メイド・イン・ノーサンプトンを貫く英国靴の筆頭「Crockett & Jones」のモノづくり

革靴の聖地であるノーサンプトンにて1879年に初声をあげた〈クロケット&ジョーンズ〉。英国靴を語る上で欠かすことのできない同ブランドのモノづくりの現場に足を運んだ。

一足の革靴に宿る147年の歴史と誇り

革靴産業の一大拠点として名を馳せる英国・ノーサンプトン。中世から靴職人が集まり、17世紀には軍用靴の生産も行われるようなったというこの聖地で1879年に創業したのが〈クロケット&ジョーンズ〉だ。元々は名だたるトラッドブランドのOEMを担ってきたが、代表のジョナサン・ジョーンズ氏が現職に着いてからは自社ブランドの生産を強化。OEMで培ったノウハウと世界的に見ても屈指の木型数を保有し、英国靴の筆頭としての評価を欲しいままにする。

一足の革靴が完成するまでに、200以上の工程があり、そのクオリティには絶対の自信を持つ。各国の名門タンナーから仕入れた最高品質の素材、完成された木型、ラスティング、ウェルト縫い、コルクの充填、ソール縫い、コバ、ヒールの仕上げなどのグッドイヤー製法の追求……。世界的に装いのカジュアル化が進み、多くのメーカーがスニーカー作りに乗り出すなか、〈クロケット&ジョーンズ〉は頑なに革靴にこだわる。その信念こそが真のトラッドであり、革靴好きにとって憧れのブランドであり続ける所以なのである。

1890年代に移転したマギーストリートの工場を現在も使用。約250人の職人が働いており、その生産量は世界屈指。工場内のホワイトボードには1日あたり、そして1週間あたりの目標数が記されていた。

革のカッティングや芯地の貼り付けなど手作業による工程が非常に多いのが印象的だった。フロントのモカ縫いは、そのすべてがハンドステッチというのだから驚きだ。

〈クロケット&ジョーンズ〉といえばグッドイヤー製法。アッパーの吊り込み、チャネル(縫い付けるための溝)作り、コルク詰め、縫い付け、コバ塗りなどの工程を担当職人によるリレー形式で行っていく。

工場内には様々なマシンが存在するが、ひと際目を引いたのがこちらのレーザー照射期。ローファーなどのフロントのモカステッチを行うための“穴”をレーザーによって開けているのだ。

ドレスからカントリーまで、幅広いデザインを誇るのが〈クロケット&ジョーンズ〉の魅力のひとつ。1.ブランドを代表するチャッカブーツ[チャートシー]。スウェードの柔らかな質感とやや丸みを帯びた「224ラスト」の絶妙なマッチングから“チャッカブーツの完成系”との名を欲しいままにする。13万2000円 2.英国靴では珍しくハイトをやや高く設計した[チェルシー21]。前方と後方の両方に付いたプルストラップで着脱も容易。14万3000円 3.定番のペニーローファー[ボストン2]のアッパーに、ワックス加工により耐水性を施したラフアウトスウェードを採用。ソールは軽量なビブラムVライトソール。13万2000円4.キャップトゥのダブルモンクストラップ[テイ3]。ボリュームのあるラウンドトゥと小ぶりなバックルが絶妙なバランス。15万9500円 5.Uチップの人気モデル[モールトン]のアッパーにホーウィン社のシェルコードバンを採用。英国的な気品と米国的な武骨さが組み合わさった唯一無二の佇まいに。23万1000円

【問い合わせ】
フレーム青山
TEL080-4729-1485
www.frame.jp/

クロケット&ジョーンズを担うプロフェッショナルたち

代表 ジョナサン・ジョーンズさん

ロースクールを卒業後、〈クロケット&ジョーンズ〉に入社し、靴作りの研修、営業、プロダクション部門を経て現職に就いた“叩き上げ”のジョナサン・ジョーンズさん。4代目の代表を担う彼が目指すのは時代を超えても変わらない“普遍性”だ。「我々の強みは良いフィッティング、最高品質の素材、エレガントな英国スタイル。すべてはクオリティなのです。時代が変わっても変わらない靴作りを続けていくことが我々のビジョンです」

147年の歴史、名だたるブランドのOEMを担ってきた実績、他の英国シューメーカーとは一線を画す圧倒的な生産量……。質、量ともに英国の革靴文化を牽引する〈クロケット&ジョーンズ〉のショールームには膨大な数のアーカイブが並ぶ。そのバリエーションの豊富さは圧巻のひと言だ。

レザーバイヤー ダンさん

レザーのバイイングを担当するダンさん。コードバンやミルドカーフをはじめ、世界各国から最高品質の革を仕入れている。「革靴作りにおいて革選びはとても重要。生産数が多いため、常にストックしておく必要があります。オーダーしてから届くまでに約半年を要すので、逆算してより多くの革を仕入れています。品質を保つために高い基準をクリアした革だけが採用されます」

生産管理 シェイさん

工場長として生産管理を一任されているシェイさん。約250名の職人を束ねる存在だ。「クオリティを担保するためにも職人の育成は欠かせません。ステッチひとつをとっても力のかけ方で品質が左右されますからね。私たちにはベテランの熟練職人が多数いますが、25歳以下の職人も15名ほど在籍しています。研修を通じて我々の伝統を彼らに継承していくことが目下の目標です」

デザイナー マークさん

靴作りの起点であるデザインを担当するマークさん。彼のこだわりこそが〈クロケット&ジョーンズ〉の“心臓”だ。「パターンはすべて手書き。ノーズの角度、履いた時に空気が入らないような設計など、細部にこだわっています。すべてのモデルが異なるプロセスで生まれており、それらをコンピュータで一括管理しています。本や映画がデザインの着想源となることもあります」

この記事を書いた人
みなみ188
この記事を書いた人

みなみ188

ヤングTRADマン

1998年生まれ、兵庫県育ちの関西人。前職はスポーツ紙記者で身長は188cm(25歳になってようやく成長が止まった)。小中高とサッカーに熱中し、私服もほぼジャージだったが、大学時代に某アメトラブランドの販売員のアルバイトを始めたことでファッションに興味を持つように。雑誌やSNS、街中でイケてるコーディネイトを見た時に喜びを感じる。元々はドレスファッションが好みだったが、編集部に入ってからは様々なスタイルに触れるなかで自分らしいスタイルを模索中。
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