世界へ羽ばたく日本のH-Dカスタム。

H-Dスポーツスターのニューモデル、ナイトスターの登場と同時にH-D本社主導で進められた世界規模のカスタムプロジェクトに日本のHIDE MOTORCYCLEが参加。日本のビルダーがメーカープロジェクトに携わり生み出したカスタムバイクがアメリカ全土を渡り歩き、日本のカスタムシーンのレベルの高さを世界に知らしめる。

H-D社のカスタムプロジェクトに日本のHIDE MOTORCYCLEが選出。

代表、富樫秀哉さん。ショーで数々のアワードを獲得し、過去にはBMWのプロジェクトにも選出された日本のトップビルダーの一人

ファッションやスポーツ、芸術など、世界を舞台とした日本人の活躍は日々勢いを増しているように感じる。具体的な例を挙げれば、昨年オリンピックの競技に加えられたスケートボードは男女の日本人選手が3つの金メダルを獲得する快挙を成し遂げた。そして、いまスケートボードは日本でもスポーツとして認識されている。

カスタムバイクにおいても、現代の日本のシーンのレベルは世界的に高い位置にあると筆者は感じている。いまや日本のカスタムはアメリカの模倣にとどまらず、世界から注目を集める状況になっている。そして、日本のカスタムシーンにとって吉報と言える新たなニュースが今年4月に発表された。

HD本社が主導し、世界中から厳選した6ショップのカスタムビルダーによるプロジェクトバイクが完成した。そしてHDが選んだパートナーのひとつに日本のヒデ・モーターサイクルが選出されたのだ。本社のプロジェクトに日本のビルダーが携わるのは今回が初めて。このプロジェクトバイクは今月西海岸最大級のチョッパーショーに出展され、その後アメリカ全土のHDディーラーを行脚し、そしてミルウォーキーのミュージアムに格納される。ビルダーの富樫氏はどんな思いで、このプロジェクトに立ち向かったのか。

メカニックを務める渡直也さんは、前職芸術大学の講師という異色の経歴を持つ。JSTのデザインは二人で協力して生み出したモノだ

「まず、HDがヒデモを選んでくれたことは素直に光栄に思います。でも、自分の頑張りだけの結果ではなく、黎明期から先輩たちが活躍し続け、シーンを育んできてくれたことが大前提。最近ではチェリーズカンパニーが製作したバイクが映画『THE BATMAN』の劇中車となったり、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーがラックMCにチョッパーをオーダーするなど、日本のシーンに世界から目が向けられるようになっているんです。それなのに国内ではカスタムバイクはまだまだアンダーグラウンド。このプロジェクトは日本の多くのビルダーや関係者の努力のうちの一つですが、カスタムバイクが日本でもカルチャーとして認められるきっかけになってほしいと思います」

ヒデモーターサイクルのセンスや技術、また日本のカスタムシーンのレベルの高さを世界に知らしめるチャンスとなるプロジェクトだが、一方で世界に誇る素晴らしいシーンが日本にあることを日本人に伝えるチャンスでもあるのだ。日本の様々なビルダーが育ててきたカスタムカルチャーが、より広く浸透し、暖かい目で見守られることを願いたい。

“JST”Built by HIDE MOTORCYCLEをとくと見よ!

日本のシーンから生まれたストリートトラッカーをコンセプトに製作した“JST” は、タンクからシートカウル一体型のアルミボディによって美しいシルエットを構築。そして、ワンオフのサブフレームを介してリアサスペンション位置を移設することによって、着座位置をやや前に移動し、日本人の体格に合わせたポジションを実現する。“JST” をベースにボディをファイバー製に変更して、今後コンプリートカスタムを展開する予定だ。

ベースのナイトスター。水冷エンジンやラジエーターなど空冷モデルから大きく変化したが、これまでのスポーツスターの面影を色濃く残している。

アルミのシートメタルから叩いて製作した外装がJSTの真骨頂。エッジや曲線が入り乱れる複雑な造形にビルダーの卓越したメタルワークスキルを見る。フォークに巻きつくようなナセルは、H-Dのトラディショナルなディテールのひとつ。手作業の立体的な造形に加え、前面の配色によってコンパクトに見える効果を狙っている。

サブフレームを製作して、リアサスの位置をやや前に移設することでリア周りのボリューム感を軽減し、スイングアームが長く見える視覚的効果を生み出している。

ラジエーターカバーはアルミのワンオフだが、あえて純正カバーのようなマットな質感に。全てを強調するのではなく、黒子は黒子に徹するヒデモのカスタムビルドの美学が現れている。

ワンオフのエキパイにカーボンサイレンサーをセット。スポーティなシルエットを引き立てるデザインだ。

タンクからシートカウルまで流れるようなラインを描くシャープなシルエットの外装はヒデモーターサイクルが得意とするカスタムだが、新型ナイトスターは空冷モデルと違い、エンジンの前に大きなラジエーターを備えるので、前から見た際のボクシーなシルエットを計算したデザインとなっている。

製作前のスケッチの段階でほぼデザインはできていたというJSTだが、平面のデザインを立体に落とし込み、そして最終的にライダーが跨がり人馬一体となってカスタムバイクは完成する。走行性能を犠牲にすることなく、造形の美しさによって個性を生み出すのがヒデモのカスタムマナーだ。

【DATA】
HIDE MOTORCYCLE
Tel. 044-822-8069

HIDE MOTORCYCLE

(出典/「CLUTCH2022年8月号 Vol.86」)

この記事を書いた人
CLUTCH Magazine 編集部
この記事を書いた人

CLUTCH Magazine 編集部

世界基準のカルチャーマガジン

日本と世界の架け橋として、国外での販路ももつスタイルカルチャーマガジン。本当に価値のあるモノ、海外記事を世界中から集めた、世界基準の魅力的コンテンツをお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

初夏は、泥と大戦で。「STUDIO D’ARTISAN」2026SSの新作を紹介!

