雑誌「2nd」の看板スタイリスト・吉村祥吾の「撮影前夜、事務所にて」第7回

『セカンド』の看板スタイリスト吉村祥吾さんが一体のコーディネイトを組むまでの、理論と感覚が入り混じる紆余曲折を、文字化するスタイリングドキュメンタリー第7回。前回はこちら

スタイリスト・吉村祥吾さん|1986年生まれ。2016年より『セカンド』で継続的にスタイリン グを担当。普段着のマイルールは「TPOに合わせて、靴から決める」

“冬の終わりから春の始まり”のルックを意識

編集部 今回は特集内の企画「普通の服が輝く瞬間」からです。このモデルカットは「服や人の素の魅力を引き出そう」と打ち合わせで話していて、色や柄など、いつもよりシンプルです。春夏シーズンにしては少し重めですかね?

吉村 季節の変わり目って、日によって気温が全然違うじゃないですか? その日が暖かくても「夜は冷えるかも」みたいな心理が働くので、昨日着ていた秋冬ものをいきなり家に置いていくことって実は少ないと思うんです。街を見ていてもそんな感じがして、“冬の終わりから春の始まり”くらいのルックを意識してつくりました。

編集部 バルマカーンコートは、アナトミカですね。

吉村 コートといえばやっぱりこの形がスタンダードだと思います。生地感もいいし、たっぷりとしたシルエットで、歩くたびに揺らめく雰囲気もいい。本当によくできている名品だと思います。

編集部 秋冬だったらインナーはジャケットやニットですが、今回はTシャツですね。いわゆる肌着のような薄手ではなく肉厚なものにした理由は、シャツをフルオープンにしたからですか?

吉村 スタイリングの考え方として、「上着から順に脱いでいって、シャツ一枚でもTシャツ一枚になってもカッコいい」という状態が理想なんです。今ぐらいの時期は特にそうで、今回はそれをより意識してヘビーウエイトTシャツにしました。

編集部 デニムパンツはブルーではなくブラックですね。

吉村 ベージュのコットン系のアウターにブラックジーンズの合わせは、季節を問わず推しています。ブルージーンズとの合わせも好きですし実際にスタイリングすることもありますが、今回はシャツの色味が爽やかだったので、ブルーよりブラックの方が大人っぽく締まってていいなと。

編集部 メタルフレームのメガネにヴィンテージ時計、そしてスニーカーというのも、いつもと違った感じですね。

吉村 ローファーももちろんいいと思いますが、今回はいつものトラッド色を少し控えめにしてみました。いつも以上にライトな印象にしたかったので、シューズはスニーカー。

編集部 普段革靴を紹介することが多いので、スニーカーが妙に悪目立ちしないか不安になります……。

吉村 めちゃくちゃわかりますその気持ち。キャンバススニーカーが軽すぎて「ちょっとなぁ……」という時はスウェード素材のスニーカーを選んでますね。クラシックな服に馴染みやすいですし、アウターとシューズのトーンを近づけるとまとまりやすいです。

編集部 なるほど、トーンを抑えたクラシックな雰囲気をベースに、シャツとスニーカーで軽さを加えたバランス、素敵ですね。

吉村 うまくまとめてくれてありがとうございます。(笑)

今回語ってもらったのは2nd5月号P056のコーディネイト。チープシックの根幹を担う“ベーシック”をいつも以上に意識したグラビアページ。シンプルゆえアイテムの魅力が引き立つ1体。※スニーカーのインソールのロゴデザインは、製品と異なります
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