サンダンスの技術と理念を込めた質実剛健なるプロダクツたち【SUNDANCE R&D Report第二回】

R&Dのタイトルの通りサンダンスのパーツ開発姿勢を披露すべくスタートした当コーナーだが、中でもすべてのハーレーユーザーへ絶対的にオススメしたいのが今回のトラックテックである。

H-Dのサスの動きと操作性を高性能なバイクの水準に改善する

例えばハーレーといえばブレーキ時に「リア7割でかける」などという「自然の摂理に反したこと」がいまだまことしやかに語られるが、その背景には米国製バイクの「非常識な設計」がある。そんな論調が広がる原因は、巨体を支えるべきフォークスプリングが異常なほどヤワで、車重をまるで受け止め切れない構造ゆえ。例えばタイトなコーナーでハンドルがフワフワと暴れ、恐怖を感じたことがある方もきっと多いだろう。

この現実を「ハーレーはこんなもの」のひと言で片付けるのは簡単だが、しかしバイクはバイクだ。やはり機械として「真っ当に機能させる」のが正しき道だ。今回、紹介する『トラックテック』はまさに理想の足まわりを実現させるパーツなのだが、このプロダクツこそが「機械を機械として正しく捉える」サンダンスの哲学を象徴するものであり、そこには安全の先にある「走りの感動」をすべての乗り手へ届ける理念がある。それがここで伝われば幸いだ。

Traktekマルチレートフォークスプリング

世界に名だたるトップ・スプリングメーカー、ニッパツ社へ特注し、素材や製造方法など国産ワークスGPマシンレベルで仕上げられたのが、このマルチレートフォークスプリング。業界初となる2本のスプリングを樹脂ジョイントで組み合わせた方式は、異なる性質をもったそれぞれのスプリング同士の固有振動を利用したダンピング効果に着目したZAK柴崎氏の発想の産物で、その効果は絶大。高速振幅するフォークにおいてフルストローク時に硬いスプリングが早く伸びようとする急速な動きを、初期側の柔らかいスプリングが捕らえ、穏やかな伸びとすることを発見したZAK柴崎氏独自の理論を具現化したものとなっており、その動きのしなやかさ、優れた路面追従性がバイクの理想である“フロント7割”のブレーキングを実現する。サイズはΦ35、39、41、49とほぼすべてのハーレーを網羅する上、価格も2万5960円(税込)からとリーズナブル。乗り心地と高性能を両立したサンダンスのベストセラーである。

低回転域を担うスロージェットと高回転域のメインジェット、その組み合わせで中間域をうまく表現するキャブ・セッティングの考えを応用し、設計されたマルチレートフォークスプリング。スプリング下部の粗い部分が低速域、上部の細目が高速、初期と最大ストローク時の相反する動きが絶妙に混ざる中間領域での作動特性のすべてを追求した設計が最高峰の走りを生み出す。

Traktek テクニカルブレンドフォークオイル

車種や車重、使用用途に応じて最適なセッティングを導く専用スペシャルブレンド・フォークオイル。スーパーソフト、ソフト、ミディアム、ハードを用意する。

上のソフテイル系Φ41純正フォークスプリングと下のトラックテックを比較するとスプリングのピッチや表面処理、構造など見た目からもその違いは歴然。下のトラックテックは素性の違うスプリングを樹脂ジョイントで組み合わせ、GPマシンと同じ手法の手磨きバフで表面処理を行い、圧倒的な性能を誇るものとなっている。オイルやカラー長のセッティングで車種ごとに、確実な性能向上が果たせる内部パーツ故、例えば純正的なルックスにこだわりを抱く旧車オーナーにもオススメしたい逸品である。

Traktek

H-D純正

初期の素早い作動、路面追従性を得るため、スプリングとインナーチューブの擦れ合う抵抗を手磨きバフによって極限まで低減させているトラックテック(写真左)。右の純正と比較すると表面の質感の違いが一目瞭然だ。

理想はモーグル・スキーヤーの強靭な脚と路面に追従する素早さ

トラックテック・サスを設計する上でZAK柴崎氏が理想としたのがプロスキーヤーの脚の動き。鍛え上げられた脚の筋肉はただ強いだけではなく、大小不規則なコブを吸収させるストロークと反応、繊細な動きを実現する上、μ(摩擦ミュー)の低い雪面でも、ほとんど上半身を上下させないのだが、これをバイクに置き換えて考えると、きっとその高性能ぶりが伝わることだろう。

