2ページ目 - 原田真二マニアック流ビートルズ鑑賞法|ビートルズのことを考えない日は一日もなかった 特別対談 Vol.20 野口徹

原田真二とポール・マッカートニーの類似点

2014年5月に行われる予定だったポール・マッカートニーの国立競技場公演

竹部:そうはいっても、我々は原田真二とポールとの類似性を感じてしまうわけじゃないですか。音楽もそうだけど、しぐさ、キャラクターも。前世は兄弟だったのかな、みたいな。そういう部分の発見はどうですか。

野口:ビートルズの話をすると、ビートルズって4人のキャラクターがすごくしっかり出ているじゃないですか。彼らが主演していた映画の影響もあるんだろうけど、こういうバンドは稀ですよね。そうしたときに、楽曲だけで言うと、クレジットはレノン=マッカートニーだけど、どの曲がジョンで、どの曲がポールか、というのはファンなら大体わかるじゃないですか。

竹部:ボーカルが作者ということが多いですし。

野口:そのときに、ジョン・レノンという人は実はすごく勉強家だったと思うんですよ。黒人アーティストやガールズグループの音楽のコード進行を研究している様子がうかがえるんです。特に『ハード・デイズ・ナイト』のアルバムあたりまではそれを感じるいい曲が多い。一方のポールはそういうのがない。それなりに勉強はしたんだろうけど、とりあえず鼻歌で出ちゃったメロディを曲らしくしたらああなったみたいな。

竹部:夢の中で曲を作る人ですからね(笑)。ジョンの初期、「プリーズ・プリーズ・ミー」や「アスク・ミー・ホワイ」「ドゥ・ユー・ウォント・ノウ・ア・シークレット」「イフ・アイ・フェル」あたりのコード進行は画期的ですよね。

野口:スタンダードがしっかりしているんですよ。プロデューサー感覚もあったと思う。ポールは勉強して何かを作りたいんじゃなくて、子どもの頃に聞いた音楽のエッセンスを頼りに曲を作っていたように思える。

竹部:カバー曲に関しても、ポールは節操がないですよね。

野口:ポールとジョージって、リバプールのギター屋の店員さんにコードを教えてもらっていたらしいんですね。ジョージはそこからいろんな曲を聴いて、奏法を勉強していた。でも飽きっぽいポールは途中で辞めちゃったらしい。有名な話だけど、ジョンはドノバンからスリーフィンガーを教えてもらうと、すごくきれいに弾けるようになるでしょ。

竹部:「ジュリア」とか。

野口:でもポールはフィンガーピッキングに関して独学の奏法をマスターする。

竹部:「ブラックバード」とか。

野口:そっちの方がすごかったりするわけですが、そういう意味で言うと、原田さんとポールに共通するのは、触れてきた音楽を意図して勉強した結果を表現したわけじゃなく、自分の内側から生み出されるものを進化して表現しちゃう能力が圧倒的に高いということ。

竹部:なるほど。そういえば、僕が野口さんに最初にお会いしたのは2014年のポールの国立競技場公演の前日だったんですよ。神田の居酒屋で。

野口:そうでした。私が勇気を振り絞ってFacebookのメッセンジャーで連絡差し上げて、原田真二デビュー40周年の記念イベントを勝手に考えているんですけど、話を聞いてくれませんかとお願いしたんです。

竹部:それで会うことになったのが国立の前日。そこで原田真二のことをいろいろ話したあとに「明日、国立でポール観ます」という話になって。

野口:キャンセルになった公演ですよね。

竹部:だから忘れられないんです。

野口:あれはびっくりしました。千駄ヶ谷の駅に着いたら戻ってくる人いて、何が起きているのかと思った。竹部さんはどこで気が付いたんですか。

竹部:入り待ちしようと思って、ホープ軒のあたりにいたんですよ。結構な人数になっていたんですが、待てども待てども、ポールは来ない。1時間以上待っても来なくて、そろそろ開場じゃないかとなっても来ない。そうしたら、「今日は中止」という情報が入ってきた。あのときすごくいい席のチケットを持っていたんですよ……。

野口:次の日も中止でしたよね。

2001年、新宿ロフトプラスワンで行われた「語ろう!原田真二と」
「語ろう!原田真二と」で原田真二さんに質問する野口さん

竹部:せっかくの野外で晴天だったのに。つくづく残念でした。でも、僕と野口さんが最初に遭遇したのはその前があって、2001年10月のロフトプラスワンでの「語ろう!原田真二と」なんですよね。あのイベントにいらしていただいた。

野口:
ファンの一人として参加して客席から竹部さんのことを見ていました。まさにこういうイベントを待っていたと思って駆け付けたんです。私は98年から2001年までロンドンに住んでいて、ちょうど帰ってきて間もなくの頃だったんです。

竹部:そうだったんですね。あのイベントは渡邊文武さんと会ったことから企画したものでした。原田真二の音楽を本気で聴いている人がいることにびっくりして、仲良くなって。それをつないでくれたのが鈴木ダイスケさんだったから、鈴木ダイスケさんがやっていたフリーペーパーのイベントということにして実現したんです。200人ぐらい入って超満員でした。

野口:会場のとき行列が出来ていましたから。こんなにファンがいるんだというくらい。

竹部:本人登場は言っていなかったのに。

野口:本人は来ないと思っているから、お客さんもリラックスしていたし、私も気楽に質問していたけど、本人が来ると知っていたら気を使っていたと思う(笑)。でも私としては、よくやってくれたと思いますけど、ツッコミが甘いなって思った。いちいちそれは違うよって心の中で思っていて……。さっき話したように、もうちょっとデータを踏まえて話した方がいいんじゃないかなと。印象では原田真二のすごさは語れないんですよ。

竹部:あの時は壇上に人が多すぎたかなという反省点はありました。でも前例のないイベントだったので。

野口:考えたら「原田真二マニアック」の前哨戦でしたよね。あの日原田さんは最初から来ることになっていたんですか。

竹部:地方で仕事があって、間に合えば新宿に寄れるかもしれないみたいな感じでした。そうしたら本当に来てくれて、二部から壇上に登場してくれて盛り上がりました。

野口:そういうことだったんですね。本人が登場したのは嬉しかったな。

竹部:ちょうどあの時期って、松田聖子さんのサポートをやっていた頃で、その少し前にある雑誌で原田真二&松田聖子の対談をやったんですよ。僕とHMVの長井の二人で仕切って。あのイベントではこれから出るシングルといって「愛♡愛〜100%♥Pure Love〜」の弾き語りをやってくれたのを覚えています。

野口:私もその年の8月に日本武道館で松田聖子さんのライブは見たんですよ。チケットを譲ってもらって。あれが原田真二と松田聖子のツーショットを観た唯一の機会。良かったですね。オープニングが「サウンド・オブ・ファイヤー」でしたよね。ロフトのイベントでは「サウンド・オブ・ファイヤー」のイントロを少し弾いてくれて。

竹部:そうでした。

この記事を書いた人
竹部吉晃
この記事を書いた人

竹部吉晃

ビートルデイズな編集長

昭和40年男編集長。1967年、東京・下町生まれ。ビートルズの研究とコレクションを40年以上続けるビートルマニア兼、マンチェスターユナイテッドサポーター歴30年のフットボールウィークエンダーのほか、諸々のサブカル全般に興味ありの原田真二原理主義者。WEBメディア『昭和MILD(https://showamild.com/)』もよろしくお願いします。
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