岡本太郎が1957年にデザインした「サイコロ椅子」。2026年10月23日より再復刻販売

株式会社グローカルスタンダードプロダクツ(石川県金沢市)は、岡本太郎が1957年にデザインした「サイコロ椅子」を、2026年10月23日より再復刻販売する。「サイコロ椅子」が初めて製作された1957年は、岡本太郎が絵画や彫刻にとどまらず、デザインや暮らしに近い領域へと活動を広げていた時期でもあった。今回の再復刻を機に、1957年に生まれた「サイコロ椅子」と、その背景にあった岡本太郎の活動をあらためて振り返る。

1950年代、岡本太郎とデザイン

1950年代の岡本太郎は、絵画や彫刻にとどまらず、建築やデザインなど、さまざまな領域へと活動を広げていた。

1953年には、丹下健三、坂倉準三、柳宗理、亀倉雄策らとともに国際デザインコミッティー(現・日本デザインコミッティー)の創立メンバーとなり、松屋銀座の「グッドデザインコーナー」に並べる商品の選定にも携わった。

1954年には、東京・青山に坂倉準三設計による岡本太郎のアトリエが完成し、「現代芸術研究所」を設立。翌1955年には、そのアトリエを拠点に「現代芸術の会」が始まり、建築、デザイン、文学など、異なる分野の人々が集まった。

そして1957年、日本では通商産業省による「グッドデザイン商品選定制度」が始まる。デザインという考え方が、産業や暮らしの中へと広がっていった時代だ。

同じく1957年、岡本太郎は、岡本敏子氏や松屋の担当者とともに、東京・大森の山川ラタン製作所を訪れた。職人たちがラタンを曲げ、編み、形をつくっていく現場を目にする中で、岡本太郎はその素材の自由さと可能性に触れた。

そこから生まれ、製作・商品化されたのが「サイコロ椅子」だった。

南青山のアトリエにて岡本太郎とサイコロ椅子。写真提供:公益財団法人岡本太郎記念現代芸術振興財団

サイコロ椅子

「サイコロ椅子」は、一辺360mmの立方体を基本としたラタン製の椅子だ。

直線的な立方体の中に、ラタンの大きな曲線が組み込まれている。六面すべてに渦巻き状の曲線を持つことも、「サイコロ椅子」の大きな特徴だ。

こうした立体的な構成は、一本一本のラタンを曲げ、組み、編み上げる職人の手仕事によって形づくられている。規則正しい立方体の中に、手仕事による自由な曲線が入り込むことで、工業製品には収まらない揺らぎと立体感が生まれている。

家具としての機能を持ちながら、空間の中ではひとつの立体物としても存在する。

簡潔な構成と、六面に広がるラタンの曲線。その対比によって、「サイコロ椅子」独自の造形が生まれている。

六面すべてに渦巻き状の曲線を持つ「サイコロ椅子」

暮らしの中にある、自由な感覚

「生活のなかに生命感の溢れる遊びがない。それが現代の空虚さだ。」 岡本太郎

この言葉を「サイコロ椅子」に重ねると、直線的な外形の内側をラタンの曲線が自由に走るその姿にも、岡本太郎が暮らしの中に求めた「遊び」の感覚を見ることができる。

整然とした立方体でありながら、その内側には自由な曲線が交差する。家具として使われる一方で、空間の中に置かれることで、見る角度によってさまざまな表情を見せる。

写真提供:公益財団法人岡本太郎記念現代芸術振興財団

岡本太郎(1911-1996)
日本を代表する前衛芸術家。若き日にパリへ渡り、芸術や思想、民族学に触れた経験を背景に、帰国後は絵画や彫刻にとどまらず、建築、デザイン、写真、著作など幅広い領域で活動した。1950年代には青山のアトリエを拠点に、建築家やデザイナーらと交流しながら活動の領域を広げ、1957年に「サイコロ椅子」をデザイン。代表作に「太陽の塔」「明日の神話」などがある。

岡本太郎のデザインを形にした、山川ラタン製作所

岡本太郎の自由な造形を、実際に座ることのできる家具として成立させたのが、当時、東京・大森にあった山川ラタン製作所だった。

その製作に携わった山川譲氏は、桑沢デザイン研究所で学び、自らもラタン家具のデザインを手がけるなど、デザインと製作の双方に精通していた。

岡本太郎の造形を素材と技術へと置き換えながら、職人たちとともに製品として形にしていく。

岡本太郎の発想と、山川ラタン製作所の技術。その両者によって「サイコロ椅子」は生まれた。

職人の手仕事によって形づくられる「サイコロ椅子」
ラタンの編みと接合部のディテール

そして後年、この山川譲氏との関わりが、GLOCAL STANDARD PRODUCTSによる「サイコロ椅子」復刻へとつながっていく。

山川譲氏との関わり、そして復刻へ

GLOCAL STANDARD PRODUCTSに「サイコロ椅子」を引き合わせたのは、晩年の山川譲氏だった。

1957年当時の製作に携わり、その背景を知る山川氏との関わりを通して、GLOCAL STANDARD PRODUCTSは「サイコロ椅子」を知り、復刻に取り組むことになった。

2011年、岡本太郎生誕100周年を記念した「TARO100祭」を機に、「サイコロ椅子」は認定復刻品として復刻された。

製作監修を務めたのは、1957年当時の製作に携わった山川譲氏だった。

誕生から半世紀以上を経て、「サイコロ椅子」は再び製品としてつくられることになった。

2021年の生産終了、そして2026年へ

復刻後も生産を続けてきた「サイコロ椅子」だが、2021年、新型コロナウイルス感染症の影響により生産拠点を失い、生産を終了した。

その後、新たな生産拠点を探しながら、再び製作するための体制づくりを進めてきた。

2026年、GLOCAL STANDARD PRODUCTSは新たな生産拠点と製作体制を整え、「サイコロ椅子」を再復刻する。

2026年10月23日より、GLOCAL STANDARD PRODUCTS公式オンラインショップ、岡本太郎記念館、川崎市岡本太郎美術館 ミュージアムショップ、松屋銀座7階「デザインコレクション」、および全国の取扱店にて順次販売を開始する。

商品概要

商品名: サイコロ椅子

デザイン: 岡本太郎

デザイン年: 1957年

復刻製作監修: 山川 譲

サイズ: W360 × D360 × H360 mm

素材: ラタン(籐)

価格: 69,300円(税込)

発売日: 2026年10月23日より順次発売

販売元: 株式会社グローカルスタンダードプロダクツ

販売: GLOCAL STANDARD PRODUCTS公式オンラインショップ、岡本太郎記念館、川崎市岡本太郎美術館ミュージアムショップ、松屋銀座7階「デザインコレクション」、および全国の取扱店

公式サイト:https://www.gsp-web.co.jp/

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