TATE JW04 BRUSHED KIP/ OILED KIP|オイルか、ブラッシュドか革の個性で選ぶライダース

英国式ライダース、いわゆるロンジャンをベースに、独自の解釈で仕立てた「TATE JW04」。ヴィンテージの再現ではなく、革そのものの表情を楽しむために生まれた1着だ。使用するのは、キメ細かさとしなやかさ、堅牢さを兼ね備えたキップレザー。注目は、同じ素材を異なる方法で仕上げた2種類の革を用意していること。オイルをたっぷり含ませた「オイルドキップ」は、しっとりとした質感と落ち着いた艶、重厚感が特徴。着込むほどにシワが刻まれ、奥行きのある色味へと変化していく。一方、表面をブラッシングして起毛させた「ブラッシュドキップ」は、柔らかな陰影と独特の質感が持ち味。着込むほどに陰影のコントラストが際立ち、異なる表情を見せる。同じ型紙、同じキップレザーでありながら、仕上げの違いによってそれぞれ異なる経年変化を楽しめるのだ。242,000円



フロントには重厚なメタルジッパーを採用。「Tenjin」のロゴを刻んだスナップボタンや、ウエストのアジャストバックルも見どころ。革の表情を際立たせる丁寧かつ堅牢なスティッチワークにも注目したい。
RL01:1010XX RIGID LEATHER|デニムの色落ちを革で再現した、常識を覆すリジッドレザー

「リジッドデニムのようなアタリを革で表現する」。そんな発想から栃木レザーと約2年をかけて開発したのが「リジッドレザー」だ。使うのは厚さ0.7㎜のキップレザー。その裏面をジャケットの表側に使い、デニムの綾目を型押しで再現。オイルを加えてドラムで繊維をほぐしたのち、熱をかけてプレスすることで、生デニムさながらのハリと光沢を生み出した。生成りの革を白く染め、その上から深い濃紺を重ねた白芯仕様も見逃せない。着込むうちに表面が毛羽立ち、擦れた部分から白芯が顔を出す。やがて下地の生成りも飴色に変わり、デニムの色落ちと革の経年変化が交錯するのだ。大戦期のGジャンをベースに、Good Old & Co.が1930〜40年代のヴィンテージミシンで縫製。チェーンスティッチに沿って生まれるパッカリングまで、デニムの表情を追求している。297,000円



背面のシンチバックには鉄製バックルを採用。初回受注分には1930年代製「SOLIDE」のデッドストックを使用した。さらに革の端を白く塗装し、赤いステッチを施すことで、赤耳まで再現する徹底ぶり。

レザーズデイで国内20着限定の受注販売を行った「ゴールドラッシュ」。リジッドレザーを、タンカラーの白芯仕様に。この特別な革は、来年に展開予定の「ダックレザー」にも通じている。すでに完売した幻のモデルだ。
MECHANIC VEST-CV06 BRUSHED KIP|ナイロンのベストを革で仕立てるという挑戦

1970年代のレーシングベストを、ナイロンではなく革で仕立てた。注目は独自開発のブラッシュドキップレザーだ。繊維密度の高いキップをブラッシングし、通常の倍量のオイルを含ませてから、適温でプレス。傷が付きにくく、手入れは乾拭き程度で済む一方、着込むほどにアタリや艶が現れる。本来はナイロン製の中綿入りレーシングウエアを、レザーと中綿の組み合わせで再現。素材を先に仕上げてから縫い上げる工程によって、軽さと着心地を両立させた。キップの防風性と中綿の保温性を備え、冬場の重ね着にも活躍。襟は留め方次第で立ち襟やタートル風に変化し、フラップ付きポケットは抜群の収納力を誇る。165,000円


フロントには「Tenjin」のロゴを刻んだオリジナルスナップボタンを採用。中綿入りのボディにはスティッチを走らせ、レザーならではの立体的な表情を演出。フラップ付きポケットは、横からも手を差し込める仕様で実用性にも優れる。
UTILITY VEST-CV07 BRUSHED KIP|ウールの風合いを表現した新感覚ワークベスト

