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アップル秋の新製品祭り。MacBook Pro PROLED XDRを個人的視点で考える

10月26日夜(日本時間)にiPad mini(A20 Pro、第8世代)、27日夜にiMac(M6)、MacBook Pro(M6)、Apple Creator StudioのAI機能、そして28日未明にMacBook Pro PROLED XDRディスプレイ搭載機が発表された。全体の概略と、とりわけ気になるMacBook Pro PROLED XDRディスプレイ搭載機(M5 Pro/Max)・MacBook Pro(M6)・MacBook Air(M5)の個人的視点での比較をお届けしよう。

それぞれ、どう進化したのかを把握しておこう

今回はL.A.で発表会があったのだが残念ながら参加することができず、まだ実機も触っていないので、基本的には読者のみなさんと同様の情報しか入手していない。単なるプレスリリースを引いた製品紹介を書いてもこたつ記事のそしりを免れないだろうから、それぞれの製品の概略と、最後にMacBook Proの購入を検討している筆者としての私見を記しておこうと思う。

iPad mini(A20 Pro、第8世代)

まず、iPad mini。iPad miniは、初代が2012年に登場。翌年にRetina化。A8搭載のiPad mini 4は傑作だったが、そこから4年もモデルチェンジがなかった。2021年に画面の縦横比を変え、ホームボタンをなくしたiPad mini(第6世代)を発売。最新のiPad mini(A20 Pro、第8世代)も基本的にはその流れを汲むボディを持つ。

とはいえ、今回のモデルチェンジはけっこう大規模で、チップセットはもちろん、ディスプレイのOLED化、Acoustic Displayの採用による防水化など変更点は多岐にわたる。

特に、Acoustic Displayの採用によってスピーカー穴がなくなったことによりIP67等級の防水性能を獲得した点が大きいと思う。これによって、iPadとして初めて水回りでも安心して使用することができるようになった。

ちなみに、お風呂で使えるかどうかは意見の分かれるところである。防水だからといって、お風呂で発生する温度差では内部に結露が発生する可能性が高いし、iPad、iPhoneを含め、多くの電子デバイスの動作時温度は上限が35℃であることが多いので、お風呂という環境には適合しない。

日本以外の国は、あまり「お風呂にゆっくり浸かる」という概念がないので、「お風呂で使えるのか?」という質問に対して明確な回答はないのだが、筆者がアップルの耐久性試験を担当するデュラビリティラボで質問した時にも「使っても問題ない」「お風呂で使うのは控えて欲しい」と2種類の回答が返ってきて若干ブレている。いずれにしても、防水を謳う割には、水濡れによる故障は補償されないので、お風呂で使う際にはオウンリスクで。壊したくなければ、使わない方が利口だろう。

話が逸れたが、最新のA20 Proチップ採用によるSiri AI対応、OLEDを採用したSuper Retina XDRディスプレイによる8.5インチ化など、かなり大幅なモデルチェンジとなっている。ネットワークチップN1搭載による、Wi-Fi 7、Bluetooth 6対応や、セルラーモデムのC2チップ化など、自社チップを多用した最新アーキテクチャー化も行われている。

価格はWi-Fiモデルが11万9800円、セルラーモデルは14万4800円〜となっており、価格はあまりminiではないのが困ったところ。

MacBook Pro(M6)

MacBook ProのスタンダードモデルがM6搭載となった。

このいわゆる「MacBook Proの一番安いライン」は、歴代ずっと、けっこうお買い得だったり、損だったりの間を揺れ動いていたので、よく判断して購入しなければならないモデルであり続けている。「高いのにMacBook Airと同性能」という時もあれば、チップセットの処理能力をのぞけば「ほぼ上位モデルのMacBook Proと同機能でお得」ということもある。現行モデルの上下機種との比較について詳しくは以下の記事で書こうと思うが、今回上位モデルがフルモデルチェンジしたことで、上位モデルのMacBook Pro、無印M6のMacBook Pro、MacBook Airはそれぞれ異なるボディ形状を持つことになった。さらにMacBook Neoがあるわけだから4種類のボディがあることになる。

次期M7モデルもこのボディを使うのか、それとも生産性を考えてMacBook Pro PROLED XDRと同じボディに変更されるのか分からないが、そこが気になる人も多いのではないだろうか?

iMac(M6)

カラフルなiMacにもM6が搭載された。

iMacはディスプレイとともに長い間使う人が多い。中身を最新のアーキテクチャーにしておくのは良いと思う。今回M6搭載とともに、N1搭載によるWi-Fi 7、Bluetooth 6対応の他、SSDの速度向上、有線LANの速度向上なども利点として挙げられる。ただし、カラーを含め、外観には変化はない。

『画期的なMacBook Pro』はどのぐらい新しいのか

ずっと登場が噂されていたタッチパネル搭載MacBook Proがついに登場した。しかし、変化は微妙で分かりにくい。名称としては『PROLED XDRディスプレイ搭載MacBook Pro』となっている。14インチモデルと、16インチモデルが用意され、それぞれ価格は49万9800円〜と、59万9800円〜。ひと昔前の倍の価格になっているような感覚だ。

