ロサンジェルス郊外のスラムで飲んだコーラの味。【H-D偏愛主義】

2010年、人生で初めてアメリカをハーレーでツーリングするという経験した。『クラブハーレー』の読者によるツアーに便乗するかたちだったが、参加者13人に対して、同行した現地スタッフ、編集部員および関係者は13人。参加者とスタッフが同数で、総勢26人というにぎやかなツアーだった。

沼尾哲平|愛車のスポーツスターは、人生2台目のハーレー。いまは通勤と取材で乗るのがメインになってしまっているが、本当はひとりでロングツーリングに出かけたい

ロサンジェルスでも道に迷ってしまったという話

ロサンジェルスでレンタルバイクを借りて、サンディエゴや「ジョシュアツリー国立公園」などを走り、ツーリング最終日となる4日目にはパームスプリングスからロサンジェルス市内を目指すルートを走ることになっていた。

先導するクルマ2台の後ろをハーレー15台というかなり長い列で走る一行。全員無線が支給されており、途中信号などで列が途切れてしまっても何とかなっていた。しかし、街中に入って交通量が増えると、隊列を組んで走るのが難しくなっていく。そしてハイウェイを走っている時に事件が起きた。

その時僕は列の最後尾を走っていた。すぐ前には参加者の一人、永井さんという方が走っていた。流れに乗って順調に走っていたのだが前方の参加者が突然ハイウェイの出口から降りるような動きをした。僕と永井さんはとっさに後ろに付いたのだが、前の人は出口の直前で隊列の流れに戻り、僕たち2人はそのまま出口へ……。その後何とか道に戻ろうとしたものの、肝心の入口が見つからない。とりあえずバイクを止めて相談することにした。

そのころには無線は完全に途切れてしまっていた。ナビも付いていないし、当時はスマホでマップを見ることも難しかった。完全に手詰まり。さらに偶然止まった場所がなかなかなスラム街のスーパーマーケットの駐車場で、半裸のジャンキーが歩いていたり、ドアのないサビだらけのクルマが走っていたりと、長い時間いたらマズそう。でも、動いてしまったら見つけてもらえないので、一旦落ち着いて助けを待つことした。

交代でスーパーへ行き、バイクの隣で二人でコーラを飲んだ。特段珍しくはないだろうが、スラム街ではハーレーはおそらく高級車。襲われてバイクを持っていかれてもおかしくないような雰囲気なので、警戒しながら飲んだコーラはあまり味がしなかった。

30分ほど、そこで待機していると、無線に反応が。ツアーの添乗員であるデーブ山下さんが探しに来てくれたのだった。無線で現在地を伝え、デーブさんの先導で先にサンタモニカに到着していた皆に合流できた。
ロサンジェルスの郊外で一緒に道に迷ってしまった永井なおきさんは、現在俳優として活躍中。最近ではCMやSNSの広告などでよく目にする。家族でテレビを観ている時に永井さんが現れると、「この人とパパはアメリカで一緒に迷子になったんだぞ」と、子供たちに話したりする。そして、味のしないコーラを思い出す。

ツアー最終日となる4日目はパームスプリングスからスタート。この辺りは山が近く自然が多いが、ロサンジェルスに近づくにつれて徐々に都会になっていく。同じカリフォルニア州ながら、前日に走ったアメリカ内陸部らしいどこまでも続く荒野とはまったく違う光景。

サンタモニカのレストランで食事をし、駐車場を出る時に皆を先に行かせるために道に出てクルマの往来をせき止めていた永井さんが白バイの警官に停められるという事態に。現地スタッフのフォローで無事解放されたが、永井さんはこの日災難続きだった。

日本に帰国するまでロサンジェルスの「都ホテル」に宿泊した。ここは一昨年にドジャースの大谷翔平選手の壁画が描かれたことでも有名なホテルで、ダウンタウンの中心部、リトルトーキョーにある。周辺地域は治安が悪く、夜にたばこを吸いに出ると、ヤバそうな人がうろついていた。

レンタルバイクを返した時に撮った記念写真。このツアーには参加者の読者の他、モデルの荒木恵さんや当時『ライトニング』と編集長を兼任していた松島親方や現ライトニングのめぐミルクパイセンなど、半分ほどはスタッフという珍しいツアーメンバーだった。

(出典/「CLUB HARLEY 2026年2月号」)

この記事を書いた人
チューバッカ沼尾
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チューバッカ沼尾

旅好き元バックパッカー

1981年式の元カメラマンでパックパッカー。バイクは2007年にクラブハーレー編集部に配属になってから興味を持ったクチなので、遅咲きといえば遅咲き。ただ、旅をするのにこの上ない乗り物と知りドハマり。現在に至る。愛車は1200ccボアアップの2011年式XL883。
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