【リノベーション倉庫②】ゴミ集積所の家具や廃材を再利用!ゼロ・ウェイスト宣言を象徴するブルワリー。|徳島・上勝町

個性豊かに組み合わせられた窓枠と、製材所で出た端材を活用し、柿渋とベンガラを塗装した壁が印象的。この建物を通して、ごみを出さないという「ゼロ・ウェイスト宣言」を行なった徳島県上勝町の意志を伝えるブルワリーに足を運んだ。

温もり溢れる空間でうまいクラフトビールとBBQを楽しむ。

上勝町の素材やドライフルーツなどを買い物できるジェネラスストアの店内。テイスティングスタンドではクラフトビールを味わえるほか、量り売りで販売

徳島市内からクルマで1時間ほど走ると、のどかな里山へ辿り着く。「葉っぱビジネス」で有名な徳島県上勝町は、全国に先駆けて「ゼロ・ウェイスト宣言」を行なっている街として知られる。ゴミ焼却所を持たず、ゴミを45分別することで再資源化に取り組んでいるこの街に、2015年5月に誕生したのが、ブルワリー、テイスティングスタンド、ジェネラルストア、BBQガーデンで構成された「RISE&WIN Brewing Co.BBQ&General Store」だ。

ワインなど捨てられるはずだったボトルを再利用した シャンデリア。3R推進を象徴するようなプロダクツだ

まず目を見張るのが、その外観。青空に向かってすっくと建つ姿に、“清く正しい”という言葉が浮かんでくる。ここは徳島市内で総合衛生コンサルタントを営む「スペック」が、上勝町が取り組む3R推進(リデュース・リユース・リサイクル)に賛同し、街の象徴となる施設を目指して建築家・中村拓志氏をはじめとする各界のクリエイターと作り上げた場所。そのため、建物は街のゴミ集積所にあった建具や家具を再利用して設計されている。

ブルワリー側の外観。端材を活用した壁に使い古された窓枠をランダムにデザインしているのが特徴だ

ストアの窓一面を飾るのは、使い古された窓枠。形もさまざまな窓枠がパズルのように配置され、建物の特性を伝える語り部のようだ。商品が並ぶディスプレイ棚は、よく見ると長椅子や本棚が組み合わされている。そこで店を訪れたものはふと考える。この建物ってなんだろうーー。

公民館で使われていた長机などの廃棄家具を組み合わせた陳列棚。「ゼロ・ウェイスト宣言」の精神に沿って過剰包装をしていない商品を独自の目線でセレクトしている

あえてこの場所の趣旨は強調していない、建物がそれを語る。この場所を通して街の取り組みが伝わり、人口1600人の小さな街に県外からたくさんの人が集まり始めている。

本場アメリカでビールづくりを学んだライアン・ジョーンズ氏の監修の下、BBQと楽しめる3種類の個性豊かなクラフトビールを製造

パズルのように組み合わさたモザイク調の窓枠は圧巻の一言。そこから差し込む優しい光を浴びて、ゆったりと時を過ごせるはずだ。またジェネラルストアは量り売りなので、メイソンジャーといったお気に入りの瓶などを持ち込むのを忘れずに! ぜひ訪れてみてほしい。

【DATA】
RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store
徳島県勝浦郡上勝町大字正木字平間237-2
TEL0885-45-0688
http://www.kamikatz.jp

▼全国のリノベーション倉庫をチェック!

【リノベーション倉庫①】サイクリストの聖地に生まれ変わった第二次大戦中の海運倉庫|広島・尾道

【リノベーション倉庫①】サイクリストの聖地に生まれ変わった第二次大戦中の海運倉庫|広島・尾道

2023年02月21日

【リノベーション倉庫③】元・除虫菊の保管庫をリノベした、海沿いのトタン倉庫カフェ。|和歌山・有田

【リノベーション倉庫③】元・除虫菊の保管庫をリノベした、海沿いのトタン倉庫カフェ。|和歌山・有田

2023年07月24日

【リノベーション倉庫④】築100年の大阪港赤煉瓦倉庫を同時代のクラシックカーで彩る博物館。|大阪・大阪市

【リノベーション倉庫④】築100年の大阪港赤煉瓦倉庫を同時代のクラシックカーで彩る博物館。|大阪・大阪市

2023年02月21日

【リノベーション倉庫⑤】100年以上の歴史を刻む「ザ・リアルマッコイズ」本社。|兵庫・神戸

【リノベーション倉庫⑤】100年以上の歴史を刻む「ザ・リアルマッコイズ」本社。|兵庫・神戸

2021年10月24日

【リノベーション倉庫⑥】西海岸風な美容室&自転車屋がコラボした「TAS PARK タスパーク」。|茨城・つくば

【リノベーション倉庫⑥】西海岸風な美容室&自転車屋がコラボした「TAS PARK タスパーク」。|茨城・つくば

2021年11月01日

【リノベーション倉庫⑦】オールドウイスキーが眠るモルトバー「SILENCE BAR」。|香川・丸亀

【リノベーション倉庫⑦】オールドウイスキーが眠るモルトバー「SILENCE BAR」。|香川・丸亀

2021年10月24日

【リノベーション倉庫⑧】約40年前に作られた鉄工所をリノベしたカフェ。|東京・二子玉川

【リノベーション倉庫⑧】約40年前に作られた鉄工所をリノベしたカフェ。|東京・二子玉川

2023年07月24日

【リノベーション倉庫⑨】英国、バイク、レザージャケット……ヴィンテージ感に溢れる巨大倉庫。|富山・富山市

【リノベーション倉庫⑨】英国、バイク、レザージャケット……ヴィンテージ感に溢れる巨大倉庫。|富山・富山市

2021年10月24日

【リノベーション倉庫⑩】北海道にある、木造倉庫を利用した温もりカフェ「タムラ倉庫」|北海道・札幌

【リノベーション倉庫⑩】北海道にある、木造倉庫を利用した温もりカフェ「タムラ倉庫」|北海道・札幌

2023年07月24日

【リノベーション倉庫⑪】大谷石の元倉庫群を改装した、素材感で魅せる大空間モール。|栃木・宇都宮

【リノベーション倉庫⑪】大谷石の元倉庫群を改装した、素材感で魅せる大空間モール。|栃木・宇都宮

2021年10月24日

▼こちらもおすすめ!

