いわゆる古着やアンティークも愛好家の間では価値基準がある程度確立されているとはいっても、そんな一般的なチョイスでは選ばないのが独自のものさしを持っているデザイナー。
世の中の価値基準よりも自分目線のものさしを大事にしているスティーブンソンオーバーオールのデザイナーである多賀谷さんの古着やアンティークの選び方は、その独特な審美眼も含めて参考になる。
年代的な価値よりも自分が惹かれる「何か」が大事。
台湾のタイヤル族の民族衣装はインディゴ染めの生地をベースにすばらしい配色で構成されている。ファッションというものさしが無いからこそ、伝統やその民族の文化によって生まれるデザインはいつも勉強になる。もちろん大量生産されたモノではないので年代特定は難しい。
薄手ながら丈夫なキャンバス地で縫製はすべて本縫い(1本針縫製)仕様。バックヨークやカフス部分はギャザーになっているシンプルながら考えられたデザイン。年代まで特定できないけれど、おそらくかなり旧い時代のワークシャツだと想像できる。購入の決め手になったのは微妙な汚れ具合とその存在感。
ムラ感のかなり強いコットンツイル生地にパッチポケットという極めてシンプルなカバーオール。フロントのポケットはすべて同じ大きさのモノを3つ配置するというやる気の無いデザインだけど、そんな洗練されていないところが逆にヴィンテージのワークウエアらしくてカッコいい。
パリのミリタリー系ヴィンテージディーラーのショールームで見つけたデッドストックのサングラス。フランス製のアビエーターモデルで、ラウンドしたテンプルやクラシカルなノーズパッドなど、現代のサングラスとはまったく違う雰囲気。ただ、かなりインパクトのあるモデルなので、普段使いするかどうかは未定。
英国陸軍に支給されていた編み上げブーツ。さすが英国だと思わせるビスポークのような美しいシルエットだけでなく、オリジナルでは無いグレーのシューレースにカスタムされていたのが決め手。欠品していたシューレースをあえてグレーで代用するセンスに感心した。ミリタリーモノなので、支給年度がスタンプされ、年代特定ができるのもいい。
Photo/T.Furusue 古末拓也
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