ブーツは大きくわけて、「レースアップブーツ」系と「プルオンブーツ」系の2つに分けられる。それぞれ、誕生時の用途や目的によって、紐で締め上げるたタイプか、機械などへの巻き込み防止に紐を排除したもの、と大きく2分化。型だけでなく、そもそもの用途も見ていこう。
まずはレースアップブーツに属する4種類を紹介する。
1.森林での作業用に誕生した「ロガーブーツ」
堅牢なワークブーツとしては最も旧いカテゴリーといえるロガーブーツ。その名のとおり木材を伐採するなど森林での作業用に作られたもので19世紀にはすでに存在していた。当時は膝丈で滑らないようにスパイクソールを装備していたが、それが進化し、現在では8〜10インチ丈のラグソールという仕様が一般化している。
▼ホワイツのスモークジャンパーは憧れの一足
2.狩猟用に開発された「ハンティングブーツ」
ハンティングは英国の上流階級のスポーツが発祥だが、ここではアメリカでの狩猟で使われたブーツを指す。その象徴が、狩猟が盛んなミネソタ州に本拠を置くレッドウィングが、1950年代に開発したトラクション・トレッド・ソールのモデルを装備したモデル。8インチ丈のレースアップ仕様で、足音を立てずに獲物に近づくことができる。
▼ハンティングブーツの代表格といえば「レッドウィング」のこのブーツ!
3.砂漠行軍用の靴「チャッカブーツ」
19世紀後半にポロ競技用のシューズとして生まれたチャッカブーツ。つまり英国発祥だ。それをもとに、第一次世界大戦時にはクラークスが英国軍の砂漠行軍用の靴の生産を請け負い、砂漠に同化するサンドベージュのスウェード素材、熱に耐える生ゴムソールを装備した、写真のデザートブーツが誕生した。
▼「レッドウィング」のチャッカブーツはド定番。
4.足首をホールドする登山靴「マウンテンブーツ」
その名のとおり、登山靴として作られたモデル。足首をしっかりとホールドし、足の甲までシューレースでフィッティングを調整できる。アッパーは堅牢なレザーを使用しているものがほとんどで、グリップ性能の高いソールを装備しているのも特徴だ。旧くから登山が盛んだったヨーロッパのシューメーカーのものが多い。
▼マウンテンブーツをはじめアウトドアブーツといえば
▼最新のレースアップブーツのおすすめはこちらの記事をチェック!
続いて、プルオンブーツの主な5つの種類を紹介しよう。
5.整備工のためのブーツ「エンジニアブーツ」
飛行機や列車のエンジニア、つまり整備工が作業で履くために作られたブーツが起源。つま先を防護するためにスチールが施され、工具や金属片から足を守る肉厚なレザーのシャフト、グリップ力のあるソールを装備するなどが特徴。その男らしい姿から後にバイカーのアイコン的存在となった。
▼エンジニアブーツについてもっと知りたい方はこちら!
6.スペインの乗馬靴がルーツ「ウエスタンブーツ」
スペインからの移民がメキシコに渡り、そこから北アメリカに移って放牧民となったのがカウボーイの始まり。そして、ニューメキシコのネイティブアメリカンと交流し、自ら持ち込んだ刺繍の技術と彼らの銀細工の技術が融合。カウボーイの豪華絢爛な装飾ウエアはそうして生まれた。ウエスタンブーツもスペインの乗馬靴がルーツ。
7.農作業にも使用された「ファーマー&ローパーブーツ」
カウボーイブーツの中でもウエスタンブーツとは一線を画すのが、このファーマー&ローパーブーツ。1930年代以降、定番となったカウボーイブーツの形を踏襲しながら、シンプルに仕上げたプルオンタイプが特徴だ。ローパーとはそもそもヒール付きだが、後にファーマーやランチャーに愛用されるようになる中で、クレープソールのモデルも登場した。
▼ペコスは生産終了になってしまったが根強い人気の名作
8.長靴のように履く「モカシンブーツ」
モカシンブーツというと漠然としているが、ここではモカシン縫いのプルオンタイプのブーツを指す。もともとはネイティブアメリカンが手縫いで仕上げたレザーシューズのモカシン縫いに端を発するが、そのデザインは後に様々な屋外での作業用ブーツに転用された。いわゆる長靴のような存在だ。蛇に噛まれないように膝丈のものが多かったが、後に足首丈のものも登場した。
9.着脱が楽々可能な「サイドゴアブーツ」
サイドゴアブーツは、チェルシーブーツとも呼ばれるように、英国が発祥のもの。もともとは、ヴィクトリア女王のために作られたのが発祥ともいわれている。足首両サイドにゴムが施され、脱ぎ履きしやすいように前後にストラップが付いているのが特徴のフォーマルな靴だったが、19世紀後半からはアメリカでも大衆的な存在になった。
▼サイドブーツについてもっと知りたい方はこちら!
【番外】夏も快適に過ごせる、ローカットのワークブーツ。
ワークブーツのデザインを踏襲しつつ、脱ぎ履きしやすく、夏も快適に履くことのできる「ローカットタイプ」も人気がある。軽作業用に肉厚なレザーを使うなどワーク用でありながら着脱が簡単な履き口となっているのが特徴だ。
▼ローカットタイプのワークブーツについてもっと知りたい方はこちら!
(出典/「Lightning特別編集 ザ・ブーツバイブル」「別冊Lightning vol.190 ブーツの教科書」「Lightning vol.308」)
関連する記事
-
- 2024.05.09
天然繊維の主要生地40種類。全部知っていたら、あなたは間違いなく洒落者です
-
- 2023.10.26
試験に出ない(笑)、アメ車(アメリカ旧車)のボディスタイルに見る種類豊富な多様性。
-
- 2023.05.10
メンズ美容の基本のキ。まずは知っておきたいメンズメイク美容用語集。