世界に名だたる大企業もその始まりは倉庫やガレージだった!

世界に名だたる大企業もその始まりは倉庫やガレージだった!

2023年02月21日

(出典/「Lightning 2018年2月号 Vol.286」)

この記事を書いた人
めぐミルク
この記事を書いた人

めぐミルク

手仕事大好きDIY女子

文房具、デザイン、ニッポンカルチャーなどのジャンルレスな雑誌編集を経てLightningへ。共通しているのはとにかくプロダクツが好きだということ。取材に行くたび、旅行するたびに欲しいものは即決で買ってしまうという散財グセがある。Lightningでは飲食、ハウジング、インテリアなどを担当。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

磨き続けた伝統が、新たな定番を生み出していく。「アリゾナフリーダム」の新作に注目

  • 2026.06.03

長く愛される定番には理由がある。そして、その定番を更新し続ける覚悟があるからこそ、プロダクツは生き続ける。今回、紹介する新作は、奇をてらった変化ではなく、受け継がれてきた意匠や職人技を礎にしながら、細部にわたり静かな進化を重ねた美しい作品たち。変わらないために進化し続ける。そこには揺るぎないクラフト...

働くヒトとヴァーグウォッチ。【vol.01靴磨き職人/「Chett」店主・大平雄太さん】

  • 2026.05.21

「Time is Money」=「時は金なり」。自身の仕事に誇りを持ち、日々働く人々は有限な“時間”というものを重んじ、身につけるプロダクトにも徹底的にこだわる。アンティークウォッチの旧きよきディテールを備えながら、手軽かつデイリーに使うことのできるヴァーグウォッチはそんな彼らの心強い相棒となる。 ...

アメリカンクラシックの原点「ディグナ クラシック」の[ジミー]なら、カラバリ・仕様も豊富で自分好みの1本が見つかる!

  • 2026.05.21

50sアメリカンスタイルを踏襲した「ディグナ クラシック」の[ジミー]は、シンプルなデザインやクラシックな世界観から多くの人に愛される名作。その人気ゆえ、仕様やカラーのバリエーションが非常に豊富な[ジミー]の全容をいま一度おさらいする。 955E“Jimmy”とはどんなメガネ? 1950年代にアメリ...

ロンドン生まれのアイウエアブランド「CUBITTS」が日本に本格上陸! 人気の秘密に迫る。

  • 2026.05.19

英国・ロンドン生まれのアイウエアブランド「キュービッツ」。日本へ本格上陸したばかりでまだ多くを知られていない、その全容を紐解く。 ロンドン生まれ質実剛健な実力派 2013年にロンドンで創業、2025年に日本へ本格上陸を果たした「キュービッツ」。本国では、新鋭ながら圧倒的な知名度を誇り、ビスポークも手...

Pick Up おすすめ記事

革ジャン好きなら一度は通るべき! 「No,No,Yes!」の最上級オーダー“アルチザン”とは?

  • 2026.06.01

「世界にひとつだけの革ジャンを作る」。それは、レザーラバーの憧れだ。革好き注目のブランド「No,No,Yes!」が誇るオーダーメニューの中でも最上級に位置する「アルチザン」とはいったいなんなのか? その正体に迫る。 革ジャンの伝道師・モヒカン小川が実際に“アルチザン”を体験 これは単なる革ジャンの話...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

ロンドン生まれのアイウエアブランド「CUBITTS」が日本に本格上陸! 人気の秘密に迫る。

  • 2026.05.19

英国・ロンドン生まれのアイウエアブランド「キュービッツ」。日本へ本格上陸したばかりでまだ多くを知られていない、その全容を紐解く。 ロンドン生まれ質実剛健な実力派 2013年にロンドンで創業、2025年に日本へ本格上陸を果たした「キュービッツ」。本国では、新鋭ながら圧倒的な知名度を誇り、ビスポークも手...

働くヒトとヴァーグウォッチ。【vol.01靴磨き職人/「Chett」店主・大平雄太さん】

  • 2026.05.21

「Time is Money」=「時は金なり」。自身の仕事に誇りを持ち、日々働く人々は有限な“時間”というものを重んじ、身につけるプロダクトにも徹底的にこだわる。アンティークウォッチの旧きよきディテールを備えながら、手軽かつデイリーに使うことのできるヴァーグウォッチはそんな彼らの心強い相棒となる。 ...

夏を彩るカラーゴールド。「市松」定番の18金シリーズはカラバリ豊富で夏に欠かせないアクセサリー

  • 2026.05.18

湘南に工房を構えるオーダーアクセサリーブランド「市松」。1997年に創業し、その2年後から27年も続く定番の18金シリーズは、カラバリも豊富で、いまや欠かせないブランドの顔だ。プロダクツとしての魅力だけでなく、夏の装いにも重宝する。 「市松」の定番、特別な5色の18金 「酷暑日」という言葉が新たに発...