雑誌「2nd」の看板スタイリスト・吉村祥吾の「撮影前夜、事務所にて」第8回

『セカンド』の看板スタイリスト吉村祥吾さんが一体のコーディネイトを組むまでの、理論と感覚が入り混じる紆余曲折を、文字化するスタイリングドキュメンタリー第8回。前回はこちら。

スタイリスト・吉村祥吾さん|1986年生まれ。2016年より『セカンド』で継続的にスタイリン グを担当。普段着のマイルールは「TPOに合わせて、靴から決める」

超王道の組み合わせ、シャツとデニムは崩すしかない

編集部 今回のモデルカット、「シャツとデニムでスタイリング」しか決まってない状態で吉村さんに相談させてもらいました……。

吉村 難しかったですねぇ〜(笑)

編集部 一緒に好みのシャツとデニムを選定するところから始めましたね。サイゼリヤで(笑)。後日「着崩し」を提案するのはどうかという相談をもらいましたが、なんでそう思ったんですか?

吉村 シャツとデニムなんて超王道の組み合わせじゃないですか。ともすれば単調になりそうなモデルカットを新鮮に見せるにはどうしたらいいだろうと思ったときに、相反するものを合わせたり、ひねりのある着こなしを提案したいなと思って。

編集部 ここで紹介するスタイリングは、計6体のなかでももっともシャツとデニムのギャップが大きいですよね。

吉村 そうですね。ダブルカフスのシャツはドレスのテイストが強く、普段あまり『セカンド』では扱わないアイテムですが、たとえばミリタリーとかワークとか、全く逆の最もカジュアルなパンツに合わせたら新鮮なバランスになるんじゃないかと思いました。今回はデニム縛りだったので、なかでももっともカジュアルなペインテッドにしました。

編集部 なるほど。でも街を歩いてるとたまに「真逆のものを合わせようとしてるけど、ハマってない人」もいますよね。それって吉村さんどう思います?

吉村 シルエットのバランスが現代的じゃなかったり、キャラクターからズレてたりしますよね。キャラも含めて「いまの街に溶け込むようなバランスを突き詰めること」が大事かなと思います。

編集部 今回のスタイリングは、どうバランス取ってるんですか?ドレスシャツとカジュアルパンツを合わせるだけじゃ、バランス取れてるとは言えないですよね?

吉村 肩にかけてるスウェットもバランスを意識しています。というのも、ダブルカフスと相反する、デニム同様にカジュアルなアイテムなわけですが、このスウェットがいわゆる土臭いヴィンテージ調のものだったら、たぶんしっくりきてなかったと思います。僕が使ったのは「フィルメランジェ」。品のある生地感を選びました。これもバランスですよね。

編集部 足元もベタにいくと「レッドウィング」あたりを合わせたくなりそうですが。

吉村 それだと自分としては“アメカジ”をやりすぎなんですよね。かと言って、ノーズ長めのドレスシューズもなんか違う。スラックスからジーパンまで合わせられる「オールデン」のプレーントゥが最適解でした。全体のバランスを見ながら、調整役として靴を選んだイメージです。こんな企画をやっててなんですが、このへんは感覚的な部分も大いにあって(笑)。

編集部 それを説明するのがこの企画の役割なんですけどね(笑)。いろんなスタイルを見て学んだり、トライ&エラーを繰り返すことが大事なのかもしれないですね。

今回語ってもらったのは2nd6月号 P69のコーディネイト 「崩しで引き出す、定番の奥行き」というタイトルで、シャツとデニムをメインに、着崩しを意識したスタイリングを提案するページ。「アウターも着ないように」という、スタイリスト泣かせのリクエストもあった
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