ほかのブランドには真似できない、試行錯誤の末の技法
湘南にある工房にて、職人が地金から一点一点作り上げるアクセサリーブランド「市松」。シルバーやゴールド、プラチナなどの金属を素材として、職人がいくつかの技法を駆使することによって唯一無二のアクセサリーを生み出す。
28年前の創業時から変わらず続く代表的な技法が“鎚目”と呼ばれるもの。これは金槌で地金を打ち付けることで、「市松」ならではの模様を生み出す技。類似品も多く出回っているが、28年以上にわたってこの技法を追求し続けてきた職人の手によって刻まれる絶妙なニュアンスは、ほかの何者にも真似できない。
そして、昨年新たな技法として生み出されたのが、“鑽(たがね)”。鑽という工具を使って地金に直接線を打ち込み、ネイティブ感のあるデザイン性の高い模様をあしらっていく。何度も角度や位置を変えながら打ち込むことで生まれる立体感は唯一無二だ。“鎚目”と“鑽”、いずれの手法にももちろんレシピはなく、職人による試行錯誤の賜物。自分だけの一点モノとして、これほど贅沢な品はそうそうない。
(写真右上)金槌で一点一点、地金の表面を叩くことによって生まれる凹凸を、〈市松〉では“鎚目(づちめ)”と呼ぶ。見る角度によって様々に表情を変え、見るものを魅了する。左[シルバー12mmバングル]6万6000円、右[シルバー8mmリング]3万8500円
(写真左下)新技法として人気なのが“鑽(たがね)”。鑽という工具を使って何度も地金に線を打ち込み、ネイティブ感のある迫力満点のデザインに。左[シルバータガネフェザー12mmバングル]9万3500円、右[シルバータガネフェザー8mmリング]6万500円
ほかには決して真似できない、精緻を極めたふたつの技法
鑽
鑽(たがね)と呼ばれる工具を使用(下の写真)。尖った先端部を地金にあてがい、上から金槌で叩くことで模様を打ちつける。まずはじめに軽い力で下書きのように線をつけていき、次にその線にそって強い力で複数回叩く。それも叩くごとに角度を変えることで、立体感を生み出している。仕上げに、線を馴染ませるためもう一度。計3回鑽を打ち込むのだ。最後は金槌で直接叩いて成型。
鎚目
創業より28年続く伝統の技法が“鎚目”。「市松」のアイデンティティとなっている技法だ。金槌を使って直接地金を叩くことによって、まばら状に鎚目が広がっていく。シンプルではあるが、美しい表情をもたらすためには並々ならぬ技術と経験が必要。リズムよく、しかし慎重に。当たり前だが同じ模様はふたつと存在しないため、紛れもない一点モノのアクセサリーが完成する。
「鎚目」と「鑽」の技法が活きる、それぞれのアザーモデル
先に説明したように鑽の技法を使って一本の地金に溝を作り、それを万力でねじることによって、まるで細い数本の地金が捻り合わせられているかのように見えるデザイン。創業当初から展開されているスパイラルバングルの進化形とも言える。左[タガネねじりバングル]7万1500円、右[タガネねじりリング]4万9500円
定番として愛され続ける[シルバースパイラルバングル]。角度によって見え方が変わる模様に加え、“ねじり”によっていっそうデザイン性を高めた。[2連リング]も人気の高い商品。〈市松〉ファンには、リングやバングルの複数付けを楽しむ人も多い。左[シルバースパイラルバングル]6万500円、右[シルバー2連リング]4万9500円
「ベルーリア鎌倉」で、自分だけの市松をオーダーできる
「市松」のオーダーサロンとして、長谷にオープンした「ベルーリア鎌倉」は、古民家をリノベーションした風情ある空間。リングは0号から0.5号刻みで、バングルは実寸1㎜単位でオーダー可能。
【DATA】
ベルーリア鎌倉
神奈川県鎌倉市長谷2-20-32
TEL0467-22-2566
12:00〜18:00 不定休(要予約)
@ichimatsu_accessory
(出典/「2nd 2025年5月号 Vol.211」)
Photo/Yuco Nakamura Text/Shuhei Takano
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