移りゆく時代の中で仕事服→ファッションへと変貌を遂げたのが、4つのユニフォーム【アメリカの黄金期】

1940年代〜60年代半ば、アメリカの黄金期。第二次世界大戦を契機に世界的な大国となるまでの歴史や流れを知るとともに彼らの衣服が“道具”から“ファッション”へと変わっていった。その衣服は4つのユニフォームであった。

【WORK】過酷な環境で働くための堅牢性と意味のあるディテール

National Archives

旧くは1840年代から50年代のゴールドラッシュ時に活躍した鉱夫に始まり、鉄道整備士や建設労働者、工場労働者、牧場労働者などが身に付けたユニフォーム。1930年代の世界恐慌への対応として実施されたニューディール政策によって公共事業が増加し、多くの雇用が作られたことでワークウエアの需要が高まり、一気に発展したと言われている。その後、大戦時の物資統制による簡素化を経て、戦後はテレビや映画を通じてファッションとして定着した。

  • カバーオール
  • シャンブレーシャツ
  • デニムジャケット
  • ワークブーツ
  • ペインターパンツ
  • ジーンズ

代表的な素材はやはりデニム。丈夫で摩擦に強く、汚れが目立ちにくい点や補修しやすい点もあり、過酷な環境で働く労働者のユニフォームとして非常に合理的な素材であった。同じ労働者でも職種によって傾向の違いが見られ、炭鉱夫にはデニム、鉄道整備士にはヒッコリー、建設作業員にはダックなどが代表的な素材として挙げられる。

【MILITARY】目的に応じて発展を遂げた究極のユニフォーム

National Archives

戦場という過酷な環境の中で兵士の命を守り、任務を遂行するためのミリタリーウエアには当時の最先端の技術が導入され、目的に応じて進化を遂げてきた。フライトジャケットを例に挙げると、1931年に米陸軍航空隊に正式採用されたA-2はレザー、43年にはコットンのB-10、そして二次大戦末期のB-15系列はその後、B-15Bなどを経てナイロンへ移行。陸・海・空それぞれの部隊の任務に応じて設計されており、その変遷は50年代後半以降も続く。

  • A-2
  • G-1
  • MA-1
  • M-43
  • M-51

数あるミリタリーウエアの歴史の中で、上記はほんの一部に過ぎない。軍のなかでも高度な訓練と高い飛行技術を要し、ひと握りのエリートだけがなれるパイロットが袖を通したフライトジャケット、大型のポケットが付いたフィールドジャケット&パンツなど、機能性を重視した素材選定、デザインが光る。

【SPORT】競技用のユニフォームや“遊ぶための服”が原点

National Archives

競技用ユニフォームから派生したものや、休日の余暇を過ごす際のレジャー服として愛用されたものが存在する。フットボールやベースボール、ハンティングなどに由来するウエアがその例だ。いずれも動きやすさが重視され、通気性や伸縮性、防水性に優れるものが多い。大戦後、アメリカが経済成長を遂げるなかで休日の余暇を楽しむことができる一部の富裕層や、スポーツに打ち込む名門大学の学生の間で親しまれるようになり、その後大衆へと浸透した。

  • マウンテンパーカ
  • スウェットシャツ
  • ハンティングジャケット
  • キャンバススニーカー
  • ラグビーシャツ
  • ポロシャツ

大きくは、ラグビー、ポロ競技、バスケットボールなどの競技用ユニフォームから派生したウエアとハンティングや登山などのアウトドアアクティビティから派生したもののふたつに分けられる。マウンテンパーカに撥水性にすぐれるロクヨンクロスが採用されたように、それぞれの用途に応じた機能性を持つ。

【AMERICAN TRADITIONAL】名門大学に通う学生たちの制服が礎

National Archives

ハーバード、イェール、コロンビアをはじめとする名門大学8校をアイビーリーグと呼び、彼らのキャンパスライフにおけるユニフォームが代表的なアイテムとして挙げられる。当時は名門大学に通うことのできるいわば上流階級のスタイルであった。ブレザーやボタンダウンシャツ、レジメンタルタイなどが代表的なプロダクトとして挙げられる。日本では1965年に発行された名著『TAKE IVY』やジャパンアイビーの元祖「VAN」の存在から人気に火がついた。

