堅牢度を高めるディテール
肉体労働の激しい動きに耐えられるよう、ワークウエアは堅牢度を高めるためのディテールを多く備える。代表的なものとして、3本の糸で生地を縫い合わせるトリプルステッチが挙げられる。肩や脇、袖などの特に負荷がかかりやすい部分にあしらわれ、縫い目の強度を高めてほつれや裂けを防ぐ。他にも摩耗しやすい膝部分の生地を二重にしたダブルニーや、ポケット口を補強するリベット、バータックなどがある。

デニムの発祥は諸説あり
デニムの誕生には諸説あるとされる。フランス・ニーム地方で織られていた生地がイギリスの織物技術の発展とともに広く浸透し、「ニームの生地」を意味する「サージ・デ・ニーム」が語源になったという説が名前の由来としては有力。他にも、ジーンズの由来はイタリアの港町、ジェノヴァであるという説も存在する。ただし、これらはあくまで名称の由来であり、デニム生地そのものの誕生時期を示すものではない。
カバーオールの黄金期
18世紀後半に誕生したカバーオール。労働環境や使う道具に合わせて形を変えながら進化を重ねてきたが、第二次世界大戦下では物資統制の影響から装飾的なディテールが削ぎ落とされ、簡素な見た目になっているのが特徴だ。一方、終戦を迎えた1950年代には各メーカーが意匠を凝らしたモデルを次々と製造し、さまざまな形の胸ポケットなど多彩なディテールが復活。アメリカのゴールデンエイジを表している。
ワークウエアの歴史
19世紀、産業の発展とともに労働者のための服として発達したワークウエア。鉱山や鉄道、農場、工場など、それぞれの現場で求められる機能に応じて、デニムやダックといった丈夫な生地、強度の高い縫製や多様な形のポケットなどが生まれた。やがて作業着として培われた機能美やタフな作りが評価され、労働の場を離れて日常着へ。現在ではアメリカンカジュアルを代表するカテゴリーのひとつとして定着している。
ブーツの役割
名前の通りエンジニア(技術者)が履く靴として生まれ、機械に巻き込まれる危険を避けるためにシューレースを廃したエンジニアブーツ。対して紐靴は細かくフィット感を調節でき、激しい動きの中でも足を靴の中でしっかりと固定する。こうした作業に応じた構造に加え、丈夫な革や耐久性の高いソールが労働者の足元を支えていた。
柄の理由
当時花形の職業であった鉄道員は石炭やオイルを扱う仕事でありながら、乗客の目に触れる機会も多かったために清潔感のある装いが求められてた。そのため汚れの目立ちにくさと爽やかな印象を両立するヒッコリーの制服を着用していたとされる。バッファローチェックはその赤と黒の格子状の組み合わせが狩猟時の森の中での視認性を高め、銃の誤発射を防いでいた。柄にさえ実用的な理由が込められているのだ。


当時、色味や柄のピッチなどには、明確な規格が設けられていたわけではない。そのため出来は業者によってさまざま。
機能的なディテール

すれ違う人のジーンズのウォッチポケットに注目し、どんな形のアタリが出ているか見ているアメカジ好きもいるとか。
50年代のジーンズの流行
1955年に公開された映画『理由なき反抗』のジェームズ・ディーンや1953年公開の『乱暴者』のマーロン・ブランド、ロカビリー歌手のエルヴィス・プレスリーなどがジーンズを着用。それをきっかけに、1950年代に若者の間でジーンズが一大ブームに。それまでは単なる労働着であったことから親や学校からは反発を招いたが、かえって反抗の象徴としてのイメージを強め、若者たちの中で支持を集めていった。
(出典/「
photo/Kazuya Hayashi 林和也 text/Komichi Nakamura 中村こみち
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