【アメカジの基礎知識】スポーツ由来のスウェットやハンティングジャケットの知っておきたい豆知識

運動着として生まれたスウェットや狩猟用のハンティングジャケットなどは身体を動かしやすく、競技や野外活動をより快適に行うために発展してきた。新たな素材の登場とともに、袖付けやポケットなどのディテールにも改良が重ねられている。

防寒のための仕様

長時間屋外で活動することを想定して生まれたスポーツウエアには、寒さから身体を守る工夫が欠かせない。ハンティングジャケットのコーデュロイの襟は装飾としてではなく、襟を立てれば冷たい風にさらされる首元を覆うことができるために配される。コーチジャケットではボアやフランネルなどの裏地を備えることで保温性を高めたモデルが多く存在。動きやすさを損なわずに暖かさを確保する工夫が施される。

防寒のためにコーデュロイが施されるのは襟だけではない。袖の内側やポケットの口部分など、見えないところにも配される。

背面のポケット

狩猟などの場面では背面のスペースも有効活用された。ハンティングジャケットに見られる大型のゲームポケットは、仕留めた小動物などを運ぶためのもの。銃を扱う両手を塞ぐことなく獲物を携行できるよう、背中いっぱいに収納スペースを確保した。フィッシングやサイクリング向けのウエアにおいても、身体の動きを妨げず必要なものを携行するために背面にポケットのつくものが存在し、予備の道具や携行食などが入れられていた。

左右からアクセスできるものや、汚れを考慮して内側に防水性のある素材を用いたものなどが存在する。

黒いスウェットが少ない理由

ヴィンテージスウェットのなかでも、とりわけ希少とされるブラック。当時のスウェットは現在のようなファッションウエアではなく、学校やスポーツチームなどで着用するアスレチックウエアとして発展した。そのため、ネイビーやレッド、グリーンなど、学校やチームを象徴するカラーを用いたものが数多く作られている。一方黒い個体は相対的に数が少なく、ヴィンテージ市場では希少なカラーとして扱われている。

スポーツウエアの歴史

身体を動かすための服として、競技とともに進化してきたスポーツウエア。19世紀末から20世紀にかけての近代スポーツの発展に伴って、スウェットなどの運動着、競技やアウトドアの特性に沿ったアイテムが次々と誕生。ロクヨンクロスなどの機能性素材によって、軽量性や耐久性といった機能がさらに向上していく。その後アウトドアやレジャーの広がりも追い風となって、日常のファッションへと普及した。

「ヘビーデューティ」に
ついて

ファッション用語としても馴染み深い言葉であるヘビーデューティ。本来は、「酷使に耐える」「丈夫な」という意味で、特定のファッションを指す言葉ではない。日本では1970年代、アウトドアやワークなどの実用品をアイビースタイルに取り入れた通称“ヘビアイ”が確立。性能を表す言葉が、海を渡って独自の発展を遂げた。

機能性素材の普及

1950年代以降、化学繊維の普及とともにさまざまな機能を備えた素材が次々と登場。なかでも1968年に〈シエラデザインズ〉が開発したロクヨンクロスは、世界初の機能素材とも言われる。名称はコットン60%ナイロン40%の混紡率に由来し、組み合わせることで双方の長所を生かした。ナイロンの軽さと耐久性を備えながら、雨に濡れるとコットンが膨張して生地の目を詰め、水の侵入を抑えるという画期的な素材。

スウェットのつくり

運動着として生まれたスウェット。さまざまな工夫が凝らされてきたなかでも、その試行錯誤が色濃く表れているのが袖付けだ。旧くからあるセットインスリーブに加え、襟ぐりから脇下に向かって斜めに袖を切り替えるラグランスリーブや、曲線的な切り替えで可動域を確保したフリーダムスリーブも存在。ガゼットやリブなどほかのディテールと併せて見ることで、その個体が生まれたおおよその年代を推測できる。

バルカナイズ製法とは

スニーカー作りにおいて、100年以上の歴史を持つのがバルカナイズ製法だ。ラストにアッパーを被せてその底にソールを合わせ、アッパーとソールの境目をゴム製のテープで覆い、加硫缶と呼ばれる窯で熱と圧力を加えて圧着。ゴムの化学反応によって柔軟性と耐久性が生まれ、丈夫でしなやかな履き心地を実現する。競技性能を追求したスニーカーが次々と開発されるなかでも、現在まで受け継がれる伝統的な製法だ。

(出典/「Lightning 2026年10月号 Vol.390」)

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