ランディ・スミスとCCE、45マグナム解体新書

1967年にカリフォルニア州で創業したCCEを率いるランディ・スミス──彼の代表作である「45マグナム」をここからはメカ的な視点で徹底解説。1971年発行の『CUSTOM CHOPPER』誌と『BIG BIKE』誌の記事を振り返り、その歴史の凄みを伝えたい。

チョッパーシーンの先駆者が4カムに求めた走りの性能

サイドバルブからスポーツスターに至るまで、さまざまな「4カムハーレー」に焦点を当てた本誌だが、「カスタム サイクル エンジニアリング(CCE)」を率いたランディ・スミスの代表作として知られる「45マグナム」は、まさにその要素をすべて込めた存在といえるだろう。ここでは、そのメカニカルな部分を71年当時に米国で刊行された『カスタムチョッパー』誌と『ビッグバイク』誌から紐解き、改めて解析したい。

サイドバルブの腰下にアイアンスポーツのヘッドを組み合わせたこのマシンは、チョッパー全盛の時代である71年に製作された故、ルックスの奇抜さを求めたものと思われがちだが、しかし、その最大の狙いは軽量でパワフルなマシンの具現化。それを果たすべく組まれたエンジンは、バルブにドノヴァン・エンジニアリングのハイニッケル・ステンレス製をおごり、当たり面を45度に設定。バルブスプリングはXLH用、プッシュロッドはシフトン、カムはXLR用という仕様になっている。

また装着されたキャブは英車から流用したSUなのだが、ここは将来的なニトロメタン化を見据え、大量の燃料が送り込めるよう分割式のデロルト製リモートフロートボウルを増設。インテークマニホールドにもベンチュリー内部に空気の流入量を向上させる整流のシェイプが備えられ、通常のスポーツスターより25%のフローアップが果たされており、数々の先進的な考えが見てとれる。

ちなみにバルブステムへの干渉を避け、混合気が流れ込むよう備えられた、このインテークマニホールド内の“盛り上がったドテ”は、幾度ものフローテストを繰り返して開発されたそうで、ここもドノヴァンのデニス・ナカシマが担当。またMCサプライ製の鍛造ピストンもバルブクリアランスを確保するためトップ部に1/16インチのフライカット加工を施した上、スカート側部にはドラッグレーサーで見られるようなナイロン製ボタンを内蔵。この措置でピストンのロック防止と、ピストンリングのシール性の向上が図られているという。

またアイアンスポーツのシリンダーとサイドバルブのクランクケースをつなぐスタッドはフォルクスワーゲン用なのだが、ここもドノヴァンが精度を追求し、製作。市販のスタッドのままではヘッドナットが締め付けられるとシリンダーとヘッドの合わせ面が不完全な接触となり、それにより誤った規定トルク値でアッセンブリー全体に不均一な応力がかかってしまうのだが、マグナムはその点も対策済みだ。

この他にもWR用のクランクや、オイル抗力を減少させるために研磨が施されたコンロッドなど、さまざまな創意工夫が見られるのだが、これらはすべてランディ・スミスという男が抱いた“探究心”のたまもの。その狂気的なまでの情熱は、まさに『4カムクレイジー』を掲げるこの特集を飾るにふさわしい。

45ciのWLと55ciのXLを組み合わせたエンジンはボア3.040″で圧縮比10:1。点火はフェアバンクス・マグネトー。

バルブは5/16″ステム部にクロムを施したTulip-shaped型ステンレス製。XL用ロッカーアームもフリクション低減を狙い、見事に磨き上げられている

ワーゲン用を加工したスペシャル・スタッドに対応すべく、4つのヘッドホールを新設。Donovan EngineeringのDennis Nakashimaのポート加工で従来のXLHより25%エアフローの向上を果たす。

車体左側に装着されたこのパーツはSUキャブ用のデロルト製遠隔フロートボウル。ここは将来的なナイトロメタン化を見据えた仕様である。

誌面によってトライアンフTR4用ともオースチン・ヒーレー用ともいわれるSUキャブのインマニにはCCE製ラムフローアダプターをセット。性能の向上を狙う。

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CLUB HARLEY 編集部
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