ところで「ボバー」ってどんなバイク?
ボバーは、フェンダーを短くするという意味のBobbedに由来する(元は髪の毛を短くカット(ボブに)する、短くカットすることの意)。戦後のアメリカでは、世間に馴染めない復員兵を中心としたアウトローな若者によって草バイクレースが度々開催され、彼らは速く走らせるために愛車をカスタムして、草レースに興じていた。
そして当時のアメリカでバイクレースといえば、ダートトラックレース。勝敗の結果が市販車の販売台数に大きな影響を及ぼしていたため、インディアンやハーレーといったメーカーはレース活動に力を入れて戦いを繰り広げた。娯楽が少なかった当時、レースは相当な人気を集めたのだ。
バイカーたちがそんなレーサーを真似て、自身のマシンを軽量化したのが「ボバ―」なのだ。
「ボバー」の唯一無二の特徴とは?
造形美を追求するチョッパーに対して、ボバーは純正車両の軽量化が主な目的だった。カスタムショップやパーツも豊富でなかった時代。家のガレージでできることはごく限られたものだった。そこでバイクを速くするために最も有効な手段は、車重をできるだけ軽くすることだったわけ。
なくても差し支えのないパーツを次々を取り外した結果、全体のフォルムもチョッパーと違い、純正のそれと大きく変わらないのが特徴。具体的には、短いリアフェンダー、フロントフェンダーは撤去orWLA用、ハンドルは交換などして、軽量化を図っていることが多いと言える。
▼チョッパーについてはこちらの記事をチェック!
「ボバー」ラバーの愛車をチェック!
では、実際のボバ―スタイルバイクを見てみよう。ボバ―を愛してやまない、思い思いのこだわりを詰め込んだ4人の愛車をチェックしていこう!
1946 Harley-Davidson UL / 土肥宏彰さん
ハーレーのワークスカラーでペイントされた大阪のSHIX製作のフラットヘッドボバー。一見オールドスクールなシルエットだが、分割のスポーツスタータンクや上下逆に装着したダンパーなど、個性的なディテールがこのマシンの見どころ。
1947 Harley-Davidson EL / 天野秀康さん
基本的なスタリングの構成はオーセンティックなボバーだが、アップライトなハンドル周りなど、ややチョッパーの要素をミックスした独特なスタイルに仕上げられたナックルヘッド。エンジンは村山モーターサイクルでオーバーホールを、カスタムはほぼ全て自分で行っているそう。
1940 Harley-Davidson EL / MOXさん
エンジントラブルを乗り越え、最近復活したナックルヘッド。ストローカーエンジンを搭載し、アップスイープマフラーを装備したレーシーな組み合わせだが、アップライトなポジションを生み出すライザー&エイプバーを装着して、カスタムがボバーからチョッパーに変わる過渡期の時代感をイメージしたスタイルに仕上げた。
1970 TRIUMPH TR-6 / 井上直也さん
コンパクトにまとめられたボバースタイルは、京田辺にあるブリーカーズが手掛けたもの。軽快に走れることから、休日にはツーリングで和歌山などに出かけることも。ジョッパーズにベレー帽というスタイルも雰囲気抜群。
無駄のない、無骨がゆえに漂う男らしさ。シンプルでいてこだわりの詰まったボバ―、ハマる理由がわかったのではないでしょうか?
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(出典/「別冊Lightning BIKERS SNAP バイカーズスナップ」「Lightning 2014年4月号 Vol.240」)
撮影:澤田聖司、百々智広 文章:サカサモト
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