伝統芸能ではない、あの時代だけの機運。
「見るものすべてが新しく、すべてに興奮した」と大貫氏は当時を振り返る。「それまで聴いていたロックとは完全に異質の衝撃でした。ファッションもスタイルもまるで違うし、何より髪が短かった(笑)」。チャートとは無縁ながら好事家を熱狂させたオリジナルパンク。その渦中にいた大貫氏は、世界屈指のコレクションと知見を誇る。
「パンクは伝統芸能じゃない。誰もが仲良く参加できるものではなく、その時代だけの機運が生んだ一過性のムーブメントでした。ハードロックのように古典化せず、あの瞬間だけを封じ込めたからこそ、半世紀を経た今なお少しも色褪せないと思うのです」

音楽評論家・大貫憲章さん|1951年生まれ。大学在学中の1970年より執筆活動を開始。1970年代半ばに勃興したパンクロックをリアルタイムで日本に紹介し、シーンを牽引し続ける第一人者。

1977年頃、26歳当時のポートレート。髪を短く切り、憧れだったロンドンで手に入れたセディショナリーズのセーターを纏う。

知人からまとめて譲り受けたというセックス・ピストルズの貴重なブート盤群。当時の生々しいスタジオ音源やギグの熱量が刻まれた貴重な足跡。

当時『ピストルズ物語』との愛称で流通していたファンジンから。映画『ザ・グレイト・ロックンロール・スウィンドル』劇中挿絵と酷似。作表記はFGS。

最盛期には5万枚、現在は約3万枚を数える膨大なレコードコレクション。オリジナルという付加価値に執着せず音源として楽しむことを重視する氏の仕事部屋。
音楽評論家・大貫憲章さんのコレクションを拝見!
The Damned『Damned Damned Damned』

「ピストルズやクラッシュに先んじて、UKパンクシーンにおいて一番最初にシングルおよびアルバムレコードをリリースした元祖」
Johnny Thunders & The Heartbreakers『L.A.M.F.』

ニューヨークから登場したジョニー・サンダース首謀の名盤。「そのタイトルの意味を知らずにパンクを語るのは、モグリですよ」
The Clash『London Calling』

「最も親密さを感じ、時代感の象徴として未だに深く印象に残っている」と語る、多様な音楽性を貪欲に取り込んだセカンドアルバム。
The Ramones『Ramones』

「革ジャンに破れたジーンズという当時としては異例のスタイルと、先祖返りとも言える野生的なエネルギーに圧倒された」という。
(出典/「
Text/Shuhei Sato 佐藤周平 Ado Shirasawa 白澤亜動 Takehiro Hakusui 白水健寛 Photo/Seiji Sawada 澤田聖司 Ryota Yukitake 行竹亮太 Kazuya Hayashi 林和也
関連する記事
-
- 2026.10.01
ひときわ存在感を放つ、個性豊かな70年代アイテムに注目! “70sらしさ”って何?