夏に手に入れたいタフなツラ構えの軍用時計。

一言にミリタリーウォッチと言っても、国や時代で千差万別。何を選んでいいかわからない人も多いはず。そこでヴィンテージミリタリーウォッチのスペシャリストであるキュリオスキュリオの萩原秀樹さんに今押さえていくべきモデルを、エントリー、ミドル、ハイエンドに分けて、指南してもらった。

「キュリオスキュリオ」代表・萩原秀樹さん|1973年生まれ。30年前にレマニアのミリタリーウォッチを購入したことをきっかけに、軍用時計に開眼。時計店のスタッフなどを経て、キュリオスキュリオを開店

名作モデルは国や年代でそれぞれに存在。

「華美な装飾は一切なく、徹底的に実用性と機能美を求めていることがミリタリーウォッチの魅力だと思います。世界各国にミリタリーウォッチが存在しますが、アンティーク市場でメインとなるのが、ヨーロッパ。

これは時計大国であるスイスの存在が大きく、様々な国や年代で、それぞれ名作モデルが存在します。逆にアメリカは、A11などは有名ですが、アンティーク市場だと意外と評価が低いんです」

そう語るのは日本で唯一のアンティークミリタリーウォッチ専門店であるキュリオスキュリオの萩原さん。デザイン関係の仕事をしていたが、ミリタリーウォッチに熱中するあまりに自身で時計店をオープンしてしまうほどの愛好家だ。そんなスペシャリストがオススメする軍用時計とは?

「’40年代〜’60年代にかけてのヨーロッパのモデルですね。大きな戦争があった’40年代は近代兵器の実用化もあって、軍用時計の役割が明確化されました。そして’50〜’60年代にかけてはクロノグラフやダイバーズなどが登場し、機能性がより進化したんです。

ただ’70年代からはコストダウンが始まり、徐々に使い捨ての時代へと移り変わっていきます。軍用時計の機能美を求めるなら、この年代の名作をまずは買ってくことをオススメしますね」

これは近年盛り上がっている通称ダーティ・ダースシリーズ。イギリス陸軍が12社の時計メーカーに発注した軍用時計。各メーカーでかなり値段の差が生まれている

とことん機能美を突き詰めた色気のあるプロダクツ。

1945 OMEGA British Army W.W.W.

人気の高い英国陸軍のダーティ・ダースシリーズのオメガ社製は入門用に最適。W.W.W.とは、Wrist Watch Waterproofの略で、防水腕時計を指す。42万5000円

1943 ELGIN U.S.ARMY TYPE A-11

軍用時計のエントリーモデルとして知っておきたいのが米国陸軍の名作A-11。前年まではホワイトダイアルであったが、ブラックの文字盤に変更された。8万8000円

1950s International Watch Co. Royal Air Force Mk.11

ミドルレンジで絶対的な人気を集めているIWCの名作パイロットウォッチ。ケースは、ムーブメントが磁気帯びしないよう2重構造になっていて、質実剛健な作りだ。138万円

1986 Porsche Design by IWC OCEAN BUND Ref.3509

西ドイツ海軍が採用していたポルシェ・デザインがデザインを手掛け、IWCが製造した名機。当モデルは、アタックダイバーに支給されたRef.3509となる。330万円

1960s LEMANIA R.A.N Series II

ミドルクラスでオススメが、1960年代にオーストラリア海軍に納入されたクロノグラフモデル。シリーズ2のRANクロノグラフの文字盤は「LEMANIA」と「RAN」が存在するが、この個体は前者の仕様。85万円

1968 HEUER German Army 1551SGSZ

現存数が50〜150本と言われているスペシャルピースで、ドイツ陸軍の砲兵部隊へ支給されたモデル。1550SGの派生モデルで、星座早見盤、サングラス、マニュアルと共に納品された。280万円

【DATA】
Curious Curio
東京都港区南青山4-26-7 +8 ビル 302
TEL03-6712-6933
営業/15:00〜20:00
https://curious-curio.jp/

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning2023年7月号 Vol.351」)

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