とっておきのヴィンテージデニム。藤原裕さん

人それぞれの価値観で想い入れが詰まった唯一無二のデニムが存在するはず。今回そんな「とっておき」見せてくれたのは、長年ヴィンテージ業界で多くのヴィンテージデニムに触れてきた藤原裕さん。藤原さんのとっておきは、一度買いそびれ、再び出会うのに待つこと10数年かかったというジャケットだ。そのストーリーを詳しく訊いた。

1940s Carhartt Denim Jacket

片ポケット、バックルバックスタイルのいわゆる1stタイプ。同時期ころに作られた2ポケットスタイルの2ndタイプも存在する。ハートをあしらった刺繍のブランドタグは1940年代の証

ワークウエアブランドが作るデニムジャケットやジーンズは、戦争により経済が潤った戦後の1950年代はともかく、戦前戦中の1940年代では、極めて残存数が少ない。当然、流通量が少ないため、高値で取引されている。

長年、ヴィンテージ業界に身を置き、さまざまなヴィンテージデニムに触れてきた藤原氏でさえ、Carharrtのデニムジャケットは、数えるほどしか目にしたことがなく、彼が知る限り、所有している人も都内では片手で数えられるほどなのだとか。そんな彼がこのデニムジャケットに最初に出会ったのは20年ほど前。とある古着店のショーケース内で見たのが最後。以来、なにげに探し続け、ようやく約4年前に念願叶った。

「その昔、見つけた時に買っておけばよかったんでしょうけど、当時で25万円しましたからね。若かりし日のボクにとって簡単に買える金額ではありませんでした。ワークブランド発のプロダクツなので、先を走るデニムブランドとは、同じサイズ表記であっても多少のゆとりがあったり、アームホール部分が太かったり、そして、着丈がやや長かったりなど、シルエットも大きく異なります。希少性はもちろん、ワークブランドならではの武骨なシルエットも大きな魅力なんですよね」

ジャケットに使用するデニム生地は色落ちや質感など、初期のWranglerと似ていると話す藤原氏。どちらもアメリカ東部発のブランドであるため、生地の供給先が同一だった可能性もある

(出典/「CLUTCH2024年8月号 Vol.96」)

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