革の常識を覆す天神ワークス渾身の「リジットレザー」
タンカラーの革ジャンや、革のエイジングを競う大会A‒1GP、キップレザーやオイルドコットンのような風合いを持つブラッシュドレザーなど、業界をあっと言わせてきた天神ワークスだが、今回のこの革には心底驚いた。使用しているのは0.7㎜厚のキップレザー。栃木レザーとタッグを組み、試行錯誤すること2年。遂に、「デニムのようなあたりの出る革」を完成させた。それが「リジットレザー」だ。
なんとデニムの綾を表現するため、型押しまでしているというこだわりよう。この写真を見てほしい。まさに、デニムのようなアタリが出ているのがわかる。実はこれ、キップレザーの裏革を使っているのだ。オイルを多めに加え、最初は熱をかけてプレスすることでパリッとさせて、まさしく「生デニム」のように仕上げているのだが、着込むうちに毛羽立ちが現れ、デニムのような風合いが生まれてくる。
それだけじゃない。元々生成りに仕上がるタンニン鞣しのキップレザーの上に、まず白色を載せ、その上から青く染めている。そう「白芯」なのだ。そのため、着込むうちにデニムのような白いアタリが出現し、その後に下地の茶がうっすらと出てくるため、デニム特有の「生成りっぽさ」まで楽しめる仕様。
「この1カ月、ほぼ毎日この革ジャンを着ていましたが、実際、ここまでエイジングが楽しめる革は、他にないと思います。作った僕自身、びっくりしちゃったくらいですから(笑)」と、代表の髙木さんも太鼓判を押す。
「デニムのような雰囲気も味わえ、レザーならではのエイジングも楽しめる、それがリジットレザーの魅力ですね」
まずはジャバラ。実際のGジャンなら、ここまでくっきりとは出ない。それでいて、デニムのようなパッカリングやアタリも楽しめる。まさにエイジングファン垂涎のモデルではないか。
しかし、このモデルの凄さは、素材だけじゃない。ベースにしているのは大戦モデルだが、完全にオリジナルのヴィンテージのパターンを採用し、なんとすべて当時のヴィンテージミシンで縫っているのだ。縫製を手がけるのは、ヴィンテージミシンでオリジナルデニムを手掛けている福岡のブランド「Good Old」。
髙木さんの執念とも言えるこだわりが、この“唯一無二”の革ジャンを完成させたのだ。

約2年間かけて作り上げたリジットレザー。髙木さんと栃木レザーの三柴さんの二人三脚で完成させた、まさに夢のレザーなのだ。
デニムの魂を宿したリジットレザーの大戦モデル!|[ TENJIN WORKS ]1010XX

2年の歳月をかけて完成させたリジットレザーを使った渾身の1着。素材は0.7mmのキップレザー。オイルを足し、ドラムで回すことで繊維をほぐし、熱を加えてプレスし、デニムのような質感を再現した。デザインは、ヴィンテージファンにも人気の高い大戦モデルのパターンをそのままトレースし、デニムブランド「Good Old」とタッグを組み、当時のデニム用のヴィンテージミシンで縫い上げている。最初はリジットデニムのように手強いが、着込むうちにすぐに身体に馴染み、デニムさながらのアタリと、レザーならではのエイジングが両方楽しめる。29万7000円

こちらがバックショット。ヨーク部分のアタリなど、まさにGジャン。シンチバックや当時の縫製など、ヴィンテージファンも納得の仕上がり。

この写真を見て、革だと思う人はまずいないんじゃないか?完全にデニムのようなエイジングを見せている。この秘密は、ミシンにある。

見よ、このダイナミックなアタリを。革ジャンならではのジャバラに加え、デニムのような変化も楽しめる。生成りの革の上に、白で染めている「白芯」なので、デニムのような色落ち感を醸し出している。

