森のガレージで追い続ける、アメリカンカルチャーへの憧れ。ヘルメットメーカーTT&CO代表・高橋さんの六輪生活

大自然に囲まれたウッディなガレージで、ヴィンテージバイクやクルマを整備し、走らせ、また新たな一台との出会いを求める。乗り継いだ数は100台以上。それでも飽きることなく、心を揺さぶるアメリカンヴィークルを追い求めてきた。愛車を収めるガレージから森遊びまで、自らの理想を形にした趣味人の終わりなきガレージライフ。

森の中に築き上げた理想のガレージライフ

千葉県の山深い一角にひっそりと佇む巨大な木造ガレージ。約50坪の広さを持つこの空間は、ヘルメットメーカーTT&CO代表・高橋さんが愛車とともに過ごすプライベートの拠点である。現在は32年フォード5ウィンドウを筆頭に数台のH–Dが収まり、自然に囲まれた静かな環境の中で、仕事を離れた時間を楽しんでいる。

以前にも別の森でガレージライフを送っていた高橋さんだが、さらなる理想を求めて新たな土地を開拓。まるで西部開拓時代の馬小屋を思わせる外観と、映画『許されざる者』に登場するBAR付きの娼婦館をイメージした内装を備えたガレージを一から作り上げた。表情豊かな不揃いのライフエッジ材を用いた外壁は、旧いアメリカの片田舎の家をイメージソースとしたこだわりのディテールワークである。

「バイクやクルマを置く場所が必要だったから大きなガレージを作って、薪ストーブの薪を割ったり、木を切ったりしているうちに森遊びにどんどんハマって、愛車の整備を最低限する工具や道具もあるし、ゆっくりするどころかやりたいことが尽きなくて……(笑)。ガレージもここから改造する余地があるし、乗り物に関してはまだまだ乗りたいクルマやバイクもたくさんあって、常に刺激的な出会いを求めています」

高橋さんは、TT&COがヘルメットメーカーになる以前、カスタムショップのビルダーだった経歴を持つが、ガレージライフの源流はそれ以前のプライベーター時代に遡る。他の仕事をしていた時代から、趣味で不動のバイクを手に入れては自宅の納屋で直して乗ってを繰り返して遊んでいたのだと言う。その経験がカスタムビルダーに繋がり、仕事でビルドすることをやめたいまも生活に欠かせない趣味の時間になっているようだ。また、もちろん収集して直して終わりではなく、日常的な移動手段に加えて、地方へ度々ツーリングへ出かけるなど、飾りではなく乗る時間も大事にしていることにも注目したい。

「ヴィンテージの乗り物の楽しさは、その時代の人になったような錯覚というか、現代車では感じられない非日常を味わえること。そう考えると、もっといろんなヴィンテージを味わってみたいって、次々に乗りたいものが出てきてしまうんですよね……。もっと遡れば、10台の頃初めて原付に乗った時ひと捻りでどこまでも行けるんだって、それまで遠かった場所が近くなったような気がして、その刷り込みが今でも強く残っていて、長距離も好きなんですよ。今年はバイクで北海道ツーリングを計画しています」

そして、闇雲に様々な車種を乗り継いでいるように見えるかもしれないが、高橋さんの愛車はほぼ全てクルマはV8、バイクはV2のアメリカンモーターを搭載するモデル。若い頃からアメリカの映画や雑誌、カタログなどを見て、刷り込まれた憧れの情景を今、日常の中で追体験していると言うわけだ。ガレージ自体いちから作り上げ、その理想の空間で憧れのアメリカンモーターを通して、古き良き時代への憧れを追いかける。都会の喧騒から離れ、森の中に築き上げた趣味人のガレージライフに終わりはない。

約50坪を誇る巨大な木造ガレージ。高橋さん自身で設計し、骨組みはプロの大工に依頼し、ライブエッジを張り巡らせた外壁は高橋さんのDIYで仕上げられた。

ガレージの中は天井が高く中央に仕切りがない開放的な空間。旧い馬小屋を参考にして、中央に車両を並べるスペースとリフトを設置し、両脇に中二階を設けた作りに設計されている。一歩外に出れば人工物が一切ない大自然が広がっている。

TT&CO.代表、高橋広之さん。アメリカ製の大排気量を誇るV2/V8モーターの鼓動をこよなく愛し、カスタムビルダーの経験を活かしたハイレベルなガレージライフを送る。

こちらはTT&CO.のプロダクツ。500TXのリプロダクトをベースに、チェッカーのペイントを落とし込み、高橋さん自身によるエイジング加工を加えてフィニッシュ。TT&CO.のプロダクツは高橋さんの遊びを含めたライフスタイルから生まれる。

森林に囲まれたガレージの周辺を走る高橋さん。余分な人工物が一切ないロケーションや音を過剰に気にする必要がない環境に惚れ込み、森のガレージライフをスタートした。

この記事を書いた人
CLUTCH Magazine 編集部
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