筆者は事前に「どんな『必要性』『新しい使い方』を盛り込んで来るのかが楽しみ」と書いていたのだが、そこには新しいアプローチはなかったようだ。現場で取材していればまた違った意見もあったかもしれないが、現地取材をしている人の話を見ても、むしろ「普通にタッチパネルの方が便利だよね」というアプローチのようで、新しい使い方の提案はなさそう。筆者のように自宅書斎で使っている時はほとんど外部ディスプレイに繋いでいるというユーザーにとってはいまひとつ魅力を感じにくい。

PROLED XDRディスプレイの魅力も伝えられているが、我々のようにウェブメディアの人間にとっては、極端に美しいディスプレイで作業しても、その美しさが普通のディスプレイで見ている一般の方に伝わらないのなら意味がない。むしろ、特別に美しいディスプレイで作業して色調整を行って情報を発信しても、多くの方が使う普通のディスプレイで彩度や明度が下がって表示されているというのなら、むしろデメリットになってしまう(色空間を合わせて作業すればいいのだが、つまりはあまりPROLED XDRディスプレイの恩恵には預かれない)。

とはいえ、美しいディスプレイは日常での楽しみになるだろう。撮った写真を楽しんだり、映画を観たりするのにはいいかもしれない。

Dynamic Islandの採用やスピーカーの低音音質の向上も、外部モニターやスピーカーを接続している作業環境を考えると、さほどメリットにはならない。

一番気になるのは、薄型化と、軽量化だろうか?

14インチモデルは約1.60kgから約1.38kgへと約220g、16インチモデルは約2.14kgから約1.82kgへと320g軽くなっている。この軽量化は大きい。特に16インチモデルは非常に重く感じたので、嬉しい変更だ。厚さは14インチモデルが約0.5mm、16インチモデルが約0.8mm薄くなっている。

あと、懐かしいことに背面のアップルマークが光るようになっているらしい。これは嬉しい人も多いだろう。写真で見る限りでは、外観上ほとんど変わらないように見えるが、ここは大きな識別点だ。

安いモデルを買っても、案外メモリとストレージで高くなる

6月の大幅な価格変更後、全モデルを通して言えるのは、メモリやストレージの増量の費用が非常に大きくなっていることだ。もちろん、世界的な半導体価格の高騰によるものだが、『○○円〜』という価格を見ると買えるような気がするのに、実際に自分が必要とするコンフィグにしてみると、途方もない価格になってしまうということも多い。

これは、特にデフォルトの搭載量が少ない下位モデルで顕著。たとえば最下位モデルが22万4800円のMacBook Airは、メモリを16→24GB、ストレージを512GB→2TBにするのに、チップセットも変更しなければならないから18万円かかって40万4800円になるが、PROLED XDRディスプレイ搭載MacBook Proの14インチの場合49万9800円に9万円プラスオンの58万9800円で済む(もちろん、それでも高いが)。

半導体価格の高騰はまだ当分続くようなので、どこかで決断して購入せざるを得ない。

筆者個人が必要とするスペックで較べてみると?

というわけで、筆者の個人的ニーズで価格を出してみよう。小さい方のサイズ(13インチ、もしくは14インチ)で、メモリは32GB。ストレージは2TB欲しい。これで、それぞれの価格を出してみよう。

まず、MacBook Air(M5)13インチだと、44万0800円。MacBook Airなのに案外高くなってしまう。

次に、MacBook Pro(M6)だと、50万1800円。Nano-textureディスプレイを組み合わせるなら52万8800円。

PROLED XDRディスプレイ搭載MacBook Proだと……あれ? 32GBメモリが選べない。48にすると10万8000円高になるので、とりあえず24GBメモリで計算すると58万9800円。Nano-textureディスプレイを組み合わせると61万6800円。

つまり、デフォルトで表示される「22万4800円から」、「33万9800円から」、「49万9800円から」という価格差よりは、実際に買うコンフィグにすると差は少なくなるような気がする。ということは上位モデルを買った方が得ではないかという気もするが、それでも61万6800円のノートパソコンを買って「得」というのもねぇ……。悩みは尽きない気がする。

前述のように、筆者は今のところタッチパネルにもOLEDディスプレイにも魅力を感じていないので、MacBook Pro(M6)でもいいような気がする。しかし、そこは実際に触れてみると気が変わるような気もするしなぁ……。さらに24GBメモリというのも微妙に不足するような気がする(昨今、ChromeとAIアプリがメモリを食う)。

というわけで、PROLED XDRディスプレイ搭載MacBook Proがレビュー機を試してから判断しようと思う。スペックだけを見て「必要はない」と思っていても、実際に触ってみるとやはり「欲しい!」となるのはよくあることだから。

(村上タクタ)

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村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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