この記事を書いた人
CLUB HARLEY 編集部
この記事を書いた人

CLUB HARLEY 編集部

ハーレー好きのためのマガジン

ブランドとしての知名度が高く、独自のアパレルにもファンが多いハーレーダビッドソンは、バイクにあまり馴染みのない『ごく普通の人』にも大変な人気を博しています。バイクの知識がない人はもちろん、今日ハーレーのことが気になり始めた人、そしていまハーレーが好きで好きで仕方ない人たちも満足のいく情報を詰め込んだ雑誌が『クラブハーレー』です。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

金子ノブアキが着る【REDKAP × FREAK’S STORE】

  • 2026.10.21

長い歴史を持つワークウエアブランド〈レッドキャップ〉と〈フリークス ストア〉のコラボアイテムを金子ノブアキが今の感覚で着こなす。年齢を重ねたからこそ楽しめる服のこと、ブランドが持つ哲学のこと、そしてこれから大切にしていきたいこと。45歳を迎えた金子さんに、ファッションと生き方について話を聞いた。 タ...

気鋭のアイウエアブランド「CUBITTS」が描く、クラシックとモダンの共鳴

  • 2026.10.19

18世紀から20世紀にかけて眼鏡産業の世界的な中心地であったものの戦後、衰退の一途を辿ったロンドン。この地で2013年に創業した「キュービッツ」は当時を彷彿とさせるクラシックスタイルをモダンに昇華させた独自の世界観を築く気鋭のブランドだ。 伝統と現代とを繋ぐアイウエアの研究所 「キュービッツ」は伝統...

19世紀から英国紳士に愛され続ける世界最高峰のハンドメイド傘

  • 2026.10.19

年間を通じて降水頻度が高い英国において傘は必需品。ひいては英国紳士を象徴するプロダクトのひとつだ。その中でも、旧くから英国王室や上流階級の紳士たちに愛されてきたFOX UMBRELLAS(フォックス アンブレラズ)は最上級の存在である。 手作業から生まれる圧倒的な造形美 真のトラッド好きは服だけでな...

東洋エンタープライズが手がける「ゴールド」。高品質な素材選びに一切の妥協なし。

  • 2026.10.20

1965年に創業した日本屈指の老舗メーカー東洋エンタープライズ社が手がける〈ゴールド〉。同社が得意とするヴィンテージへの膨大な知見と技術力の高さを活かしつつも上質にモダナイズしたものづくりに定評がある。着用時のシルエットはもちろん、高品質な素材選びに一切の妥協をしないこと。それこそがシンプルな服に深...

Pick Up おすすめ記事

東洋エンタープライズが手がける「ゴールド」。高品質な素材選びに一切の妥協なし。

  • 2026.10.20

1965年に創業した日本屈指の老舗メーカー東洋エンタープライズ社が手がける〈ゴールド〉。同社が得意とするヴィンテージへの膨大な知見と技術力の高さを活かしつつも上質にモダナイズしたものづくりに定評がある。着用時のシルエットはもちろん、高品質な素材選びに一切の妥協をしないこと。それこそがシンプルな服に深...

遊び心とヘビーデューティ! 「ジムマスター」のアウトドア&ミリタリー

  • 2026.10.18

ほどよく力の抜けたカジュアルウエアを展開するカナダ生まれの「ジムマスター」。その真骨頂は、実は骨太なアウトドア&ミリタリーにある。ヘビーデューティな機能美を日常着へと昇華させる秘訣は、「ジムマスター」らしいほんのすこしの遊び心! カラフルな配色の裏に確かな実用性あり! 【右】主役は厚手のボアジャケッ...

東京・入谷にできた靴づくりの新聖地「THE ZINE FOOTWEAR CLUB.」にメディア初潜入!

  • 2026.10.18

「ブラザーブリッジ」や「シュアブーツ」を手がける「ザ ジン フットウェア」。店舗と企画・縫製工場がひとつになったいわば“本拠地”を入谷に新設した。メディア初公開となる、その全貌に迫る。 メーカーでもあり店舗でもある新拠点 弊誌の読者であれば、おそらく「ブラザーブリッジ」という革靴ブランドはご存知であ...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

HISTORY OF B.V.D. 着心地を追求した150年

  • 2026.10.20

1876年、ニューヨークで誕生したB.V.D.。風を通すゆったりとした肌着から、水着、街や休日を彩るシャツまで。その歩みを貫くのは、日々を心地よく過ごすための工夫だ。時代ごとの広告や製品を手がかりに、着心地を追求してきた150年をたどる。 HISTORY OF B.V.D. 1876年 ニューヨーク...