま欲しいバランス。その両方を備えた、新しい定番のかたちを見ていこう。 変わらない着心地にゆとり...

ニューヨーク・ブルックリン発! 作業服由来のデイリーウエアはこう着こなす。

  • 2026.09.16

創業1904年、高層ビルの建設が相次ぐ当時のニューヨークでリアルワーカーに向けて、作業服を提供していた「ブルックリンオーバーオール」。そんな確固たる出自に由来する男服は、カジュアルウエアとして現代にDNAを継ぐ。 旧きよきデザインと生地づくりで飽きのこない王道のワークスタイル 40年代の個体をベース...

70を超えるレザーブランドが集う! 「Leathers Day TOKYO 2026」が五反田TOCビルで9月26・27日開催!

  • 2026.08.30

雑誌『Lightning』と兄弟誌『2nd』『CLUTCH Magazine』の3誌による、レザー好きのための大規模イベント。4度目を迎える今年は、初の東京会場での開催が決定! 普段なかなか手に取って実物を見ることができないブランドや、このイベントでしか手に入らないアイテムが揃う特別な2日間。さらに...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

Pick Up おすすめ記事

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

イタリア・パルマで誕生。世界屈指のベルト「Anderson’s」、その生まれる場所へ

  • 2026.09.17

1966年、イタリア北部に位置する美食の街・パルマで創業したベルトメーカー「アンダーソンズ」。装いを完成させる“名脇役的存在”のベルトをメインとする稀有な存在にして、世界的な評価を獲得する某ブランドのプロダクトはどのように生まれるのか。その魂が宿る自社工場に足を運んだ。 イタリア・パルマの地に宿る6...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...

Why Banana Republic? 2nd編集部イチ押し「バナナ・リパブリック」アイテムと、ブランドの魅力を徹底解説

  • 2026.09.16

1978年にアメリカ・カリフォルニア州で創業したバナナ・リパブリック。クラシックとモダンが共存する唯一無二のスタイルや歴史を紐解くことで、我々が彼らのプロダクトを手に取るべき“理由”が見えてくる。(記事をご覧いただいた方への特典を最後に紹介しています) [caption id="attachment...