イメージしたままのアメリカがイメージ以上の広さで広がっていた

今でも鮮明に覚えているのだが、小学校低学年のころ、風邪で学校を休み、母と病院に行く途中、本屋で世界七不思議の本を買ってもらった。病院の待合室でその本を読んで衝撃だった。世界には見たこともないような巨大な石の建造物があって、それを人間の手で造ったという。それが世界の謎や何だかよく分からないものに興味をもつようになった最初の記憶だ。 それから今でいうところの都市伝説的なジャンルが好きになり、当時小学校の近くの文房具屋で買えた雑誌『科学』と『学習』に付いてきたモアイの巨大なポスターを部屋に貼ったり、それっぽい記事や本を読み漁っていた。

沼尾哲平|愛車のスポーツスターは、人生2台目のハーレー。いまは通勤と取材で乗るのがメインになってしまっているが、本当はひとりでロングツーリングに出かけたい。

思った以上に映画から影響を受けてたんだと知る

小学4年のころだったか、テレビでは群馬県の赤城山で糸井重里が徳川埋蔵金を発掘する様子をTBSの『ギミア・ぶれいく』という番組で放送していた。この手の番組は大好物だったので、毎回欠かさず観たことで遺跡や埋蔵品を発掘することに興味が湧いてきた。ちょうどそのころ、1989年に公開した『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』がテレビで放送され、これでまた衝撃を受けた。

かなり誇張されているものの、発掘をする仕事=考古学というイメージが僕の中で出来上がり、絶対将来は考古学者になる! と心に決めた。それからは『レイダース/失われたアーク』、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』の3部作を何度も観た。契約の箱のありかを探り当てるシーンや地下の宮殿で心臓を取られるシーン、聖杯を取りに行く時にさまざまな試練に合うシーンなど、名シーンは数多くあるものの、何となく頭に残っているのが『最後の聖戦』の冒頭、インディーが少年のころ、ボーイスカウトでユタ州を訪れていた時に盗掘団が「コロナドの十字架」を発掘しているところを目撃するシーン。発掘した十字架を盗み、荒野の洞窟を脱出してサーカス団の列車で盗掘団と戦うという流れなのだが、ほんの数分のシーンながら、何となくアメリカってこんな風景、というイメージが残っていた。

その後20年ほど経って、アメリカを訪れた時、都市部から少し走ると広がってくる荒野に小さいころビデオが擦り切れるほど観た映画のワンシーンを思い出した。ただ違ったのは、テレビの画面でしか観ていなかった風景が、見渡す限りに広がっていたこと。

中学、高校、大学と成長していく中で、映画の中の考古学と現実の考古学は全然違うものだと知って、やや遠ざかってしまった旧い建造物や埋蔵物に対する興味や見たことのないものに対する興味が、その光景を見た時に何だかフッと甦ってきた気がした。

多くの、特にハーレー乗りなら『イージー☆ライダー』だったり『ハーレーダビッドソン&マルボロマン』。アメリカンカルチャー好きなら『アメリカン・グラフィティ』、『乱暴者』などを影響を受けた映画に挙げるかもしれないが、僕は断然『インディー・ジョーンズ』だった。確かにアメリカを舞台にしたシーンは3部作だと『最後の聖戦』の冒頭ぐらい。その他はエジプトやインド、イタリア、トルコあたりがメインの舞台になるので、アメリカ感はほとんどないのだが、なぜだか強烈な印象がある映画だったのだ。

ちなみに今号の65ページ、テッドさんの映画連載で『インディー・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』のハーレーの描写を酷評していたが、確かに僕もあれはないなと思った。

ラスベガスを出発して少しすると、荒野という言葉がぴったりのどこまでも続く岩や砂だけの大地が広がっていた。どこを取っても圧巻のこれぞアメリカという風景。

ハイウェイの横に敷いてある線路をどこまで続いているのかわからないぐらいの貨物列車が走る。インディージョーンズでも列車の上で戦うシーンがあったな。

旧ルート66にある金鉱の街・オートマンは旧い街並みが残ったところで、まさに西部劇の舞台のような場所。ここに辿り着くまでは、険しい山道を走ることになる。

セリグマンというルート66沿いにあるモーテルに何度か宿泊した。夜、暗闇の中にネオンサインが光って、かなりアガる! 隣のレストランにはなぜかいろいろな動物のはく製があった。

(出典/「CLUB HARLEY 2026年8月号」)

この記事を書いた人
チューバッカ沼尾
この記事を書いた人

チューバッカ沼尾

旅好き元バックパッカー

1981年式の元カメラマンでパックパッカー。バイクは2007年にクラブハーレー編集部に配属になってから興味を持ったクチなので、遅咲きといえば遅咲き。ただ、旅をするのにこの上ない乗り物と知りドハマり。現在に至る。愛車は1200ccボアアップの2011年式XL883。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

東洋エンタープライズが手がける「ゴールド」。高品質な素材選びに一切の妥協なし。

  • 2026.10.20

1965年に創業した日本屈指の老舗メーカー東洋エンタープライズ社が手がける〈ゴールド〉。同社が得意とするヴィンテージへの膨大な知見と技術力の高さを活かしつつも上質にモダナイズしたものづくりに定評がある。着用時のシルエットはもちろん、高品質な素材選びに一切の妥協をしないこと。それこそがシンプルな服に深...

