世界に轟くジャパンメイドのクオリティ。トラッドスタイルを愛する16人の洒落者が太鼓判を押すトラッドファッションに欠かせない名品を4回にわたりご紹介。今回は音楽、ファッションシーンで活躍する4人の愛用品を紹介する。
1.ファクトリーメイド×ステットソン×ヘッズのカンカン帽|ミュージシャン・渡辺俊美さん
1990年代よりミュージシャンとして活躍しながら、洗練されたファッションにも一目置かれてきた渡辺俊美さん。なかでもヘッドウェアは、顔の一部と言っても過言ではないアイコニックなアイテム。
夏になれば、やはり清涼感のあるカンカン帽に手が伸びてしまうという。最近のお気に入りは、今季よりスタートした、自身がプロデュースを手掛ける帽子専業ブランド、ヘッズのひと品。なんと、アメリカの老舗ブランド、ステットソンとのコラボによる日本製だ。
「熟練の技術が必要となるカンカン帽を、国内最大手の中央帽子さんの協力の下、今では希少な国産で作ることができました。カンカン帽は形が決まっている分、フィット感を出すのが非常に難しいのですが、これは日本人の頭にもフィットしやすい。
そのあたりの正確な作りは流石、メイド・イン・ジャパンならではですね。服もそうですが、帽子もトラッドなアイテムだからこそ、素材が大事ですよね。これは、昔ながらの天然の花麦で作っているので生地が肉厚で丈夫。叩くとしっかり“カンカン”と鳴るんですよ」
2.クロ x J.プレス オリジナルスのデニムカーゴ|「J.プレス&サンズ アオヤマ」バイヤー・黒野智也さん
Jプレスを代表するプロダクツでもあるブレザーにオリーブのカーゴパンツを合わせるいわゆるミリタリートラッドスタイルを、もう少し新鮮に見せたいと思ったのがきっかけで、岡山発のクロとのコラボ企画がはじまったデニムカーゴパンツ。
モチーフとなったのは名作として名高いアメリカ軍のM65トラウザーズ。ヴィンテージの個体を用意し、シルエットやサイズなどそのままに、仕様も変更せず、あくまでも本物ままを表現。
もちろんミリタリートラッドスタイルを表現する上で重要なアイテムではあるが、同時に1990年代のストリート感も演出できることも黒野さんの計算にはあったという。
「何もいじらずそのまま作るのが1番カッコ良いんじゃないかと思いストレートにM65を作りました。穿き慣れている方にはお馴染みのシルエットです。生地や洗いは90年代をイメージし、コットン100%の厚くて硬いヴィンテージ特有の凹凸のあるデニム生地を採用、洗い加工でいかにも90年代らしいブルーデニムを表現しました。単純にボクが一生かけて穿きたいと思える1本です」
3.ループウィラーのLW290|フリー編集者・小暮昌弘さん
「幻の機械を見たさに和歌山県まで出掛けて行ったのは8年前になります。ループウィラーというスウェットシャツの素材を編む「吊り編み機」という機械です。アメリカで60年代までは普通に生産されていた「吊り編み」のスウェットですが、現在、この素材を作れるのは和歌山県にある約200台の機械のみ。
実はループウィラーはスウェットでもTシャツでもすべて「吊り編み機」で編まれた素材で製品を作る稀有なブランドです。工場の天井から整然と吊るされた機械は、まるでSF映画に出てくる繭のよう。
もともとこの機械は欧州で製作されていたそうですが、和歌山にあるのはすべて日本製です。輸入された機械を参考に作られたものだとも聞きました。スローモーションのようにゆっくりと機械が回って素材が編まれていく。
1時間かけてもわずか1メートルしか編めない。速度が遅い分、編み地の目が詰められるのでしっかりとした素材で出来上がり、着心地もいい。ループウィラーのスウェットシャツを着用するとき、機械遺産とも言えるこの「吊り編み機」の光景をいつも思い出します」
フリー編集者・小暮昌弘さん
1957年生まれ。法政大学卒業。婦人画報社現(ハースト婦人画報社)で雑誌『メンズクラブ』の編集長を務めた後、フリーランスの編集者に。現在は、雑誌やウェブメディアなどで活動中
4.クロース&クロージングのカスタムオーダーシャツ|「クロース&クロージング」オーナー・瀬古洋平さん
オールシーズン活躍するシャツは、大人のカジュアルスタイルにおいて必要不可欠な存在。ホワイトシャツはもちろん、季節やコーディネイトによってカラーシャツを着分けるのも乙だ。
そんなワードローブに必須のアイテムであるシャツだからこそ、体型や好みに合わせたこだわりの1枚を持ちたいもの 。「ボク自身、シャツはほぼ毎日のように着用していて、コーディネイトの中心と言っても過言ではないほど。
そのため、既製品にはないオーダーならではの自分らしいディテールや色を楽しめるのはオーダーシャツの良いところです。ここ最近は、柄の組み合わせよりも色の組み合わせの妙を楽しむことが多くなってきたので、季節感を含め、シャツの色で自分らしさを表現したいなと思っています」
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「2nd 2022年7月号 Vol.184」)
Photo/Satoshi Ohmura, Nanako Hidaka, Kenichiro Higa, Yoshika Amino Text/Tamaki Itakura, Masahiro Kogure, Eisuke Yamashita, 2nd magazine
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