
太陽電池搭載でずっと飛び続けるドローン
ドローンという言葉から多くの人は、4枚のローターを持つ飛行デバイスを思い浮かべるかもしれない。 しかし、これまでエバーブルーテクノロジーズが作ってきたのは、自動運転する帆船型ドローンや、雪国の除雪を行う地上ドローンだった。いずれも高効率で、これまでのドローンでは実現できなかった作業を可能にするために作られている。
同社が3本目の柱として提案するのは、高効率のグライダーを使った通信確保のためのUAV。災害時に現場に急行し飛行、ペロブスカイトを使う超薄型太陽電池からの電力を使って24時間を超えて飛行し続け、背面中央に積んだStarlinkで確保したインターネット回線を、Wi-Fiを使って被災者に提供するというのが中心となるコンセプトだ。

その飛行性能を活かして、8Kカメラを搭載し、地上のセンシングを行なったり、被災状況を確認したりもできる。また、数百機を常時飛ばすことで、不審船や領海侵犯に対する警戒などの用途にも使えるとしている。
翼長3mの実証実験機とコンセプトモデル
展示されていた実証実験機は翼長約3mのグライダータイプで、翼上面にペロブスカイトのスペースを確保し、3つのモーターポッドで推力を確保。胴体後半はテーパー型のカーボンパイプで軽量に作られており、V字型の尾翼を持っている。実証実験機の制作には、著名なラジコングライダーメーカーのOK模型が協力している。

将来的にはもっとラディカルな全翼タイプが計画されており、こちらは3Dプリンターで作られた模型が展示されていた。

最終的には翼長6mの全翼機型となる。背面中央にStarlinkを搭載し、通信回線を確保。翼の上面にはフィルム状で効率が高いペロブスカイトの太陽電池を搭載。翼内に搭載された軽量な全固体電池に蓄積し、飛行時はできるだけモーターを回さず、風、サーマル、斜面上昇風を利用して飛び続ける。飛行ログを蓄積すれば、どこで、どの時間帯にサーマルが発生しやすいかを学習できる。飛ばせば飛ばすほど、効率のいいルート設計ができるようになる。
想定されている高度は約500m。被災地上空をゆっくり旋回しながら、一時的な通信圏を作る。いわば空を飛ぶ仮設通信インフラとして機能する。さらに、高度約100mで飛行することで、スマホ由来のWi-FiやBLEを拾い、生存者マップを自動生成する構想も語られていた。人がスマホを持っていることを前提に、その電波を手がかりとして「どこに人がいる可能性があるか」を把握するわけだ。
また、8K CMOSセンサーを使えば、星明かり下でも夜間海上を監視できる可能性があるという。ジンバル付きカメラを横向きにし、200海里の境界線に沿って飛行すれば、不審船や密輸、瀬取りの発見にも使える。農地の上空を定期的に飛べば、稲穂の生育状況や気象データを継続的に取得できる。インフラ点検では、あらかじめ決めたルートをルーティンで飛ばし、必要な場所だけVTOLでピンポイント確認する。
翼前方に2つと、胴体後部のモーターはチルトローターとして垂直離着陸を可能とし、飛行場不要、離発着の容易さを求める方向性も検討されているという。
ペロブスカイト、全固体電池の性能向上を見つつ、約3年の期間をもっての開発を計画しているとのこと。
陸上ドローン(UGV)のバリエーションも増加中
エバーブルーテクノロジーズでは、すでに実用性が立証され、出荷が始まっている陸上ドローン(UGV)のバリエーションモデルの開発も進んでいる。
まず、こちらが除雪ドローンSRD-F11RCの標準モデル。

主に、駐車場や滑走路などの広い土地での運用が想定されており、すでに多くの企業で導入され、一部リースでも貸し出しが行われている。暖かい部屋からリモートで除雪が行えるのだから最高だ。

こちらは、回転式の刃を持つ草刈り用モデルMWD-F11。
土砂を運んだりすることもできるダンプユニット搭載モデルも開発中だ。

また、鹿島建設の地盤の締固め品質管理手法『Geo-DX Compaction』の自動運転に使われているのもエバーブルーテクノロジーズのUGVだ。

「A4CSEL」で地盤の締固め品質管理手法「Geo-DX Compaction」を自動運転
https://www.kajima.co.jp/news/press/202605/27c1-j.htm
風や太陽などの自然の力を使ったり、高効率な電動ユニットを使って、できるだけ環境負荷の低いドローンテクノロジーを開発するエバーブルーテクノロジーズの活動を、今後も追い続けていきたい。
(村上タクタ)
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