ヒートツイードとは? 軽くて薄くて暖かい、英国派に捧ぐ革命ツイード

  • 2026.10.26

〈トラディショナル ウェザーウェア〉が誇る人気シリーズ、ヒートツイード。英国ツイードのオーセンティックな雰囲気はそのままに、驚くほど軽く、保温性の高いオリジナル生地。一度味わうとやみつき間違いなし! 英国らしくも、軽くて暖かなツイード生地は現代的ヘビーデューティ素材の最適解である。 【コート】ブラン...

東京・入谷にできた靴づくりの新聖地「THE ZINE FOOTWEAR CLUB.」にメディア初潜入!

  • 2026.10.18

「ブラザーブリッジ」や「シュアブーツ」を手がける「ザ ジン フットウェア」。店舗と企画・縫製工場がひとつになったいわば“本拠地”を入谷に新設した。メディア初公開となる、その全貌に迫る。 メーカーでもあり店舗でもある新拠点 弊誌の読者であれば、おそらく「ブラザーブリッジ」という革靴ブランドはご存知であ...

19世紀から英国紳士に愛され続ける世界最高峰のハンドメイド傘

  • 2026.10.19

年間を通じて降水頻度が高い英国において傘は必需品。ひいては英国紳士を象徴するプロダクトのひとつだ。その中でも、旧くから英国王室や上流階級の紳士たちに愛されてきたFOX UMBRELLAS(フォックス アンブレラズ)は最上級の存在である。 手作業から生まれる圧倒的な造形美 真のトラッド好きは服だけでな...

気鋭のアイウエアブランド「CUBITTS」が描く、クラシックとモダンの共鳴

  • 2026.10.19

18世紀から20世紀にかけて眼鏡産業の世界的な中心地であったものの戦後、衰退の一途を辿ったロンドン。この地で2013年に創業した「キュービッツ」は当時を彷彿とさせるクラシックスタイルをモダンに昇華させた独自の世界観を築く気鋭のブランドだ。 伝統と現代とを繋ぐアイウエアの研究所 「キュービッツ」は伝統...

Pick Up おすすめ記事

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

世界最高峰のニットメーカー「JOHN SMEDLEY」が編むもの。

  • 2026.10.20

イングランド中部、リーミルズの自社工場で240年以上前からニットウエアを作り続ける〈ジョン スメドレー〉。1784年に創業した同ブランドが編んできた歴史と伝統が息づく場所で彼らが編むものとは。 240年の伝統と魂が息づくファクトリー 英国のトラッドブランドとして群を抜く歴史を持つのが〈ジョン スメド...

東洋エンタープライズが手がける「ゴールド」。高品質な素材選びに一切の妥協なし。

  • 2026.10.20

1965年に創業した日本屈指の老舗メーカー東洋エンタープライズ社が手がける〈ゴールド〉。同社が得意とするヴィンテージへの膨大な知見と技術力の高さを活かしつつも上質にモダナイズしたものづくりに定評がある。着用時のシルエットはもちろん、高品質な素材選びに一切の妥協をしないこと。それこそがシンプルな服に深...

「BEORMA」140年の伝統を受け継ぐ、英国屈指のレザークラフト

  • 2026.10.21

英国トラッドを語るうえで欠かすことのできない存在がレザークラフトだ。140年の歴史とクラフトマンシップを受け継ぎ、現代のスタイルにも馴染む唯一無二のプロダクトを生み出す〈べオーマ〉は、その筆頭となりうる存在だ。 熟練職人の魂宿る伝統のレザークラフト 英国中部の小さな町・ウォルソール。革加工・馬具産業...

原毛から生地まで。一貫生産を守る英国生地の名門「ムーン」とは?

  • 2026.10.19

服を突き詰めていくと辿り着くのが生地。トラッド好きなら一度は耳にしたことがあるであろう英国の名門が「ムーン」だ。羊毛から紡績、染色、織布を一貫して行う英国最後の生地メーカーが誇る伝統のモノづくりに迫る。(写真は、生地の製造において重要な“織り”の工程。タテ糸とヨコ糸をゆっくりと交差させ、チェック柄が...