目指したのは、“上質な大人の普段靴“。東京浅草発のBROTHER BRIDGEのシューズ。

  • 2024.02.26

日本の伝統を受け継いだ“靴の街“、東京・浅草。ここに、世界が注目するシューブランドがある。「お客様へ上質な靴を届けたい。その橋渡しをしたい」。そんな想いから名付けられたBROTHER BRIDGEは、今や浅草から世界へ、大きな橋を掛けようとしている。

高品質を追求した大人の普段靴。

その昔、靴はすべて「上質」だった。職人がひとつひとつ手作りで想いを込めて丁寧に作った靴。そう、昔は「上質」とさえ、言われなかった。なぜなら、それが当たり前だったから。時代は変わり、大量生産・大量消費の波が押し寄せると、初めて「あの頃の靴は上質だった」と言われ始めるようになる。なぜか。上質でないものが跋扈し始めたからに他ならない。

そんな、かつては当たり前だった「上質な靴」を追い求めるブランド、それがBROTHER BRIDGEだ。ブランドの設立は2014年。代表を務める鈴木英明氏は、元々ブーツを製作するファクトリーの工場長だった人物。そこであらゆるブーツ、革靴の製作を叩き込まれてきた。真摯に靴作りに向き合ってきた鈴木氏にとって、「上質」とは、靴を語る上で最も大切な要素だった。

「世の中に『高級靴』も多く存在しますが、僕の作る靴は高品質ではあるけれど、高級靴ではありません。上質な靴を求める大人の普段靴を作りたいんです」。BROTHER BRIDGEの代表作であるHENRYを愛おしそうに眺めながら、そう話す鈴木氏。ちなみにBROTHER BRIDGEというブランド名は、「お客様と上質な靴の橋渡しをしたい」との思いから名付けられた。

BROTHER BRIDGEの靴は、大人の普段靴を目指すだけあって、どこか上品でドレスシューズのような気配すら感じさせる。HENRYも、かつてボクシングで使われていたようなスポーツ用のアスレチックブーツをベースにしながらも、シャープな美しさを漂わせている。

「流行に左右されないスタイル、たとえばワークやミリタリー、スポーツ、トラッド。それらの歴史やスタイルに敬意を表しつつ、そのスタイルに捉われることなく、自由にミックスさせていきたいんです。だって、いろんなスタイルを楽しみたいじゃないですか」

ヴィンテージをモチーフにする時も、ドレス感をプラスしたりしてBROTHER BRIDGEらしさを打ち出していく。ワークっぽくもあり、ドレスっぽくもある。スポーツシューズかと思いきや、ドキッとさせられる色香を放つ。これぞBROTHER BRIDGEの真骨頂であり、これこそが彼らの考える大人の普段靴のあり方なのだ。

自分の納得がいく上質な靴を作るため、自社ファクトリーまで作った鈴木氏。品質に対する、愚直なまでの真摯な姿勢。おそらく、全ての靴が上質だった“あの頃”の靴の在り方を、身をもって我々に見せてくれているのかもしれない。

自社生産にこだわるBROTHER BRIDGEの靴作り。

BROTHER BRIDGEでは、生産はほぼ全て自社ファクトリーで行なっている。そのため、サンプル制作や改良に関してもレスポンスよく対応できるのが、彼らの強みと言えるだろう。上質で堅牢、上品で長く愛せるBROTHER BRIDGEの靴は、こうして生み出されている。

タンニンを多く含んだコシのあるバケッタレザーをポストミシンで縫製していく。モデルによって差異はあるが、基本的に3㎝に12針というピッチで縫っていく。

こちらがHENRYで使用されるパーツの抜き型。革の繊維の方向を読みながら、パーツを抜いていく。BROTHER BRIDGEの靴作りは、ここから始まるのだ。

硬い革の場合、千鳥ミシンを使ってジグザグに縫うことで、足あたりが良くなるという。また足に触れる部分は、摩擦に強い「ベクトラン」という糸を使用する。

こちらでは靴の吊り込みやウェルトのぬい付けなどを行う。雑然としているように見えるが、様々な道具やマシンが機能的に配されている。

1990年代のアメリカ製トゥラスターに木型をセットして吊り込んでいく。このマシンは、油圧ではなく空気圧の力で作動する。

その後、手作業で丹念に吊り込んでいく。非常に力の必要な作業だ。この引っ張り加減で、完成した後の履き心地も変わってくるという。

ヒールの整形マシンにセットし、プレッシャーをかけてかかとの形を整えていく。この後、革の余剰分を手で切り取る工程へと移る。

BROTHER BRIDGEがこだわるグッドイヤーウェルト製法に不可欠なウェルトを縫っていく。こちらは最新のウェルト専用のミシン。

インソールにはドイツのカールフロイデンベルグ社製の軽い不織布のインソールを使用し、シャンクは硬めのものを使用している。

「ジュピター」と言われるアウトステッチャーマシンで出し縫いを行う。かなり力のいる作業だ。これでアウトソールが装着される。

サンドブラストでソール部分を綺麗に削り、なめらかにしていく。こうした細やかな作業の積み重ねが、靴の「美しさ」となって現れるのだ。

コバの角を削っていく「面取り」。アッパーに傷を付けないよう、慎重に行う。角が取れると、靴は見違えるように美しくなる。

コバの仕上げは、まず染料のみのベース材を塗り、その後ワックスを含んだ仕上げ材を塗る。ドレスのような凛とした佇まいへと変貌する。

BROTHER BRIDGEの自社ファクトリーで働く精鋭の職人、志田さん(右)と山本さん(左)。彼らの生み出す靴は、ワイルドさと上品さが同居した唯一無二存在感を放っている。

「上質な靴とは何か」「本当にいい靴とは何か」。職人たちが自問自答を繰り返しながら、今日もBROTHER BRIDGEの革靴はここで生み出されている。

【DATA】
BROTHER BRIDGE
Tel.03-6802-7992
https://brotherbridgetokyo.com/

(出典/「CLUTCH2024年2月号 Vol.94」)

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