なお、Siri AI(ベータ)日本語版のローンチは『10月』となっている。この記事は、技術説明に基づく特別な許可を受け、iOS 27デベロッパベータ(27.2)を試用して執筆している(通常、デベロッパベータには守秘義務が伴う)。また、デベロッパーデータは正常な動作が補償されないバージョンなので、試用は必ずテスト機で行なう必要がある。
ちなみに、現在すでに公開されているiOS 27(27.0)でも、使用言語を米国英語にすると、英語版のSiri AIを利用することができる。インターフェイスは英語だが、Siri AI自体は日本語も理解してくれるので、気になる方は試してみていただきたい。
Siriが初めて日本語を話してから14年、Siriが再び大きく変わる
「Siriなんて役に立たない」。これが、現在の大方の人の意見だろう。
Siriが使えるようになったのは2011年10月(日本語版は2012年3月)。なんと、我々がiPhone 4sを使っていた時だ。今考えると、iPhone 4sでよくあんなことができたものだとは思うが、そこから大きな進歩をすることがなく、今に至っている。

多くの人は、アラームやタイマーを設定したり、天気を聞いたりぐらいしか使わなくなっているのではないだろうか?(スマートホームをやってる人はもうちょっと使うかも)カレンダーを記入したり、道案内を頼んだりもできるけど、聞き間違えられて、それを手入力する方が面倒。
そこから15年の時が流れ、数年前から我々は生成AIと話すようになった。これは、仕組みが違うからかなりスムーズに話す。中には、恋に落ちたり、人生相談したりする人もいるぐらい会話が流暢だ。
アップルもSiriに部分的にAIを使おうとしたが、いろいろ問題があり、全面的にやり直すことにした。アップルは個人情報を重視しているし、Apple 2030で2030年にカーボンフットプリントをゼロにするという目標があるので、バリバリとデータセンター型のAIを使うわけにはいかない。

そこで、ゼロからやり直して、Apple Intelligenceという仕組みを作って、できる限りはiPhoneやMacローカルで、無理でもPrivate Cloud Computeという限られたクラウドスペースで生成AIを活用するようにした。旧来のApple Foundation Modelsと、Geminiのモデルを組み合わせて、オンデバイスで動くものと、データセンターで動くもの、合計5つのFoundation Modelを作った。Private Cloud Computeに持っていくにしても、ローカルのAIで質問を要点まで絞ってデータセンター側に持っていくので、通信量も少ないし、個人情報の移動も最低限。ローカルで絞った質問をデータセンター側に渡すので、データセンターAIの電力消費量も少なくて済む。

そして、このApple Intelligenceを使った新しいSiriが『Siri AI』だ。
英語版はiPhone 18 Pro発売の直前に発表されたiOS 27から使えるが、日本語版は『10月』とアナウンスされている。
第一印象は期待したほどの進化ではないように思えたが
さて、アップデートを終えてSiriボタンを押して話しかけてみる。
ちなみに、アップデートしてから使えるようになるまで、数日、時間がかかった。検索データの最適化などに時間を必要とするようだ。このあたりは、ベータ版だからかもしれない。本番時にどうなるかは不明。
「Hey Siri ! あなたは何ができるの?」
6つの円が回るグラフィックの後、少しあってご覧のような回答が返ってきた。割と当たり前の回答だし、驚きもない。話し方も昔のSiriよりは流暢だが、ChatGPTの人間性さえ感じさせる話し方に比べるとかなりぎこちない。

ChatGPTやGeminiなどは、時に親しげで媚びるような雰囲気さえ感じことがあるが、Siri AIは「あくまであなたのパーソナルアシスタントに徹する」とのことだ。
もちろん、ChatGPTやGeminiは利用してもらわないといけないので味の濃い外食のようなものである可能性はある。Siri AIは依存性のない「家庭の味」なのかもしれない。とはいえ、もうちょっと洗練されると使いやすいと思うのだが。
個人情報を知っているからこその便利さ
しかし、数日使っていると、その便利さに気がついた。
たとえば、外出先で「ここから、次の予定に電車で行くには何時に出ればいい?」という質問ができる。

Siri AIは、あなたの現在位置を知っているし、カレンダーアプリに入っている次の予定の場所を知っている。これを引き合わせてマップアプリから乗換案内を検索して提供してくれるのだ。
さらに、「この移動をスケジュールに入れて」と言えば、予定として書き込んでくれる。これは便利だ。

どのぐらいiPhoneに連絡先、カレンダー情報を入力しているかで便利さは異なるが、少なくとも筆者の場合、かなり便利になった。
サイドボタンひとつで調べられることの便利さ
日本語の認識精度が飛躍的に向上しているので、調べモノにも使えるようになった。たとえば「ここから一番近い家電量販店を教えて」とか、「近くの鳥貴族の営業終了時間を教えて」というような、日常に発生する細かい調べものにはかなり対応してくれるようになった。音声認識もスムーズだし、しかるべきところを調べてくれる。また、こちらの位置情報を把握しているというのも便利なポイントだ。

「Apple Watch Series 12は、ケース素材によって大きさが異なるの?」という質問にも的確に答えてくれている。
ちなみに、情報ソースがしっかり表示されるのも特徴で、たとえば「Even G2についてウィル・ワンCEOが語っていることについて調べて」と頼むと、出てきた情報はちゃんとDig-it/ThunderVoltから引用されていた。Apple IntelligenceはThunderVoltもちゃんと参考にしてくれているようである(笑)

iPhoneの中にある情報を調べる
メールやメッセージを探すこともできる。
試しに、「メールを検索してSiri AIの公開日について教えて」と言うと、ちゃんとアップルの担当者からのメールを調べて詳細を教えてくれた。筆者はプレスリリースやメルマガなども含めて1日に300通前後のメールを受け取るので、よく必要なメールを見失ってしまうのだが、これからはSiri AIに頼んで検索してもらえば良さそうだ。

ただし、現在のところSiri AIはアップルのサービスを中心としたごくわずかなメッセンジャーしか対応していないので、Facebook MessengerやLINEで来た連絡を探ることはできない。APIに対応すればできるそうで、LINEについては前向きに進行中のようだったので期待して待ちたい。
使いようによってはとっても便利だが、さらなる進化を期待
Siri AIのスムーズでない音声に「あまり進歩しなかったか?」と不安になったが、「我々の個人情報を知ったパーソナルアシスタントである」ということを認識して使うと、かなり便利に使える。
使い始めて数日経つが、iPhoneのサイドボタンを押すだけで使える利便性も良く、ちょっとした質問であればSiri AIを使うようになった。
ただし、筆者の場合、個人オフィスで仕事をしており、車移動が多いから使いやすいという事情もある。日本の多くの人の場合、オフィスでは使いにくく、移動は公共交通機関だし、家庭でも音声入力はなんとなく使いづらいという人は多いと思う。このあたり、米国などの海外と、日本のパーソナルスペースの広さの違いの事情もある。
使いようによっては便利なので、ぜひ機会があったら使ってみていただきたい。
次回はSiri AIのカメラ機能の利用についてレポートしたい。
(村上タクタ)
関連する記事
-
- 2026.09.13
“ひらく”を考え尽くしたiPhone Duo。実際に触れて分かった感動ポイントと問題点
-
- 2026.09.07
折りたたみiPhoneと同サイズと言われるZ Fold8は、コンテンツ消費に最適