人気上昇中の45に絞ったレース、45チャンピオンシップが熱い。
9月24、25日に石川県の千里浜なぎさドライブウェイにて、ヴィンテージバイクの砂浜直線レース、千里浜サンドフラッツが開催された。昨今の日本のヴィンテージレースの火付け役として全国のフリークから支持されるイベントだが、今回本誌が焦点を当てるのは昨年から設けられた〝45チャンピオンシップ〞だ。
千里浜サンドフラッツの〝45チャンピオンシップ〞は排気量45キュービックインチ(約750㏄)までの、H-DまたはIndianのサイドバルブ、500㏄のTriumphにレギュレーションを絞ったクラス。それは’30年代からアメリカで750㏄サイドバルブのアメリカ車と500㏄ OHVのイギリス車が競い、ボバーのルーツと言われるクラスCを意識したモノ。サイドバルブ対OHVのバトルは実現しなかったが、トラディショナルな世界観が尊重されたレースは結果だけでなく、車両のスタイルも見所満載。
昨年より前の千里浜では、45以下の車両はより大きな排気量の車両と競うため日の目を浴びにくい存在だったが、小排気量車のクラスができたことにより、ダートで扱いやすく、チューンの振れ幅が大きい45の人気が増しているというわけだ。いま全国のヴィンテージレースフリークが熱くなる45に注目したい。
編集部の気になったバイクを紹介!
1939 H-D WLDD|Rider:Hiroyuki Nakai
“ 45 CHAMPIONSHIP”の頂点に輝いたのはウエスタンリバーの中井氏。元々TROGを走っていたWLDDを手に入れ、千里浜用に調整して初優勝を果たした。エンジンはWRの腰上を使用し、軽量フライホイールや軽量コンロッドを採用した高回転型のチューンが施されている。
1948 INDIAN 648 BIG BASE SCOUT|Rider:Takeshi Funamizu
1948年の1イヤーのみ生産されたビッグベースはIndianの歴史上唯一のファクトリーレーサー。VALLEY MOTORCYCLEによるレースチューンが施されたTOKYO INDIANS船水氏の愛機は、ロードレースA.V.C.C.で好成績を収めるマシンだけに砂浜の走りに注目が集まった。
1948 H-D WR|Rider:Kazuya Ito
ファーストアローズ伊藤氏はH-D謹製のファクトリーレーサーWRでエントリー。ナチュラルスティールワークスにて、WR本来の性能を引き出すオーバーホールを施している。千里浜サンドフラッツ以外でもTTレースやフラットトラックなども走るオールマイティな1台だ。
1934 INDIAN SPORT SCOUT|Rider:Masaki Egawa
トロフィークロージング江川氏のスカウトは、元々デイトナレースに出ていたヒストリーを持つレーサーにカリフォルニアのブラットスタイルがビッグベース仕様のレースチューン施したマシン。シフトミスにて敗退したが、日本の草レースでの今後の活躍に期待したい1台だ。
1942 H-D WLA|Rider:Yoshiharu Sakamoto
青森県三沢市のレーシングクラブDUSTERSの主宰であり、自ら製作したレーサーでアメリカのボンネビルやエルミラージュなどのランドスピードレースに挑戦する驚異のプライベーター。トラディショナルなモディファイ、スタイルのこだわりも坂本氏のレーサーの特徴だ。
1941 H-D WLD|Rider:Atsushi Wakayama
旧き良き時代のレースシーンに精通し、モーターサイクルギアを取り扱うジャックサンズ若山氏の愛機は、WRのパーツを使用して当時のダートスタイルを意識したWLD。今回の千里浜サンドフラッツに向けてビッグバルブ化やビッグポート加工、ハイカムのインストールなど、エンジンのホップアップを施している。
1957 RIKUO RT|Rider:Takeshi Miyazaki
石川県でベビーツインに特化したパーツを取り扱うAAR宮崎氏の陸王RTは、ナローに加工したヒルクライマーフォークを軸に、フレーム内に収まるワンオフタンクなど軽快なヒルクライマーを意識したカスタム。ストローカーで排気量を860㏄に拡大し、RT2型の4速ミッションを採用している。
(出典/「CLUTCH2022年12月号 Vol.88」)
Text & Photo by Yuta Kinpara 金原悠太 取材協力/千里浜サンドフラッツ https://www.csf-official.com/