Even Day自体は提携している眼鏡店と共同で1年以上前から開催されてきたが、ユーザーと開発者が一同に集うコミュニティイベントが開催されるのは初。

筆者は、海外取材中で残念ながら行けなかったのだが、スタッフの取材を元にレポートする。1年ほど前にオンラインで買って、ほんの10カ月ほど前にCEOのウィル・ワン(Will Wang)さんにホテルでひっそりとインタビューしたのが懐かしい。会場では大人気で、なかなか話せないほどだったという。

「スマートグラスこそが最強のモバイルデバイスになる」
最初に登壇したのはウィルさん。日本で、こうやって多くの一般の人を前にウィルさんが話すのは初めてだが、熱量を込めてEven Realitiesのビジョンとロードマップを語った。
以前、記事に書いたように、ウィルさんはアップルを始め多くのテック系企業で仕事をした経験を持つが、「TeslaやOpenAIのように、業界を再定義する存在」を目指して起業したのだという。「スマートグラスこそが、画面サイズに縛られず、常に身に着けられる最小・最強のモバイルデバイスになると信じている」とのこと。

Even Realitiesの製品と競合他社との決定的な違いは、普通の眼鏡と変わらないスタイリッシュな外見と、『カメラを備えない』ということ。ウィルさんも「社会的な受容性を考慮し、あえてカメラを搭載しないという決断をしている」とアピール。次世代機『G3』は、G2発売前から開発を進めており、よりシームレスな操作性を実現する「大きな飛躍」になるとのことだが、「年内の発売予定はない」とのこと。

日本のカントリーマネージャーであるケビンさんは、日本の開発者コミュニティを称賛した。Even G2向けのアプリ配信・開発者向けコミュニティが『Even Hub』なのだが、このEven Hubには500を超えるアプリが登録されている。開発者は約5,000人。個人使用のために作られた4,000もの非公開アプリが存在するという。

日本発売当初からEvenのスマートグラスを取り扱っているJUN GINZAの米盛健さんがリテールパートナーとして登壇。メガネ業界30年の経験から見ても、このテクノロジーが日本の中小企業の挑戦を支える大きな力になると熱弁を振るった。
複数言語のパネルディスカッションが翻訳機能で実現
その後、ウィルさん、Even Hubプロダクトマネージャーのデイビッドさんとともに、コミュニティを代表してで電電猫猫さん( @nya3_neko2 )、YouTuberのMr. VRさん( @3DVR3 )、エンジニアからtakeshicompanyさん( @takashicompany )が登壇。

電電猫猫さんは英語が苦手なのだそうだが、アップルのWWDCでEven G2の翻訳機能をフル活用したという体験を語った。Mr. VRさんはAIを活用して『未来のARラジオ』というアプリを開発。Even G2は飲み会の席など、日常で自然に使える点が高評価であると述べた。takashicompanyさんは、ゲームや、Blueskyのクライアントアプリ、カスタムターミナルなど5つのプラグインを公開。開発者の視点から、ジャイロセンサー(首の回転)の開放や、Web版プラグインストアの設置など、より自由度の高いSDK(開発キット)の改善をリクエストした。

びっくりしたのは、会話はそれぞれ英語と日本語で行われたのだが、それぞれがEven G2を使って相手の発言を『読む』ことでパネルディスカッションが成立していたことだ。これは見ていた人も驚いたのではないだろうか。
日本で、Even G2が盛り上がる理由
ともかく、驚くほど多くの人が集まって熱心に会話を交わしたイベントだった。ウィルさんも「日本には世界でも有数の熱心で結束力の強い開発者コミュニティがある」と述べ、日本を最重要市場の一つとして位置づけた。

今後、ヨドバシカメラやビックカメラなどの実店舗での展示を増やし、より多くの人が体験できる場を作っていく計画だという。また、法人向け(エンタープライズ)展開として、自社独自のAIモデルを組み込めるSDKの提供もQ4(第4四半期)に向けて検討していると発表した。今後のハードウェアのさらなる進化と、コミュニティの盛り上がりが楽しみだ。
(村上タクタ)
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