1930年代のウールワークベストを着想源にした1着。見どころは、ウール地のような質感を表現したオリジナルのキップレザー。表面をブラッシングした「ブラッシュドキップ」にウール調の型押しを施し、織物を思わせる細かな凹凸と革ならではの陰影を両立。着込むほど身体の動きに沿ったアタリが生まれ、型押しの陰影も際立つ。パイピングにも綾織り柄の型押しを施すなど、素材へのこだわりは細部に及ぶ。裏地には柔らかなコットンフランネルを採用。1930年代式のニップルボタンや、針刺し式バックルを使ったシンチバック、内ポケットも備える。シャツの上にもジャケットのインナーにも取り入れやすい。165,000円


フロントには緩やかな曲線を描く大ぶりなパッチポケットを配置。縁にはレザーのパイピングを施し、立体的な輪郭を強調している。背面には細身のレザーベルトを備え、ウエストのフィット感を調整可能。黒で統一された金具も、全体を引き締めるアクセントになっている。
20年目もまだまだ止まらない革開発

オイルドキップから、デニムの表情を再現したリジッドレザーまで、独自の革を生み出してきた天神ワークス。創業20周年を迎えたいまも素材の可能性を追い求める代表・髙木英登さんに、革づくりへの想いを聞いた。
常識を覆す発想が革の新たな可能性を切り拓く

ヴィンテージのバイクやクルマ、家具をこよなく愛する天神ワークス代表の髙木さん。惹かれるのは、単に古いからではない。そこに刻まれた時代の空気や、使い手が重ねてきた時間だ。そんな髙木さんが20年にわたり追い求めてきたのが、革という素材の可能性。厚みや硬さ、仕上げ方ひとつで表情を変える革には、ほかの素材にない面白さがあるという。
「革は本当に応用力があるんです。厚みや硬さを変えるだけでも、できることが変わる。しかも、つくった段階で完成ではないんです。着る人がどう使い、どう育てていくかという余白が残されている。エイジングは僕らにも予測できないし、その振れ幅の大きさが想像力をかき立ててくれる。すべてを僕らが決めるのではなく、革の未来を着る人に託せる。それが革の面白さだと思います」
この素材の可能性をともに探ってきたのが、創業以来付き合いを続ける栃木レザーだ。ブランドを立ち上げてからの10年間は、耐久性や品質に納得できるスタンダードな革づくりに注力。ブランドの土台を築いてから、かねてより構想していたキップレザーのシリーズに着手した。オイルをたっぷり含ませたオイルドキップ、表面をブラッシングしたブラッシュドキップ。そして、デニムの綾目や色落ちまで革で表現したリジッドレザーへと、開発の幅を広げてきた。ただし、斬新な風合いを生み出すだけでは製品として成立しない。コストや量産時の再現性という現実的な課題とも向き合っている。
「栃木レザーで一緒につくってくれている方は、研究すること自体が好きなんです。僕が『こうできないかな』と相談すると、『面白いですね、やってみましょう』って。もちろん工場としては、同じ品質を再現できるか、量産できるかということも考えなくてはいけない。そこでせめぎ合いもあります。例えば『ルビンの壺』ってあるでしょう。人の横顔にも、グラスにも見える。同じものでも見方を変えるだけで、世界が変わるんです。革づくりも同じで、今まで脇役だったものを主役にしたり、決まった工程を逆からやってみたり。そうすることで、それまでなかったものが生まれる。何でもありにするより、制約の中で自由を探る方が、可能性は広がるんです」
その探究心は20周年を迎えた今も尽きない。2027年にはダック地の風合いを革で表現する「ダックレザー」を展開予定。さらに、ヘリンボーンをモチーフにした「アーミーレザー」など、ミリタリーに着想を得た新素材の構想も進む。縫製には古いミシンを使うという。ヴィンテージへの敬意を出発点に、革だからこそできる表現を探る。20周年を迎えても、髙木さんの素材開発は止まりそうにない。


20th Anniversary Trunk Showも開催決定!
天神ワークス20周年を記念したトランクショーを開催予定。インディアンジュエリーや古着など、ヴィンテージを扱う出展者が一堂に会し、物販を行う。詳細はブランドからの公式発表をお待ちいただきたい。
【問い合わせ】
天神ワークス
TEL03-3870-8658
https://tenjinworks.com
(出典/「
Photo/Takuya Furusue 古末拓也 Shunichiro Kai 甲斐俊一郎 Text/Joji Sakaguchi 坂口丈治
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