サスティナブルな物作り、アップサイクルの代表ブランド「フライターグ」の仕事。

アップサイクルの代表ブランドといえば、言わずと知れたフライターグ。幼い頃から資源ゴミを特別な素材として見ていた兄弟が作るバッグは、ただのエコ製品ではなかった。

「フライターグ」ビジネス デベロップメント マネジャー・脇野友輔さん

学生のときに英語教師にフライターグを紹介されて以来のフライターグラバー。

トラックの幌がかっこいいバッグに!

壁一面に設置されているのはオリジナルの商品収納ボックス。組み立て式で移動も簡単にできるそうだ。製品写真もひとつひとつ撮影

フライターグは、トラックの幌を使ったスイスのバッグブランド。1993年に兄マーカスと弟ダニエルのフライターグ兄弟が創業し、現在ではアップサイクルの先駆けとして、世界中に認知されている人気ブランドだ。

「元々は環境やサスティナブルを謳っている会社ではないんです」

と話すのはビジネス デベロップメント マネジャーの脇野さん。スイスでは幼少のときからゴミの分別教育が生活の中でされていて、環境配慮については自然に身についていた。フライターグ兄弟は、資源ゴミの日が何よりも楽しみで、それを使って子どもの頃からいろいろなものを制作し、遊んでいたのだという。

ボックスタイプのシンプルなトートバッグ。スイスで使われている紙の買い物袋から着想を得てデザインされた。アルペンミルクが入った牛乳パックを20個収納できるとか。1万7160円

兄弟がトラックの幌と出会ったのはデザイナーとして働いていた1993年。当時住んでいたアパートの横に幹線道路が走っており、多くのトラックが行き交っていた。

「日本の配送トラックは金属製のコンテナですが、ヨーロッパはPVC製の幌が主流です。ローカルの配送会社もたくさんあり、様々なタイポグラフィを用いたり、色とりどりのカラーを施したトラックが走っています。ユニークでインパクトのあるデザインのものが多いんですよ」

晴れの日も雨の日も何百㎞もの距離を走り続けるトラック。日差しや雨風にさらされた幌は、当然汚れるしキズも付く。しかし、そんな過酷な状況にも耐えられるほどの頑丈さがなければ幌としての役割は果たせない。これが頑丈なバッグとして生まれ変わり、世界に届けられる

ある日、マーカスが使い古された幌をアパートに持ち込み、バッグを作ることを宣言。そして完成したのが、フライターグの代名詞であるメッセンジャーバッグだ。

「当初彼らはこれをビジネスにするつもりもなく、自分たちが使いたいバッグを作っただけ。完全防水の素材が必要で、キッチンの窓から見たトラックの幌がそれにピッタリだと気づいたのです。トラックの荷台ではお役御免でも、人間の背中ではまだまだ使える素材。また、長年道路を走り続けて付いた汚れやキズの経年変化も単純にかっこいいと感じたようです。そういう意味では日本の『侘び寂び』の精神と近いかもしれません」

フライターグの原点ともいえるメッセンジャーバッグ。体に密着させるヒップストラップやショルダーの長さ調整が簡単なバックル、2段階の容量調整など機能性高し!

汚れやキズは誰もが嫌がるものだが、バッグというフレームに落とし込むことで、その汚れやキズに“美”を見つけることができることに気がついたのだ。

「サスティナブルやアップサイクルなどと肩肘を張らずに、当たり前のものにしたいですよね。そして次のステップに進みたいです。この世の中の流れを、ここで終わらせたくないですよね」

パソコンケースやカードケースなど小物系も充実。実際に中を見てみると、フライターグらしい遊び心と便利なギミックが随所に組み込まれていて、使うのが楽しくなってしまう

長年道路を走り続けた幌はこうしてバッグになるんです。

ヨーロッパ全土の配送会社から集めた幌がバッグになるまでにはかなりの手間と労力がかけられている。その一部を見てみよう。

1.デザイン性の高い幌が集められる。

タープバイヤーと呼ばれる幌の調達人は現在5人。トラック雑誌を見たり、パーキングで停車しているトラックを撮影したり、ヨーロッパ中から常に上質な幌の仕入れに奔走している。

2.広げて付属しているパーツをすべて取り除く

トラックから外されたままの幌を広げてバックルやベルトなどバッグに使用しない部分を取り外す。重い幌との格闘で、スタッフはみんな筋肉がムキムキなのだとか。

3.専用の巨大洗濯機で1 枚ずつ洗う。

そして洗浄。洗浄用の水はすべて貯水している雨水。1日1万5000ℓを使うそうだ。自社開発した専用の巨大洗濯機に入れ、さらに企業秘密の洗浄剤を使って洗浄作業を行う。

4.カットデザイナーが使用する部分をカット。

ひとつひとつ異なる幌の個性を最大限に活かして、作るバッグの型に合わせてカットデザーナーが幌をカットする。センスが必要な仕事だ。カットされた幌は縫製へ!

フライターグの世界観を味わえるショップ。

トンネルをイメージした縦長の渋谷店。建物の個性を活かしたコンクリートむき出しの空間デザインが特徴だ。床には車線、天井の照明は実際に使用されていた街灯を使っているそうだ。

店内にはリペアスペースも併設。パーツの修理はもちろん、幌が剥がれてしまったりした場合も、ここで修理することができる。長く使ってもらうためのアフターサービスも完璧なのだ。

【DATA】
FREITAG STORE TOKYO SHIBUYA
東京都渋谷区神宮前6-19-18
TEL03-6450-5932
営業/11:00~19:00
休み/無し
https://www.freitag.jp/ja

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「Lightning2022年5月号 Vol.337」)

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