“サロンを牽引する先輩”であるY世代美容師が提案する2024年トレンドヘア
1.女性らしさをたずさえた、ムーディマレット|「SHEA」坂狩トモタカ
CUT/アウトラインは前下がり。表面には浅めのレイヤーを。オーバーはハイレイヤー。顔まわりはラウンドグラデーションでカットし、インナーレイヤーで顔に沿わせる。エフィラージュカットで空気感を。 COLOR/7レベルのボルドー。 STYLING/ストレートアイロンで毛先をワンカールしたら軽めのオイルをなじませる


「尖ったイメージのあるマレット。柔らかさや女性らしさをプラスすれば、より多くのひとが楽しめるデザインになると思います。そこで顔まわりはがっつり切り込むのではなく、長さは残しつつもレイヤーでしなやかな動きにしています。トレンドをそのままなぞるのではなく、メイクをする感覚でカットして自分色に変えることが大事です」(坂狩さん)
「SHEA」坂狩トモタカ(さかがりともたか)|『シア』代表。1983年生まれ。福岡県出身。資生堂美容技術専門学校卒業。「『SHEA』スタッフがより素敵な美容師になれる環境づくりが2024年の目標」
2.70年代を取り込んだ、ニュークラシック|「RUNO」月田由未
CUT/あご下2cmで水平にカット。顔まわりはイヤー・トゥ・イヤー前まで広めに分け取りマッシュラインにカット。ベースの厚みは残しつつもハチ上にはレイヤーを。サイドのエンドと顔まわりはつなげず角を残す。 STYLING/26mmで顔まわりは内巻き、外巻きをMIX。バングはセンターで軽く分けてワンカールに。表面は波巻き。軽めのオイルを付けたらバームをもみ込む


「70年代に流行したマッシュルームカットをベースに、しっかりレイヤーを入れ、重さは感じつつも動きのあるデザインに。動かしつつも、ライン感は残すのがポイントです。顔まわりからサイドのエンドはつなげずに角を残すことでエッジを効かせて。懐かしさと新しさが同居するデザインが今年のトレンドに」(月田さん)
「RUNO」月田由未(つきだゆうみ)|『ルノ』ディレクター。 1989年生まれ。岡山県出身。日本美容専門学校卒業。「Z世代との競演、とても楽しかったのでまたやりたいです」
3.あどけなさと毒っけが、ベリショを新たなステージに|「jurk」沢井卓也
CUT/ベリーショートベース。こめかみラインで上下に分け、トップは4cmのセイムレイヤーにカット。こめかみ下はディスコネで短く切り込む。もみあげもディスコネでハイレイヤーにカットし軽さと動きを出す。 COLOR/17レベルのベビーオレンジ。STYLING/7mmロッドで根元まで平巻きしてクセづけしたら、ヘアクリームを全体になじませる


「ショートのなかでも、今年は潔いベリショが気分。ベリショはどうしてもハードで辛めな雰囲気になりがちですが、くるんとしたカール感を引き出すことでキュートな表情をプラス。ディテールも柔らかく動かしつつ、カラーは肌なじみのよいベビーオレンジに。どこかあどけなさをまとった、フランスの女の子のように」(沢井さん)
「jurk」沢井卓也(さわいたくや)|『ユルク』代表。1986年生まれ。愛知県出身。中日美容専門 学校卒業。「今年は5周年になるので、 さらにクオリティを高めていきたいです」
4.グランジボブは、ポイントブラックを効かせて辛口に|「MINX」佐藤スナオ
CUT/あごラインのワンレンボブ。バングは眉位置でカット。顔まわりは耳前までを引き出しスライドカットでレイヤーを入れる。バックのエンドとはつなげずに。 COLOR/16レベルのラベンダーベージュ。4レベルのブラックをバング、顔まわり、表面の内側にスライシングで。STYLING/ストレートアイロンで外ハネにし、クリームをなじませる


「グランジ感漂うボブが気分。サイド、バック、バングそれぞれディスコネで独立した動きを引き出しています。カラーは“消せるブラック”のカラー剤の登場により、履歴の回収がしやすくなったため、ブラックをデザインカラーとして使用。カラー剤の進化により、ブラックをデザインとして楽しむ時代に突入しました」(佐藤さん)
「MINX」佐藤スナオ(さとうすなお)|『ミンクス』執行役員、MINX aoyamaディレクター。1981年生まれ。神奈川県出身。住田美容専門学校卒業。「2024年も引き続きゼロテクを普及させたいです」
5.自然と笑顔になるような、お客さまがハッピーなヘア|「MAGNOLiA」DAISUKE
CUT/胸下5cmのワンレン。毛先はチョップでくずし、顔まわりはストロークで動きを出す。PERM/毛流に合わせて、11〜13mm で根元までスパイラル巻きに。システアミンとシスチオのW還元でロングでもダレないカール感に。 COLOR/8レベルのパープル。 STYLING/ウェットにしてからフォームを全体にもみ込み自然乾燥


「2023年は目を引くもの、新しいものを目指す過程で美容師の作品としてのスタイルが多くみられました。2024年はそこから次のステップに。攻めながらも、お客さまに似合っていて、自然と笑顔になるようなハッピーなヘア。今回はロングのスパイラルパーマでそれを表現。ヘアは前進しながらも、マインドは原点回帰です」(DAISUKEさん)
「MAGNOLiA」DAISUKE(だいすけ)|『マグノリア』青山店代表。1985年生まれ。神奈川県出身。山野美容専門学校卒業。「今年ももっとうまくなりたいです」
“めざましい成長を遂げる後輩”Z世代美容師が提案する2024年トレンドヘア
6.軽さと動き。そこにカラーで遊び心を|「SHEA」神谷悠太
CUT/前上がりのレイヤーボブ。バックは表面のみローレイヤー。アウトラインはチョップカットでラインをぼかし、スライドカットで重さを取る。バングは深めのチョップでザクザクとした質感に。 COLOR/6レベルのシルバーブラック。レイヤーの毛先のみランダムにブリーチし、塩基性のレッドとイエローをオン。 STYLING/バームをなじませアイロンで外ハネに


