天然皮革は食肉から生まれる副産物
トークの前半で語られたのは、天然皮革とサステナビリティの関係だ。
牛や豚、羊などの皮は、基本的に食肉生産の過程で生まれる副産物。肉を食べる一方で皮を利用しなければ、廃棄物として焼却や埋め立てなどの処理が必要になる。皮を腐りにくく、長く使える革へと生まれ変わらせることは、素材を無駄にしないアップサイクルでもあるという。


皮を腐りにくく、しなやかな「革」へ

食肉加工後の皮は、腐敗を防ぐために塩漬けされた状態で工場へ届く。そこから水洗いによって汚れや塩分を落とし、裏側の不要な部分や毛を除去。何も処理せずに放置すれば、皮は腐るか、乾燥して硬くなってしまう。
そこで行われるのが「なめし」だ。皮に耐久性と柔軟性を与え、長く使える素材へ変える、革作りの中心となる工程である。
クロムなめしと植物タンニンなめしの違い

代表的な製法が、クロムなめしと植物タンニンなめしだ。
クロムなめしは、柔らかくしなやかな革に仕上がりやすく、レザージャケットにも広く用いられている。一方、木の渋に含まれるタンニンを使う植物タンニンなめしは、ハリや厚みのある表情が特徴。使用するタンニン剤の種類や産地、配合によっても、革の色や硬さ、締まり方は変化する。
さらに、最初のなめしを終えた革に別のなめし剤を加える「再なめし」によって、柔らかさやコシ、風合いを細かく調整することもできるという。
※動画内の20分5秒〜20分8秒付近については、「膨張率は条件によって異なる」と訂正されている。
染色や加脂、仕上げによって革の個性が決まる
なめしを終えた革は、染色や加脂の工程へ進む。ドラムの中で染料や油を浸透させ、色や柔らかさ、匂い、触り心地を調整。使用する油にも動物性、植物性、合成などがあり、その選択によって革の性格が変わってくる。
その後、乾燥させて表面を整え、塗装やアイロン、型押しなどを施して完成する。同じ動物の皮であっても、なめし剤や油、染色、仕上げの組み合わせによって、まったく異なる革が生まれるのだ。

クロムとタンニンだけではない多彩ななめし
動画では、アルミニウムやジルコニウム、ゼオライトを使用したなめしや、姫路に伝わる白なめしも紹介される。
白い革や淡い色を美しく仕上げるのに向くもの、土に還りやすい特性を持つもの、塩と菜種油を用いる伝統的なものなど、その種類はさまざま。普段目にする革製品の奥には、素材の特徴を引き出すための膨大な知識と技術が隠されている。
革がどこから来て、どのような工程を経て革ジャンになるのか。製造の背景を知ることで、手元のレザーアイテムがこれまで以上に面白く見えてくるはずだ。
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