メンズ向けブーツにはどんな形、種類がある? 基本の9種類を押さえよう。

ひと言でブーツと言ってもその種類は多岐に渡る。今ではファッションとして履かれているブーツのほとんどが、実は使用する環境や職種に合わせて作られた専門的なモデルだったりするのだ。

ブーツは大きくわけて、「レースアップブーツ」系と「プルオンブーツ」系の2つに分けられる。それぞれ、誕生時の用途や目的によって、紐で締め上げるたタイプか、機械などへの巻き込み防止に紐を排除したもの、と大きく2分化。型だけでなく、そもそもの用途も見ていこう。

まずはレースアップブーツに属する4種類を紹介する。

1.森林での作業用に誕生した「ロガーブーツ」

堅牢なワークブーツとしては最も旧いカテゴリーといえるロガーブーツ。その名のとおり木材を伐採するなど森林での作業用に作られたもので19世紀にはすでに存在していた。当時は膝丈で滑らないようにスパイクソールを装備していたが、それが進化し、現在では8〜10インチ丈のラグソールという仕様が一般化している。

▼ホワイツのスモークジャンパーは憧れの一足

ホワイツブーツの代表作「セミドレス」「スモークジャンパー」ってどんなブーツ? その他定番品も徹底解説!

ホワイツブーツの代表作「セミドレス」「スモークジャンパー」ってどんなブーツ? その他定番品も徹底解説!

2022年12月12日

2.狩猟用に開発された「ハンティングブーツ」

ハンティングは英国の上流階級のスポーツが発祥だが、ここではアメリカでの狩猟で使われたブーツを指す。その象徴が、狩猟が盛んなミネソタ州に本拠を置くレッドウィングが、1950年代に開発したトラクション・トレッド・ソールのモデルを装備したモデル。8インチ丈のレースアップ仕様で、足音を立てずに獲物に近づくことができる。

▼ハンティングブーツの代表格といえば「レッドウィング」のこのブーツ!

レッドウィング(RED WING)の定番「アイリッシュセッター」ってどんなブーツ? 「875」とは何?

レッドウィング(RED WING)の定番「アイリッシュセッター」ってどんなブーツ? 「875」とは何?

2023年01月23日

3.砂漠行軍用の靴「チャッカブーツ」

19世紀後半にポロ競技用のシューズとして生まれたチャッカブーツ。つまり英国発祥だ。それをもとに、第一次世界大戦時にはクラークスが英国軍の砂漠行軍用の靴の生産を請け負い、砂漠に同化するサンドベージュのスウェード素材、熱に耐える生ゴムソールを装備した、写真のデザートブーツが誕生した。

▼「レッドウィング」のチャッカブーツはド定番。

レッドウィング(RED WING)の定番チャッカブーツのコーデと経年変化を紹介!

レッドウィング(RED WING)の定番チャッカブーツのコーデと経年変化を紹介!

2023年04月21日

4.足首をホールドする登山靴「マウンテンブーツ」

その名のとおり、登山靴として作られたモデル。足首をしっかりとホールドし、足の甲までシューレースでフィッティングを調整できる。アッパーは堅牢なレザーを使用しているものがほとんどで、グリップ性能の高いソールを装備しているのも特徴だ。旧くから登山が盛んだったヨーロッパのシューメーカーのものが多い。

▼マウンテンブーツをはじめアウトドアブーツといえば

アウトドア好きが愛用する「ダナーライト」ってどんな靴? ダナー(DANNER)が誇る人気モデルも一挙紹介。

アウトドア好きが愛用する「ダナーライト」ってどんな靴? ダナー(DANNER)が誇る人気モデルも一挙紹介。

2022年12月26日

▼最新のレースアップブーツのおすすめはこちらの記事をチェック!

レースアップブーツのおすすめブランド21足をライトニング編集部が厳選紹介!

レースアップブーツのおすすめブランド21足をライトニング編集部が厳選紹介!

2023年02月06日

続いて、プルオンブーツの主な5つの種類を紹介しよう。

5.整備工のためのブーツ「エンジニアブーツ」

飛行機や列車のエンジニア、つまり整備工が作業で履くために作られたブーツが起源。つま先を防護するためにスチールが施され、工具や金属片から足を守る肉厚なレザーのシャフト、グリップ力のあるソールを装備するなどが特徴。その男らしい姿から後にバイカーのアイコン的存在となった。

▼エンジニアブーツについてもっと知りたい方はこちら!