「ライン感というより、全体的に切り込んだ、ザクザクとした質感が気になります。カラーもハイトーンの一色で仕上げるのではなく、より遊び心を効かせたデザインに。今回はレイヤーに合わせて、ポイントでブリーチしてオンカラー。レイヤーで軽さと動きを出すことで、ポイントカラーがよりラフに生きてきます」(神谷さん)
「SHEA」神谷悠太(かみやゆうた)|『シア』スタイリスト。1999年生まれ。愛知県出身。山野美容専門学校卒業。「デビュー3年目になるので、自分らしさを追求していきたいです」
7.ロングレイヤーが織りなす、ニューグランジ|「RUNO」HARA
CUT/鎖骨下10cm の前上がりのワンレンベース。バングは奥行き3cm×黒目幅で取り、鼻下でカット。顔まわりはこめかみ上3cmで分けバングにつながるようにレイヤーを。さらにチョップカットでところどころライン感をプラス。 COLOR/6トーンのブラウンで地毛っぽい色味に。 STYLING/32mmで波巻きのMIX巻き。顔まわりのみワンカールしたらオイルスプレーを塗布


「引き続き姫カット系のブラントなカットラインは残りつつも、そこにレイヤーでしっかり動きを出すスタイルにシフト。ベースにはザクザクしたレイヤーを入れていて、そこにグランジ感を感じますが、先細りではない重めな質感であることがNew なポイントです。ところどころチョップでブラント感を入れてアクセントに」(HARAさん)
「RUNO」HARA(はら)|『ルノ』スタイリスト。1996年生まれ。愛知県出身。中日美容専門学校卒業。「私らしさは残しつつも、今 年は大人っぽさも楽しみたいです」
8.ザクザクとした質感が持ち味の、新感覚ショートボブ|「jurk」suzuna
CUT/リップラインのショートボブ。グラデーションでカットし表面にレイヤーをオン。バングは深めのチョップカットでザクザクな質感にし、顔まわりに軽くつなげる。表面は中間〜毛先にグラセニング。 COLOR/18レベルのネオンピンク。 STYLING/19mmと26mmのアイロンでスパイラル巻きしカール感をくずす。バームとジェルでツヤ感をプラス


「韓国アイドルがボブにしているので日本にもその波が。軽さのあるショートボブが新鮮で洒落てます。バングもギザギザとした軽い質感に。全体的にもラインは軽く残しつつも、すき間感を感じるラフな動きが特徴です。カラーはここ最近ダークトーンが流行っていましたが、またパキッとしたワントーンが気になります」(suzunaさん)
「jurk」suzuna(すずな)|『ユルク』トップスタイリスト、副店長。1996年生まれ。滋賀県出身。京都理容美容専修学校卒業。「海外のお客さまが多いので、英語や韓国語を勉強したいです」
9.圧倒的な存在感を放つ、Wレイヤーロング|「MINX」花岡瑠斗
CUT/胸レングスの前上がりベース。トップはセイムレイヤー、ミドルはグラデーションにカット。顔まわりはほお骨位置、あごラインの2段階に切り込み、それぞれ前下がりの角度に設定。 COLOR/18レベルのホワイトベージュ。顔まわりの毛先とバングは内側にスライシングで7レベルのブラウンをオン。 STYLING/ストレートアイロンで顔まわりを内に巻いたら重めのオイルを毛先までなじませる


「前上がりブームのトレンドは押さえつつも、顔まわりは2段のレイヤーを仕込んでWレイヤーに。これまでの顔まわりレイヤーと違って、グラぎみにやや厚みのあるレイヤーにすることで、ほお骨が張りがちなアジア系の顔立ちにもフィット。毛先とバングの内側にローライトをインして引き締め効果も狙いました」(花岡さん)
「MINX」花岡瑠斗(はなおかりゅうと)|『ミンクス』shibuya smart salonディレクター、店長。1997年生まれ。神奈川県出身。ベルエポック美容専門学校卒業。「業界に認められる美容師になりたいです」
10.ロングのマレットパーマで多様な個性をアピール|「MAGNOLiA」TOMOYA
CUT/ミディアムレングスでアウトラインはオーバル状にカット。バックのオーバーはハイレイヤー。顔まわりは耳後ろまでレイヤーを入れる。 PERM/トップ〜ミドルは14mm、アンダーは17mm、バングは11mmでフォワード方向のスパイラル巻きに。 COLOR/8.5レベルのオレンジブラウン。 STYLING/バームミルクを全体にもみ込み、ふんわりとしたカール感に調整


「流行のマレットにパーマを組み合わせて。マレットはサイドとバックをディスコネで切るので奇抜なイメージをもたれがちですが、後ろにセットバックすることでマイルドな印象に。多様な個性を重視する時代だからこそ、ファッションもあえて着くずしたりと、“脱構築”が2024年の大きなテーマです」(TOMOYAさん)
「MAGNOLiA」TOMOYA(ともや)|『マグノリア』スタイリスト。1998年生まれ。千葉県出身。ベルエポック美容専門学校卒業。「ヘアショーやセミナーなど外部からも欲される人間に。目指せトレンド大賞!」
(出典:「PREPPY 2024年1月号」)
photo:Takeshi Sakuma、Koki Okumura text:Yukiko Shigetomi