
ラストリゾートの世界をさらに広げる新境地、「コンバットミルズ」

ジェラードが新たに立ち上げた「コンバットミルズ」。ミリタリーを軸に、新たなものづくりへ挑むカテゴリーだ。その背景には、ラインナップを見直す狙いもあった。
「一番の理由は、ラストリゾートシリーズのアイテム展開が広がりすぎたことですね。最初は白タグ、黒タグ、茶タグという分類で良かったんですが、青タグが出てきた頃から少し難しくなりました。ライトオンスデニムだけじゃなく、生成りやウォバッシュも入ってきて、『このアイテムは何タグなんだろう』となってしまったんです」
そこでファイブポケットデニム以外はタグによる分類ではなく、「ワーク」と「ミリタリー」という大きなカテゴリーへ整理しなおしたという。
「コンバットミルズは、ミリタリー生地をラストリゾートの考え方で作っていくシリーズです。茶タグで展開していたチノパンもこのカテゴリーへ統合していきます」
その第一弾として、ヘリンボーンツイルの開発に取り組んだ。
「ヘリンボーンツイル自体は以前から製品に使っていました。ただ、生地は既製品だったんです。ラストリゾートのラインナップとして考えるなら、それでは満足できない。ヴィンテージを解析して、糸から生地を作ったほうが、自分たちのものづくりとして説得力がありますから」
そこで米陸軍が1940年代から採用していた、ヘリンボーンツイル製の実物M-47ベイカーパンツを解体し、糸の番手や打ち込み本数、生地構造まで徹底的に分析。その過程で、当時のヘリンボーンツイルならではの特徴を見つけたという。
「実物生地を調べると、杉綾模様の『ハの字』の左右で、S撚りとZ撚りの糸が交互に使われていたんです。理由を示す資料は残っていませんが、撚り方向を変えることで互いに反発し、生地が安定したんじゃないかと思っています。生地のねじれも少なくなりますし、均一感を出すための工夫だったんじゃないでしょうか」
この構造を再現するため、片方の糸だけを染め分け、織り上げた後に脱色、本染めを施している。
「展示会でも、この話をすると皆さん驚かれますね。完成した生地からは見えませんが、ここまで手間を掛けているブランドはあまりないと思います」
分析を進めると、生地の打ち込み本数にも違いが見えてきた。
「思っていたより打ち込みが甘かったんです。今の生地は丈夫にしようとするぶん硬くなりがちですが、当時のヘリンボーンツイルは、しっかりしているのに柔らかい。その風合いを再現したくて、打ち込み本数を約一割抑えています」
柔らかな穿き心地を支えるのは、打ち込みだけではない。米綿を採用し、素材から見直した。
「同じオンスでも米綿だとゴワつきがなくなるんです。デニムもチノもヘリンボーンツイルも、その考え方は同じです。生地としての強さは残しながら、当時の柔らかさを表現したかったんです」
経年変化を見据え、染色には当時と同じスレン染料を採用した。
「今の反応染料より色落ちはしやすいですが、その変化の過程も含めて楽しんでもらいたいんです。デニムのように激しく色が落ちるわけではなく、全体がゆっくりフェードしていく。そういう色の変化がヴィンテージらしい表情になると思っています」
さらにムラ糸を採用することで、穿き込むほど自然な表情が育っていく。

「新品と比べると『こんなに色が変わっていたんだ』と気付くくらいが理想ですね。派手な色落ちではなく、気付けば自分だけの一本になっている。そういう育ち方を楽しんでもらいたいです」
だからこそ、目指したのは、ワザとらしく演出されたヴィンテージ感ではなかった。
「僕らが追いかけているのは分かりやすさじゃないんです。ヘリンボーンの柄を強調したり、生地感を大げさに見せたりするのではなく、実際に穿いて初めて違いが分かるような、本物らしい風合いを大切にしています」
コンバットミルズの根底にあるのは、ジェラードらしい視点だ。
「僕らはジーパン屋ですから。だからミリタリーだけで完結するんじゃなくて、色落ちしたデニムにもワンウォッシュにも自然に合うことを意識しています。ジージャンを着た時のバランスまで含めて考えています。それにコンバットミルズだけでなく、ワークカテゴリー(※ワーカーズクロス)もこれから広がっていきます。両方がそろうことで、ラストリゾートの世界観はもっと面白くなると思います」
こだわりは、生地だけでは終わらない。最後に後藤代表が語ったのは、一着一着が持つ《個体差》についてだった。
「僕らは、参考にした個体の癖をできるだけ拾うようにしています」
例えばチノパンでは、サンプルとなったヴィンテージと同じく、共生地のポケット袋布を採用。両玉縁の幅や運針、縫い代まで、その個体の特徴を落とし込んでいる。
「分解した個体がそういう仕様だったんです。だから、その特徴もそのまま採り入れました。仕様だけじゃなく、その一着が持っている雰囲気まで再現したいと思っています」
糸から生地、染色、縫製、そして個体差まで突き詰める。ラストリゾートで培ったものづくりは、コンバットミルズによってミリタリーという新たなフィールドへ広がっていく。







[Lot No_CT94347] CM47 HBT Baker Pants




Color_Olive, Navy
Price_¥36,300
毎シーズン展開してきたCM47を、「Combat Mills」第一弾として独自開発したヘリンボーンツイルに一新。1940年代に米陸軍が採用したM-47ベイカーパンツをデザインベースに、オリーブとネイビーの2色展開し、しっかりとした肉厚な生地感が存在感を放つ。


初期型の特徴である、ウエストサイドに設けられたサイドアジャスターを採用。サイドのカーゴポケットもあえて廃したすっきりとしたシルエットで、洗練されたベルトレスの着こなしも楽しめる。
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