  • 2026.07.03

選ぶのは「泥染の開襟シャツ」か、「大戦モデル」か──。この初夏、気になるのは対照的な表情を持つ二つの新作だ。そのどちらにもステュディオ・ダ・ルチザンならではの、丁寧な作りと遊び心が息づいている。 奄美大島の伝統技法が生む、泥染ならではの深い表情に注目 奄美大島に古くから伝わる泥染は、テーチ木(シャリ...

夏のアメカジがもっと楽しくなる「HEATH」のオリジナルプリントT !!

  • 2026.06.30

横浜を拠点に“大人のアメカジ”を提案する「ヒース」。セレクトショップでありながらハイクオリティなオリジナルプロダクツに定評があり、遊び心のあるアイテムや限定モデルも多く展開している。その筆頭が7.4オンスの肉厚Tシャツシリーズだろう。 [caption id="" align="alignnone"...

革とデニムの境界線を越える! デニムのように見えるけど実はコレ、革なんです。

  • 2026.07.02

前号でもお伝えしたが、天神ワークスの開発していた新しい革「リジットレザー」が完成し、この度、遂にレザージャケットとなって登場した。まずはこの写真を見てほしい。これは、天神ワークス代表の髙木さんが1カ月着込んだもの。このエイジング、まさにデニムじゃね? でも、レザーらしいエイジングも見え隠れする、唯一...

夏の余白に、存在感を。大人メンズの夏スタイルに個性と奥行きを添えてくれるアイテムを紹介!

  • 2026.06.30

シンプルな装いだからこそ、アクセサリーや小物が着こなしの印象を大きく左右する夏。そんな季節にチャコールグリーンが提案するのは、物語とクラフトマンシップを宿した逸品たち。夏のスタイルに個性と奥行きを添えてくれるアイテムを紹介する。 手仕事が生む、本物の存在感 2002年に誕生したアティースは、「REL...

時とエイジングを刻む。VAGUE WATCH&Co. × CONSIGLIERE THE 1ST SPECIAL WATCH

  • 2026.07.02

時計は時間を刻むもの。本来の目的はそれで十分だが、「エイジングするものに囲まれて暮らしたい」という自称革ジャンの伝道師・モヒカン小川はベルトにもこだわる。そんな彼が愛用するヴァーグウォッチとシルバージュエリーブランド「コンシリエーレ」のコラボウォッチには毎日身につけた分のエイジングが刻まれている。 ...

Pick Up おすすめ記事

夏のアメカジがもっと楽しくなる「HEATH」のオリジナルプリントT !!

  • 2026.06.30

横浜を拠点に“大人のアメカジ”を提案する「ヒース」。セレクトショップでありながらハイクオリティなオリジナルプロダクツに定評があり、遊び心のあるアイテムや限定モデルも多く展開している。その筆頭が7.4オンスの肉厚Tシャツシリーズだろう。 [caption id="" align="alignnone"...

夏の余白に、存在感を。大人メンズの夏スタイルに個性と奥行きを添えてくれるアイテムを紹介!

  • 2026.06.30

シンプルな装いだからこそ、アクセサリーや小物が着こなしの印象を大きく左右する夏。そんな季節にチャコールグリーンが提案するのは、物語とクラフトマンシップを宿した逸品たち。夏のスタイルに個性と奥行きを添えてくれるアイテムを紹介する。 手仕事が生む、本物の存在感 2002年に誕生したアティースは、「REL...

初夏は、泥と大戦で。「STUDIO D’ARTISAN」2026SSの新作を紹介!

  • 2026.07.03

選ぶのは「泥染の開襟シャツ」か、「大戦モデル」か──。この初夏、気になるのは対照的な表情を持つ二つの新作だ。そのどちらにもステュディオ・ダ・ルチザンならではの、丁寧な作りと遊び心が息づいている。 奄美大島の伝統技法が生む、泥染ならではの深い表情に注目 奄美大島に古くから伝わる泥染は、テーチ木(シャリ...

王道のデニムセットアップはボトムスで差をつけろ!

  • 2026.06.30

昨今のアメカジブームのなかで、注目度が高まっている“デニムオンデニム”のセットアップスタイル。王道ももちろん良いが、一歩先を行きたいアメカジラバーはボトムスで差を付けてみるのはいかがだろうか。気鋭のブランド「アンバースレッズ」が展開するデニムセットアップはそんな望みを叶えてくれるに違いない。 Amb...

時とエイジングを刻む。VAGUE WATCH&Co. × CONSIGLIERE THE 1ST SPECIAL WATCH

  • 2026.07.02

時計は時間を刻むもの。本来の目的はそれで十分だが、「エイジングするものに囲まれて暮らしたい」という自称革ジャンの伝道師・モヒカン小川はベルトにもこだわる。そんな彼が愛用するヴァーグウォッチとシルバージュエリーブランド「コンシリエーレ」のコラボウォッチには毎日身につけた分のエイジングが刻まれている。 ...