背中のヨークのパッカリングもたまらないでしょ? これはヴィンテージミシンでチェーンステッチで縫っているからこそのアタリなのだ。

ヴィンテージファン垂涎のシンチバックも超リアル。実はこのバックルは当時のデッドストックを使用している。詳しくは後述する。

胸のプリーツに出現したパッカリングも、まさしくデニムそのもの。デニムファンもレザーファンも、共に楽しめる1着に仕上がった。

オリジナル同様、鉄製ボタンを採用しているため、ボタンの錆びなどのエイジングも堪能できる。こうした細部にも手を抜かないのが髙木流。
ヴィンテージミシンで、革を縫う!?
今回、1010XXを語る上で、忘れてはならないのが「Good Old」の存在だ。「Good Old」とは、福岡県嘉麻市に本拠を構える、ヴィンテージミシンのみでオリジナルデニムを作るブランド。レザーとヴィンテージミシン。普段なら絶対に交差しない両者が出会うことで、この1010XXは生まれたのだ。
「リジットレザーが完成した時、当初は通常のレザーを縫う工場にお願いしようと思ってたんです」と髙木さん。でも何かが違う。それなら巷にあるGジャンタイプの革ジャンと変わらない。やるからには徹底的にやってみたい。デニムと同じミシンで縫ってみたら、どんな仕上がりになるんだろうか? そんな思いかGood Oldの門を叩いた。
「最初は、この人、何を言ってるんだろうと思いましたよ。だって、デニム用のミシンで革ジャンですよ? 縫えるわけないじゃんって」と梶原さんは笑う。でも、モノ作りのエキスパート同士、すぐに意気投合し、ミシンの調整や革厚を変えたり試行錯誤を繰り返し、どうにか完成にこぎつけた。確かに、今までにみたことのない〝革ジャン〟に仕上がった。
「このリジットレザーは、油脂分や水分などで、シュリンクしやすいんです。それが、チェーンステッチに沿って縮むので、最高のパッカリングが楽しめます。こんなにエイジングが楽しめる革、そしてジャケットは、他にないんじゃないかな」と、数多の革を見てきた髙木さんも唸らせるほどの完成度。デニムファン、レザーファン、共に大満足のリジットレザーの1010XX、是非ご賞味あれ。

リジットレザーを丁寧に縫っていくGood Oldの梶原さん。十数年、ヴィンテージミシンを扱ってきたベテランだが、それでも勝手の違うレザーを縫うことに、最初は戸惑ったという。

チェーンステッチを縫うときは、ユニオンスペシャル35800を使う。「デニムとレザーは素材が全く違うので、ミシンの調整が必須です。失敗できないので気を使いますね」と梶原さん。

直線縫い用のシンガー31-15で縫っていく内野さん。1010XXでは、3台のミシンを使う。帯縫いをする時は、ユニオンスペシャル51800を使用する。デニムと同じ作りで縫っていく。

所狭しとヴィンテージミシンが並んだGood Oldのファクトリー。聞くところによると、梶原さんはここに出ていないものも含めて、約50台のヴィンテージミシンを所有しているという。

完成した1010XXを前に、今後の修正点などを検証する髙木さんと梶原さん。革のプロフェッショナルと、ヴィンテージデニムのプロフェッショナルが出会い、奇跡のアイテムが完成した。
リジットレザー1010XXの珠玉のディテールに大注目



こちらが新品の状態。まるで「リジットデニム」のような雰囲気が伝わるだろう。これは、最後に革に熱を加えてプレスすることで、艶感と張り感を加え、デニムの生っぽさを表現しているため。一度袖を通して腕を曲げたら、レザーファンでも未体験の、迫力あるアタリと皺が堪能できるはずだ。


初回受注分には、デッドストックで見つかったドイツ製の「SOLIDE(ソリデ)」のバックルが付く。鉄製でエイジングも楽しめる。大戦中にドイツからアメリカに渡り、使われていたようだ。

1010XXの特徴はライニングを使用しない1枚革ということ。ジャケットの表に革の裏面を使っているので、ジャケットの裏は革表面。こちらのエイジングも楽しみ。

なんとデニムのセルビッチも再現。白く塗料を塗った上に、赤いステッチでミミを表現。ここまでやる必要ある? と言いたくなるが、髙木さんの遊び心が素敵。

ボタンホールは、デニムと同じ細かいピッチだと、革が抜けてしまう。強度のことを鑑みて、ピッチを調整し、若干粗くしている。細部にも手は抜かない。

リジットレザーは、デニムっぽさを作り上げるために綾目を型押しで再現しているが、ヨーク部分など、オリジナル同様に綾目を逆に使うこだわりよう。すごくね?
TENJIN WORKS 1010XXのお知らせ
【 初回受注期間 】6月30日(火)〜7月31日(金)
- 初回受注分は、デッドストックのSOLIDEのバックルが付きますが、数量限定のため、無くなり次第、レプリカの鉄製バックルとなります。
- 天神ワークスの店舗で各サイズ試着可能です。
- ご予約は天神ワークスのウェブサイト内オーダーフォームより受け付けております。https://tenjinworks.com
【問い合わせ】
天神ワークス
Tel.03-3870-8658
https://tenjinworks.com
photo/Shunichi Kai 甲斐俊一郎 text/Tatahiro Ogawa 小川高寛
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