
明るい、超広角ズームという他にない存在
前回もお話した通り、EOS R7、R10、R50、R100などのAPS-Cセンサー搭載モデルは、その性格上明るい広角レンズが少ない。望遠側はフルサイズ用を使えるが、広角側はそうはいかないので、専用設計が必要。しかしながら、ボディ自体が安価なので、あまり高価なレンズは売れないだろう……ということなのだと思う。
本体が小さいので、明るい単焦点レンズがあるとお散歩用レンズとしては便利なはずなのだが、それがラインナップにはない。
当初、キヤノンはRFマウントを他社に公開していなかったのだが、最近、ようやく公開してくれてシグマからRFマウント用レンズが販売されるようになった。現時点では、APS-Cセンサーモデル向きのみではあるが。
というわけで、今回はズームレンズのSIGMA 10–18mm F2.8 DC DNを試してみた。APS-Cなので、実質的には16〜28.8mm相当ということになる。RF-Sにも10-18mmはあるが、こちらはF4.5-6.3とだいぶ暗い。F2.8というのは魅惑的だ。

日常の光景と、周りの風景全部を取り込める
画角は10mm(16mm相当)で撮るとこんな感じ。

広角側でもなんとかボケ感を出せるのがいい。EOS RのAPS-Cを使ってこんなことができるレンズは少ない。
そして、望遠側で撮るとこんな感じ。

こちらは、18mm(28.8mm相当)ということで、日常的に使い勝手のいい画角だ。
EOS R10に付けられるレンズで、超広角と日常的な画角を往復できてこれだけ明るいレンズはあまりない。

ボケ感はF4.5相当なので、これぐらいのボケ感がせいいっぱいではあるが、それでも純正のズームレンズではこの雰囲気は出せないのでいい感じ。

空港で、ゲートから出てくる息子を待つ妻を撮ったが、背景をすこしボカせるだけでも雰囲気が出るというものだ。
超広角と、ちょっとワイド目の領域は、町を散歩して写真を撮るのにちょうどいい。
ビルの谷間から見上げた渋谷ヒカリエの面白さを丸ごと写し込むこともできるし、

ファサードの造形の面白さに寄ったりすることもできる。

すごいのは、こんなにコンパクトで、ワイドなレンズなのに、広角側でも歪まないことだ。
まず、こちらが18mmのテレ端。日常的な画角で扱いやすい。

ワイド端にするとこう。10mmなので、35mm換算で16mmという超広角で、柱1本分手前まで入っているのだが、おどろくほど歪みがない。

もちろん、レンズ自体の素性の良さもあるんだと思うが、歪みのない表現はRFの能力を使ってのプロファイル補正の効果も大きい。そのおかげで、10-18mmという超広角ズームの作品が、これほどすっきりとした絵に見えるのだ。もちろん、解像度の高さ、しっかりとしたコントラストなどはレンズ自体の性能だと思う。
APS-Cと合わせたコンパクトさで、他では得難い写真が撮れる

キヤノンが用意しているズームレンズだけで使ってると、解像感やボケ感などに物足りなさを感じるEOS R10だが、シグマの明るいレンズはAPS-CのRFマウントに新しい世界をもたらしてくれる。
特に、この10–18mm F2.8 DC DNは、1本で『日常的に使えるワイドから、超ワイド』をカバーしてくれて、散歩しながら見かける情景を撮ったり、空間自体を広くカバーしたりできるので、非常に使い勝手が良い。解像感も高いし、開ければ多少ボケを作ることもできる。歪曲補正の強さは、ちょっと10-18mmという焦点距離からは信じられないほどで、わずか270g、長さ62mmのコンパクトなレンズで、この絵が撮れるというのはとても得難い。
EOS R10と、この1本だけ持って旅に出たりしても面白いかもしれない。
(村上タクタ)
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