【みんなが夢中になった70s】音楽評論家・大貫憲章さんは70年代のパンクロック

新しいカルチャーやライフスタイルが次々と生まれ、多くの人々を夢中にさせた70年代。それぞれが愛する分野で豊富なコレクションを持つ者たちが、70年代を語るうえで外せないアイテムとともに当時の空気や時代背景、今なお輝きを放つ魅力を語ってくれた。今回は音楽評論家・大貫憲章さんにお話をうかがった。

伝統芸能ではない、あの時代だけの機運。

「見るものすべてが新しく、すべてに興奮した」と大貫氏は当時を振り返る。「それまで聴いていたロックとは完全に異質の衝撃でした。ファッションもスタイルもまるで違うし、何より髪が短かった(笑)」。チャートとは無縁ながら好事家を熱狂させたオリジナルパンク。その渦中にいた大貫氏は、世界屈指のコレクションと知見を誇る。

「パンクは伝統芸能じゃない。誰もが仲良く参加できるものではなく、その時代だけの機運が生んだ一過性のムーブメントでした。ハードロックのように古典化せず、あの瞬間だけを封じ込めたからこそ、半世紀を経た今なお少しも色褪せないと思うのです」

音楽評論家・大貫憲章さん|1951年生まれ。大学在学中の1970年より執筆活動を開始。1970年代半ばに勃興したパンクロックをリアルタイムで日本に紹介し、シーンを牽引し続ける第一人者。

1977年頃、26歳当時のポートレート。髪を短く切り、憧れだったロンドンで手に入れたセディショナリーズのセーターを纏う。

知人からまとめて譲り受けたというセックス・ピストルズの貴重なブート盤群。当時の生々しいスタジオ音源やギグの熱量が刻まれた貴重な足跡。

当時『ピストルズ物語』との愛称で流通していたファンジンから。映画『ザ・グレイト・ロックンロール・スウィンドル』劇中挿絵と酷似。作表記はFGS。

最盛期には5万枚、現在は約3万枚を数える膨大なレコードコレクション。オリジナルという付加価値に執着せず音源として楽しむことを重視する氏の仕事部屋。

音楽評論家・大貫憲章さんのコレクションを拝見!

The Damned『Damned Damned Damned』

「ピストルズやクラッシュに先んじて、UKパンクシーンにおいて一番最初にシングルおよびアルバムレコードをリリースした元祖」

Johnny Thunders & The Heartbreakers『L.A.M.F.』

ニューヨークから登場したジョニー・サンダース首謀の名盤。「そのタイトルの意味を知らずにパンクを語るのは、モグリですよ」

The Clash『London Calling』

「最も親密さを感じ、時代感の象徴として未だに深く印象に残っている」と語る、多様な音楽性を貪欲に取り込んだセカンドアルバム。

The Ramones『Ramones』

「革ジャンに破れたジーンズという当時としては異例のスタイルと、先祖返りとも言える野生的なエネルギーに圧倒された」という。

(出典/「Lightning 2026年9月号 Vol.389」)

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