東海岸の精神宿る質実剛健なワークトラウザーズ
19世紀後半から20世紀半ばにかけて、アメリカの産業発展と密接に結びつきながら発展を遂げてきたワークトラウザーズ。コットンダック、ヒッコリーストライプ、モールスキンなど様々な素材が採用されてきたが、筆頭はやはりデニムだ。19世紀半ばにゴールドラッシュが勃興した西海岸では、金鉱夫に始まり農場労働者、伐採作業員(ロガー)などの肉体労働者がデニムを中心としたワークトラウザーズを着用してきた。
対して写真のヴィンテージは、東海岸のワークウエアブランド「スイートオール」が1930年代後半から40年代前半にかけて製造したものである。ブルーカラーの印象が強い西海岸に比べ、より工業化が進んだ東海岸では、鉄道機関士などに代表される自身の仕事に誇りを持つワーカーたちに向けた質実剛健な作りが特徴的な1871年創業の老舗だ。
このトラウザーズのディテールを見ていくと、正方形に近い形状のバックポケットやアールが入らないフロントポケットなど、非常に直線的なステッチワークが目に止まる。奇を衒った派手なデザインはなく、程よく武骨でシンプルな設計だ。このトラウザーズが作られたのはアメリカのワークウエアが黄金期を迎えた時代にあたり、非常に作り込んだディテールもみてとれる。背面には、ベルトループに加えてバックルを配置。ツールポケットと呼ばれるサイドポケットにはフラップが備わる。
そして、ドレストラウザーズを彷彿とさせる美しく洗練されたシルエットや背面中央の目立つ位置に配置されたブランドのネームラベルなど、細部に抜かりのないディテールワークが光る。その端正な佇まいからは、ユニークで気を衒ったデザインを取り入れることなく、愚直で良質な、「ワーカーたちに寄り添ったプロダクトを作る」というプライドや徹底的なこだわりが感じられる。

フロントはボタンフライ仕様で、トップボタンのみ刻印が入る。後のペインターパンツに多くみられるサイドのツールポケットにはフラップが付く。

ベルトループに加えて背面にはサイズ調整が可能なバックルが付く。またその上にはネームラベルが配置されている。直線的なバックポケットも特徴だ。
JOHN GLUCKOW/Lot JG-12 late 30s to early 40s Ironworkers Trousers


アメリカ東海岸の老舗ワークウエアブランドが1930年代後半から戦前にかけて製造したワークトラウザーズ。タテ糸に8番手、ヨコ糸に10番手を使用して織り上げた柔らかなデニム生地を採用。ややカジュアルでユニークな西海岸のワークウエアとは異なり、直線的なポケット、機能的なディテールを備え、かつ無駄のないシンプルなデザインからは、伝統的で洗練されたデザインを好む東海岸らしい質実剛健さが感じられる。¥36,300_
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WAREHOUSE TOKYO
Tel.03-5457-7899
(出典/「
Photo/Shunichiro Kai 甲斐俊一郎 Text/CLUTCH Magazine 編集部
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