エンジニアブーツの定番vs変化球おすすめ19選! 洒落者たちのコーデも参考に。

エンジニアブーツの定番vs変化球おすすめ19選! 洒落者たちのコーデも参考に。

2023年01月25日

6.スペインの乗馬靴がルーツ「ウエスタンブーツ」

スペインからの移民がメキシコに渡り、そこから北アメリカに移って放牧民となったのがカウボーイの始まり。そして、ニューメキシコのネイティブアメリカンと交流し、自ら持ち込んだ刺繍の技術と彼らの銀細工の技術が融合。カウボーイの豪華絢爛な装飾ウエアはそうして生まれた。ウエスタンブーツもスペインの乗馬靴がルーツ。

7.農作業にも使用された「ファーマー&ローパーブーツ」

カウボーイブーツの中でもウエスタンブーツとは一線を画すのが、このファーマー&ローパーブーツ。1930年代以降、定番となったカウボーイブーツの形を踏襲しながら、シンプルに仕上げたプルオンタイプが特徴だ。ローパーとはそもそもヒール付きだが、後にファーマーやランチャーに愛用されるようになる中で、クレープソールのモデルも登場した。

▼ペコスは生産終了になってしまったが根強い人気の名作

レッドウィング(RED WING)のペコスってどんなブーツ? 生産終了も名作は永遠なり。

レッドウィング(RED WING)のペコスってどんなブーツ? 生産終了も名作は永遠なり。

2023年02月06日

8.長靴のように履く「モカシンブーツ」

モカシンブーツというと漠然としているが、ここではモカシン縫いのプルオンタイプのブーツを指す。もともとはネイティブアメリカンが手縫いで仕上げたレザーシューズのモカシン縫いに端を発するが、そのデザインは後に様々な屋外での作業用ブーツに転用された。いわゆる長靴のような存在だ。蛇に噛まれないように膝丈のものが多かったが、後に足首丈のものも登場した。

9.着脱が楽々可能な「サイドゴアブーツ」

サイドゴアブーツは、チェルシーブーツとも呼ばれるように、英国が発祥のもの。もともとは、ヴィクトリア女王のために作られたのが発祥ともいわれている。足首両サイドにゴムが施され、脱ぎ履きしやすいように前後にストラップが付いているのが特徴のフォーマルな靴だったが、19世紀後半からはアメリカでも大衆的な存在になった。

▼サイドブーツについてもっと知りたい方はこちら!

サイドゴアブーツのおすすめメンズコーデ術を伝授! 人気ブランドの手に入れるべき一足も紹介。

サイドゴアブーツのおすすめメンズコーデ術を伝授! 人気ブランドの手に入れるべき一足も紹介。

2023年01月25日

【番外】夏も快適に過ごせる、ローカットのワークブーツ。

ワークブーツのデザインを踏襲しつつ、脱ぎ履きしやすく、夏も快適に履くことのできる「ローカットタイプ」も人気がある。軽作業用に肉厚なレザーを使うなどワーク用でありながら着脱が簡単な履き口となっているのが特徴だ。

▼ローカットタイプのワークブーツについてもっと知りたい方はこちら!

夏でも快適な「ローカット」のワークブーツってどんなモデル?

夏でも快適な「ローカット」のワークブーツってどんなモデル?

2023年01月25日

(出典/「Lightning特別編集 ザ・ブーツバイブル」「別冊Lightning vol.190 ブーツの教科書」「Lightning vol.308」)

この記事を書いた人
モヒカン小川
この記事を書いた人

モヒカン小川

革ジャンの伝道師

幼少期の革ジャンとの出会いをきっかけにアメカジファッションにハマる。特にレザー、ミリタリーの知識は編集部随一を誇り、革ジャンについては業界でも知られた存在である。トレードマークのモヒカンは、やめ時を見失っているらしい。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

2025年秋冬、「ジェラード」から厳選されたヴィンテージモチーフが息づく至高のコレクションが到来!!

  • 2025.12.12

2025年秋冬、ジェラードらしいネイティブアメリカン、ミリタリー、クラシックなワークウエアなど、厳選されたヴィンテージモチーフが息づく至高のコレクションが到来。Lightningがその中からおすすめアイテムを厳選して紹介する。 Salem Coat [Lot No_AG12420] 6年ぶりのリリー...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

Pick Up おすすめ記事

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

2025年秋冬、「ジェラード」から厳選されたヴィンテージモチーフが息づく至高のコレクションが到来!!

  • 2025.12.12

2025年秋冬、ジェラードらしいネイティブアメリカン、ミリタリー、クラシックなワークウエアなど、厳選されたヴィンテージモチーフが息づく至高のコレクションが到来。Lightningがその中からおすすめアイテムを厳選して紹介する。 Salem Coat [Lot No_AG12420] 6年ぶりのリリー...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...