1990年代のアメリカには西部劇の風景が残っていた。LAの名店「MISTER FREEDOM」オーナー・クリストフにとってのアメリカとは?

ロサンジェルスの名所とも言うべきショップMISTER FREEDOMのオーナーで、ヴィンテージディーラー、さらにファッションデザイナーとしても活躍するクリストフさん。アメリカへの憧れを抱いて、フランスから移住したのだった。

夢に見たアメリカは、まだまだ残っている。

35年ほど前にフランスからアメリカに移住したクリストフさん。彼にとってのアメリカを語ってもらった。

「幼い頃からアメリカに夢中でした。アメリカのテレビドラマや映画をたくさん観ていたので、私が思い描いていたアメリカは、ヴィンテージのハリウッドを通したイメージでした。10代の頃には『アメリカーナ』にどっぷりハマっていました。アメリカから発信されるものは、どれもクール。文化、サブカルチャー、西部劇的なビジュアル、クルマ、ファッション、音楽、言語、個人主義やタフな国民性……。当時ロカビリーにもかなりハマっていたので、ロックンロール発祥の地。いつか自分の目でその地を見てみたいというのが夢だったんです。そして1990年1月にカリフォルニアへ移住しました」

少年時代から、彼はアメリカに憧れを抱き、その懐に飛び込んだ。

「来た当初は、ガソリンを入れるだけでもクールに感じたんです! 1961年式ポンティアックを買って、昔の音楽が流れるラジオを聴きながらドライブするのがたまらなかった。1950年代からもちろん国は近代化していたけれど、カリフォルニアの一部には今でも西部劇に出てくるような風景が残っていて、カウボーイや旧いクルマ、ロックンロールの音楽がそこにありました。夢に見たアメリカは、探せばちゃんと残っていたんです。私はそのすべてを吸収しました」

テレビや映画よりも、現実はもっとエキサイティングだった。

「僕にとってアメリカで暮らし、宝探しのような仕事で生計を立てることは、夢が現実になったようなものでした。必死で働き、がむしゃらに生き、思いっきり楽しんできました。今ではアメリカ市民にもなり、この「チャンスの国」に迎え入れてもらえたこと、そして世界中から集まったクールで刺激的な人たちと出逢えたことに心から感謝しています。私がアメリカに来た当時、多くのアメリカ人は過去を振り返るより未来を見つめ、コレクションよりもイノベーションに興味を持っていたので、1990年代初頭は、誰にも注目されていない古いものがまだたくさん残っていました。老舗のファッションブランドも、アーカイブという宝の山を無視して、新しいデザインの新商品を作ることにばかり集中。「ヴィンテージ」という概念すらまだ浸透しておらず、スリフトショップやヤードセールは、クールな服やアンティークを手に入れる最高の場所でした。ヴィンテージブームが本格化する前の時代です」

アメリカで多くの魅力的なアイテムと出逢ったクリストフさん。「宝探し」から、着想を得たプロダクツのデザインにも力が入る。

「ジーンズ、白いTシャツ、そしてウエスタンスタイルのレザージャケット!」

憧れのアメリカをイメージしてデザインしたアイテムはMISTER FREEDOM × SUGAR CANEのコラボレーションブランドとして世に送り出される。

Mister Freedom(クリストフ・ルアロン)|ロサンジェルス・ハリウッドエリアでヴィンテージ&ヘリテージクロージングを扱う人気店MISTER FREEDOMのオーナー兼デザイナー。MFSCの愛称で知られる「MISTER FREEDOM × SUGAR CANE」のコラボブランドは世界中で販売中。

MFSC Torpedo Jacket|ウエスタンスタイルのレザージャケットは日本でもMF×SCで2025年秋に発売予定。「私が好きなアメリカを表現しました」

(出典/「Lightning 2025年5月号 Vol.373」)

この記事を書いた人
松島親方
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松島親方

買い物番長

『Lightning』,『2nd』,『CLUTCH Magazine』男性スタイル&カルチャー誌の統括編集長。ロンドンのセレクトショップ「CLUTCH CAFE」のプロデューサーも務める。 物欲を満たすためには海をも越え、全地球規模で買い物を楽しんでいる。
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