  • ブレザー
  • ボタンダウンシャツ
  • レジメンタルタイ
  • ダッフルコート
  • ローファー

ダッフルコートやレジメンタルタイの出自はミリタリーだが、学生たちに取り入れられ、スタイルとして定着した。ブレザー(スポーツコート)やシャツは元々はヨーロッパ由来のモノであるが、様々な体型にフィットし大量生産しやすい設計へ再構築されたり、独自のディテールが加えられたりして、アメリカを象徴するデザインとして定着。

(出典/「2nd 2026年11月号 Vol.220」)

この記事を書いた人
みなみ188
この記事を書いた人

みなみ188

ヤングTRADマン

1998年生まれ、兵庫県育ちの関西人。前職はスポーツ紙記者で身長は188cm(25歳になってようやく成長が止まった)。小中高とサッカーに熱中し、私服もほぼジャージだったが、大学時代に某アメトラブランドの販売員のアルバイトを始めたことでファッションに興味を持つように。雑誌やSNS、街中でイケてるコーディネイトを見た時に喜びを感じる。元々はドレスファッションが好みだったが、編集部に入ってからは様々なスタイルに触れるなかで自分らしいスタイルを模索中。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

FINE CREEKを世界でいちばん熱く語る男。

  • 2026.10.07

この男恐るべし、である。北海道・帯広にあるセレクトショップ、...Dannyオーナー、河合裕介さん。彼のセレクトスタイルは一貫している。自分の愛せるものしか、ショップに置かないのだ。「売れるモノ」をセレクトするのではなく、「自分の売りたいモノ」のみを並べる。この時代にあって、その姿勢はまさに「愚直」...

毎日のそばに、エル・エル・ビーン。秋の定番、フィールド・コートとフランネル・シャツ

  • 2026.10.16

毎日の服に、特別な理由はいらない。気兼ねなく着られて、どんな装いにも自然となじむ。そんな日々のワードローブを支えてくれるのが、エル・エル・ビーンだ。今回は秋の定番、フィールド・コートとフランネル・シャツを着て街へ出た。 100年を超えて今日もいつもの日常着 朝、玄関を出るときに手が伸びて、休日にもつ...

今季の「Lee」はブランケット付きジャケットに注目せよ!

  • 2026.10.19

シグニチャーモデル「101」が101周年を迎えるなど、アメカジ好きに多くの話題を提供してくれるLee。そんなアメリカンデニムを代表する同ブランドの注目の新作は、ブランケットを携えたワークジャケットだ。普遍的なデザインと保温性に優れるという機能を備えるこの秋冬の相棒となる逸品を紹介する。 Leeのシグ...

ネイティブアメリカンの美しき手仕事。伝統を守りながらもモダンな表現を得意とする現代作家を紹介!

  • 2026.10.08

ネイティブアメリカンのヴィンテージや工芸品を通して、彼らのカルチャーを伝えるCORNERS。今回は伝統的な手法を守りながらも、モダンな表現を得意とする現代作家をピックアップ。もの作りが乏しくなった今の米国だからこそ、余計に強く輝いているのだ。 Pamela Brown 1868年から続くナバホ族の織...

Pick Up おすすめ記事

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

バガブージャケット、40年目の原点回帰。現代に蘇った名作ジャケットの魅力とは?

  • 2026.10.20

1986年に誕生した〈コロンビア〉の名作「バガブージャケット」が、今年で40周年を迎えた。その機能とデザインは、フィールドだけでなく街へも広がっていった。40周年となる2026年、その原点を振り返りながら、現代に蘇った[バガブージャケット]を見ていこう。 Bugaboo II 1986 Interc...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

世界中で探し求める最上の素材。「THE FAT HATTER」秋冬コレクションをクローズアップ!

  • 2026.10.07

日本が世界に誇るハッターであるTHE FAT HATTERの秋冬コレクションをクローズアップ。今回のシューティングでは、それぞれの正義や美学をぶつけ合う場に向かう男たちを表現。彼らの強い決意と威厳を表現したような力強いハットが、精悍な雰囲気を醸し出している。ハットの良し悪しを大きく左右するフェルトは...

毎日のそばに、エル・エル・ビーン。秋の定番、フィールド・コートとフランネル・シャツ

  • 2026.10.16

毎日の服に、特別な理由はいらない。気兼ねなく着られて、どんな装いにも自然となじむ。そんな日々のワードローブを支えてくれるのが、エル・エル・ビーンだ。今回は秋の定番、フィールド・コートとフランネル・シャツを着て街へ出た。 100年を超えて今日もいつもの日常着 朝、玄関を出るときに手が伸びて、休日にもつ...