手作業から生まれる圧倒的な造形美
真のトラッド好きは服だけでなく道具にもこだわる。その守備範囲が傘にまで及べば、とても粋だ。ロンドン南部のサリー州クロイドン、シャーリーでいまもなおハンドメイドを貫く「フォックス アンブレラズ」はその象徴的な存在。1868年に創業した同ブランドは、19世紀半ばに軽く、強く、しなやかなスチール製の傘骨を世界的にみても先駆けて採用したことでも知られる。
細く長く、美しいシルエット、洗練された無地やクラシックなチェック柄などの様々な生地のバリエーション、マラッカやメイプルなどの多彩なハンドル……。その魅力は枚挙にいとまがない。そして、その製作のすべてがハンドメイドで行われる。
工場内に足を踏み入れると、骨子となる木製のスティックに穴を開けるドリルの音、金属パーツをハンマーで叩く音、スチールフレーム同士が擦れ合う音、ゆっくりと動くミシンの音など、ハンドメイドならではの、静かでありながらも確かに耳に残る“音”がいくつも聞こえてくる。150年以上受け継がれてきたこの手仕事こそが、世界最高峰たる所以なのだろう。

折れにくく、反発力が強いアッシュ材を採用した「フォックスアンブレラズ」のシグニチャーモデル[GT1]。美しい細身のシルエット、天然木ならではの美しい木目と経年変化など、世界最高峰たる所以がこの一本に詰まっている。最初の一本には、シンプルで洗練されたブラックを推したい。カラーが効いたグレンチェックのコートなど、王道の英国スタイルを格上げしてくれる。4万9500円



先端部分への生地の縫い付けはハンドステッチで行われ、最後に傘を開いて全体を確認。「フォックス アンブレラズ」の特徴である寸分の狂いもない柄合わせには感嘆せずにはいられない。


生地のカッティングは重りとカッターを使った手作業で行われる。裁断後、パイピング処理が施された生地は旧いマシンを駆使し、完成した骨組みのスチール1本1本に取り付けられる。機械のみの自動的な作業はなく、すべてが手仕事。職人たちの真剣な眼差しが印象的だ。

美しいシルエットを形成する上で重要なフレーム作り。木製スティックをカッティングし、スチールフレームを取り付ける。取材時の職人の数は16名。ハンドメイドであるため、1日の生産数は多くても24本だという。
【問い合わせ】
グリニッジ ショールーム
TEL03-5774-1662
https://greenwich-showroom.com/
Photo/Benz(Factory) Makoto Tanaka(Model) Styling/Shogo Yoshimura Hair/Kazuki Fujiwara Text/Kihiro Minami
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