職人技で繋ぐ美しき刺繍。TAILOR TOYOのスカジャン【世界に誇るメイド・イン・ジャパン】

デニムを中心に世界中で高い評価を獲得しているメイド・イン・ジャパン。手間暇を惜しまずモノづくりと向き合う愚直な姿勢、徹底的な時代考証、こだわり抜かれた素材・製法の選定……。ジャパンメイドを追求する作り手たちの掲げる信念とその仕事ぶりを知ることで、日本製が高く評価される“本当の理由”が見えてくる。今回取り上げるのはスカジャン。東洋エンタープライズの前身である港商は、“スカジャン”という文化を作った一番の功労者である。1950年代には95%の納入シェアを誇り、土産物から始まったジャケットは、今も世界中の人々を魅了する。そんな偉大なアーカイブと対話し、当時の製法を守り、後世に伝えるのがTAILOR TOYOの松山さんだ。

桐生の職人魂が込もったスペシャルエディション

65年に創業した東洋エンタープライズは、前身となる港商時代も含めると80年近くスーベニアジャケットを作り続けている。その伝統と歴史を根底から理解し、“スカジャン”の魅力を渾身のプロダクトともに後世に伝える役割を担うのがディレクターの松山さんだ。

「スカジャンの魅力はなんと言っても横振りミシンによる美しい刺繍。これは戦前から和装の装飾で腕を磨いた桐生の刺繍職人がいたからこそ生まれたアートだと思います。特殊なミシンを操る技術による刺繍の振り幅や針足、糸の色など職人自身の実力や感覚で品質が変わります。同じ絵柄のヴィンテージでも刺繍のクオリティには差があり、当時は熟練の職人の作品をお手本に、新人も縫っていたようです。今でも桐生では、職人たちによって優れた刺繍技術が継承されており、テーラー東洋のスペシャルエディションを監修してくれています。その圧倒的な技術は、日本が世界に誇るクラフトマンシップだと確信しています」

左の伝票は、日本各地の米軍基地へスカジャンなどを納めていた時代のもの。中央と右は、港商時代に使っていた刺繍の型。亜鉛華を膠に溶いて刷毛で塗り、ステンシルの要領で生地に下絵を描いてから刺繍を施していた。

TAILOR TOYO Director/松山達朗さん|1969年石川生まれ。スカジャンに魅了され、収集を開始。1994年、世界初のスカジャン専門書を上梓。2010年シーズンから「テーラー東洋」の企画統括に就任。

“KOSHO & CO.” Special Edition“JAPAN MAP” × “EAGLE, TIGER & DRAGON (HAND PRINT)”

1940年代後半に前身の港商が米軍基地PXでの販売用に製作したプリント生地を使い、当時の兵士がカスタムオーダーしたというストーリーを元に作ったスペシャルエディション。リバーシブル仕様で、表には日本地図と富士山、そして龍が力強く描かれている。¥132,000_

REVERSIBLE

“KOSHO & CO.” Special Edition“EAGLE, TIGER & DRAGON (HAND PRINT)”

今季復刻した希少な1着は、テーラー東洋の前身である港商が40年代後期に米軍PXでの販売用として独自に製作した鷲・虎・龍のデザイン。同じ柄のアロハシャツも存在するが、生地が異なり、スカジャン用のサテン生地に手捺染されている。この仕様は当個体のみの特徴。¥66,000_

【問い合わせ】
TAILOR TOYO (TOYO ENTERPRISE)
Tel.03-3632-2321
www.tailortoyo.jp

(出典/「CLUTCH Magazine 2026年11月号 Vol.105」)

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