【動画】革ジャンの革はどう作られる? “なめし”の違いから知る奥深きレザーワールド

2026年9月26(土)・27日(日)に東京・五反田で開催された、革にまつわるブランドや職人が集結した「Leathers Day TOKYO 2026」。会場で行われたトークショーでは、革ジャンの伝道師・モヒカン小川と、Thinking Leather Action(TLA)座長の川北芳弘氏が、天然皮革の背景や製造工程を掘り下げた。

天然皮革は食肉から生まれる副産物

トークの前半で語られたのは、天然皮革とサステナビリティの関係だ。

牛や豚、羊などの皮は、基本的に食肉生産の過程で生まれる副産物。肉を食べる一方で皮を利用しなければ、廃棄物として焼却や埋め立てなどの処理が必要になる。皮を腐りにくく、長く使える革へと生まれ変わらせることは、素材を無駄にしないアップサイクルでもあるという。

皮を腐りにくく、しなやかな「革」へ

食肉加工後の皮は、腐敗を防ぐために塩漬けされた状態で工場へ届く。そこから水洗いによって汚れや塩分を落とし、裏側の不要な部分や毛を除去。何も処理せずに放置すれば、皮は腐るか、乾燥して硬くなってしまう。

そこで行われるのが「なめし」だ。皮に耐久性と柔軟性を与え、長く使える素材へ変える、革作りの中心となる工程である。

クロムなめしと植物タンニンなめしの違い

代表的な製法が、クロムなめしと植物タンニンなめしだ。

クロムなめしは、柔らかくしなやかな革に仕上がりやすく、レザージャケットにも広く用いられている。一方、木の渋に含まれるタンニンを使う植物タンニンなめしは、ハリや厚みのある表情が特徴。使用するタンニン剤の種類や産地、配合によっても、革の色や硬さ、締まり方は変化する。

さらに、最初のなめしを終えた革に別のなめし剤を加える「再なめし」によって、柔らかさやコシ、風合いを細かく調整することもできるという。

※動画内の20分5秒〜20分8秒付近については、「膨張率は条件によって異なる」と訂正されている。

染色や加脂、仕上げによって革の個性が決まる

なめしを終えた革は、染色や加脂の工程へ進む。ドラムの中で染料や油を浸透させ、色や柔らかさ、匂い、触り心地を調整。使用する油にも動物性、植物性、合成などがあり、その選択によって革の性格が変わってくる。

その後、乾燥させて表面を整え、塗装やアイロン、型押しなどを施して完成する。同じ動物の皮であっても、なめし剤や油、染色、仕上げの組み合わせによって、まったく異なる革が生まれるのだ。

クロムとタンニンだけではない多彩ななめし

動画では、アルミニウムやジルコニウム、ゼオライトを使用したなめしや、姫路に伝わる白なめしも紹介される。

白い革や淡い色を美しく仕上げるのに向くもの、土に還りやすい特性を持つもの、塩と菜種油を用いる伝統的なものなど、その種類はさまざま。普段目にする革製品の奥には、素材の特徴を引き出すための膨大な知識と技術が隠されている。

革がどこから来て、どのような工程を経て革ジャンになるのか。製造の背景を知ることで、手元のレザーアイテムがこれまで以上に面白く見えてくるはずだ。

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

世界中で探し求める最上の素材。「THE FAT HATTER」秋冬コレクションをクローズアップ!

  • 2026.10.07

日本が世界に誇るハッターであるTHE FAT HATTERの秋冬コレクションをクローズアップ。今回のシューティングでは、それぞれの正義や美学をぶつけ合う場に向かう男たちを表現。彼らの強い決意と威厳を表現したような力強いハットが、精悍な雰囲気を醸し出している。ハットの良し悪しを大きく左右するフェルトは...

今季の「Lee」はブランケット付きジャケットに注目せよ!

  • 2026.10.19

シグニチャーモデル「101」が101周年を迎えるなど、アメカジ好きに多くの話題を提供してくれるLee。そんなアメリカンデニムを代表する同ブランドの注目の新作は、ブランケットを携えたワークジャケットだ。普遍的なデザインと保温性に優れるという機能を備えるこの秋冬の相棒となる逸品を紹介する。 Leeのシグ...

55周年を迎えた「MOTO」。周年を祝うスペシャルなレザー&シルバープロダクツを紹介

  • 2026.10.11

レザーやシルバーを駆使した製品を手がけるMOTO。1971年の創業より半世紀を超えて55年。ここでは、周年を祝うスペシャルプロダクツを紹介する。MOTOや本池秀夫さんが纏う唯一無二の世界観にも注目だ。(写真は「本池美術館」の隣にあるアトリエにて。周年限定のライダースジャケットにコンチョを装着する本池...

ネイティブアメリカンの美しき手仕事。伝統を守りながらもモダンな表現を得意とする現代作家を紹介!

  • 2026.10.08

ネイティブアメリカンのヴィンテージや工芸品を通して、彼らのカルチャーを伝えるCORNERS。今回は伝統的な手法を守りながらも、モダンな表現を得意とする現代作家をピックアップ。もの作りが乏しくなった今の米国だからこそ、余計に強く輝いているのだ。 Pamela Brown 1868年から続くナバホ族の織...

武骨な男服に効かす超繊細なメタルフレーム。「ディグナクラシック」の新作に注目

  • 2026.10.09

フライトジャケットやデニムなどの武骨な服に合うメガネで王道として挙がるのはプラフレームの場合が多い。だが、そんな武骨さのなかに繊細さを潜ませギャップを楽しむという意味ではメタルフレームも有用だ。 細かな彫金が施されたディグナクラシックの新作 今季展開されるメタルの新作は計6型で、それぞれにシルバーと...

Pick Up おすすめ記事

「Wrangler(ラングラー)」の名作、スタッズを纏う。レザーラバー垂涎スウェードモデルも登場!

  • 2026.10.19

ワークウエアとしての機能だけでなく、ファッション的視点を取り入れることで独自の立ち位置を築いてきた3大ブランドのひとつでありデニム界の異端児・Wrangler。そんな彼らの受け継がれし不朽の名作に“スタッズ”が施された特別モデルが登場した。 “スタッズ”で作るネオ・ウエスタンスタイル ラングラーとい...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

武骨な男服に効かす超繊細なメタルフレーム。「ディグナクラシック」の新作に注目

  • 2026.10.09

フライトジャケットやデニムなどの武骨な服に合うメガネで王道として挙がるのはプラフレームの場合が多い。だが、そんな武骨さのなかに繊細さを潜ませギャップを楽しむという意味ではメタルフレームも有用だ。 細かな彫金が施されたディグナクラシックの新作 今季展開されるメタルの新作は計6型で、それぞれにシルバーと...

FINE CREEKを世界でいちばん熱く語る男。

  • 2026.10.07

この男恐るべし、である。北海道・帯広にあるセレクトショップ、...Dannyオーナー、河合裕介さん。彼のセレクトスタイルは一貫している。自分の愛せるものしか、ショップに置かないのだ。「売れるモノ」をセレクトするのではなく、「自分の売りたいモノ」のみを並べる。この時代にあって、その姿勢はまさに「愚直」...

今季の「Lee」はブランケット付きジャケットに注目せよ!

  • 2026.10.19

シグニチャーモデル「101」が101周年を迎えるなど、アメカジ好きに多くの話題を提供してくれるLee。そんなアメリカンデニムを代表する同ブランドの注目の新作は、ブランケットを携えたワークジャケットだ。普遍的なデザインと保温性に優れるという機能を備えるこの秋冬の相棒となる逸品を紹介する。 Leeのシグ...