第二次世界大戦が終結し、未曽有の好景気に沸く1950年、レッドウィングにハンティングブーツの商品ライン「アイリッシュセッター」が加わることに。中でも水の浸入を防ぐアッパーのパターンとクッションクレープソール(現在のトラクショントレッドソール)を備えた8インチ丈の「877」は、その耐久性と優れた履き心地で、ハンティングというジャンルを超え様々なアウトドアユースで人気を博すことになった。
アメリカのアウトドアやワークシーンを支えたレッドウィングをファッションアイテムに昇華させた日本の功績はとても大きく、「877」やその派生型である6インチ丈の「875」、エンジニアやペコスなど、レッドウィングはいつもストリートファッションの中心であり続けた。
そんなファッションアイテムとして愛されてきたレッドウィング人気モデルの紹介から、コーディネイト、メンテナンスまで、レッドウィングにまつわるあらゆる情報をお届けする。まずは、レッドウィングの定番の人気モデルを紹介しよう。
【定番モデル①】ベックマン フラットボックス(Beckman Flatbox)|あの名作シューズの後継者。
創業者の名を冠した「ベックマンブーツ」。ワークブーツのイメージの強いレッドウィングにあって、長年ドレスシューズとして人気を集めてきたモデルだ。ベックマン氏が活躍していた1910年を彷彿とさせるクラシカルな雰囲気が魅力で、高品質なフェザーストーンレザーもこのモデルのみに作られるのが特徴であった。
「ベックマンブーツ」自体は近年生産終了したが、現在その名前を残し人気を継承したのが「Beckman Flatbox(ベックマンフラットボックス)」だ。ベックマンブーツとの違いは先芯のありなし。
自動車が普及しておらず未舗装が多かった1900年代初頭に重宝された道端の土埃や泥から足を守ることができる6インチ丈のブーツ。その多くは先芯を入れないフラットボックス仕様であり、爪先まで柔らかく履きやすいものだった。この時代の先芯なしタイプをベックマンで再現したのが「Beckman Flatbox(ベックマンフラットボックス)」であり、品番では「9060」になる。
従来のベックマンが先芯が入っていることで型くずれがしにくいのに対し、履き続けることでつま先が自在に反り返ることによって独特な形状になっていく。アッパーとラストは通常のベックマンと同じものを使用している。キレイ目なファッションとの相性もよく、幅広い層から人気を集めている定番の一足だ。
▼ベックマンのコーデなどもっと知りたい方はこちら。
【定番モデル②】アイリッシュセッター|レザーの色味にこだわるファン多し。
レッドウィングの長い歴史の中でも最初期に登場したモデルのひとつ「アイリッシュセッター」。白く底の平なトラクショントレッドソールが、このモデルのアイデンティティである。1950年の登場から8年後に誕生した「875」は現在まで続くロングセラーとなっている。
1990年代の日本で爆発的な支持を得た「アイリッシュセッター」だったが、その裏で本国アメリカでの販売が鈍化した影響により、1998年にその名称は消失してしまう。それにより、「875」は「6インチ クラシックモック」として知られる存在に。
現在アイリッシュセッターの名前が付くモデルは、「アイリッシュセッター 6インチモック 9875」「アイリッシュセッター 6インチモック 9874」「アイリッシュセッター 6インチラウンド 9870」の3種。
往年の存在感を感じさせるカラーの「9875」と「875」の違いは使っているレザー。「875」のオロ「レガシー」は1950~90年代に使われていたオロラセット(時代によって明るいゴールドだったり赤みが強かったり色合いが異なった。詳しくはこちらの記事参照)を2014年に当初のオレンジがかったブラウンのレザーに戻すことになり採用された。一方「9875」に使われているゴールドラセット「セコイア」はオロラセットの中でも明るいものをベースにして開発されている。ゆえに、色味にこだわりのあるファンが多いのもアイリッシュセッターならではだ。
▼色味に纏わる話も面白いアイリッシュセッターの話はこちらの記事で。
【定番モデル③】エンジニアブーツ|この姿、キングオブエンジニアブーツと呼ぶに相応しい。
鉄道機関士のために誕生した「エンジニアブーツ」は、アンクルを確実にホールドする極太のベルト、レッドウィングが採用し急速に普及した衝撃から足元を守る肉厚のスティール トゥ、そしてフィールドに合わせて選択可能なソールが特徴。その無骨なフォルムとタフさでバイカーなどからも熱い支持を集めている人気モデルのひとつだ。
写真の「2268」は、エンジニア初挑戦の人はもちろん、10年以上ブーツを履いてきた玄人まで対応してくれる懐の深さがキングオブエンジニアブーツと言われる所以。レッドウイング史上の傑作中の傑作だ。スティールトゥを備え、1961年に誕生して以来何度かマイナーチェンジを繰り返して、現在も販売されているロングセラーブーツとなっている。
このほか、茶芯のブラックレザーと、足首部分が細く設計された筒を持ち、ヴィンテージ市場でも人気が高い1980〜’90年代の「2268」を再現した「11インチ エンジニア (スティールトゥ) “ストーブパイプ” 9268」もラインナップ。かつてはスチールなしのものも生産されていたが、現在はこの2種類がレッドウィングのエンジニアブーツとなる。
▼経年変化やコーデなどもこちらの記事で紹介しています!
【定番モデル④】ポストマンシューズ|レッドウィングの短靴といればコレ。
レッドウィングがポストマンとポリスマンのために開発し、1954年に発売。毎日何マイルも歩くポストマンにとって、クッション性の高いソールの「101」は頼もしい存在だった。その後一度姿を消したが、現在は復刻され、レッドウィングの疲れない短靴として認知されている。
ポストマンシューズの5つのバリエーションがあり、最も定番なのが上記の「101」。そして近年注目されているのがゴアテックス仕様の「9183」で、履きやすさだけでなく防水性も兼ね備えた頼もしい一足だ。上品な印象が人気のスエード(ラフアウトレザー)の「9112」、101と並ぶド定番チャッカブーツ「ポストマンチャッカ 9196」、そしてスリッポンタイプの新顔「ポストマンロメオ 9198」がラインナップする。
レッドウィングの数あるモデルのなかで、ビジネスシーンでも活躍する定番短靴だ。
▼歴史から各モデルの詳細までこちらでチェック!
【定番モデル⑤】クラシックチェルシー|2021年に登場した新作が早くも定番に!
伝統的なチェルシー(サイドゴア)ブーツの新作「クラシックチェルシー」。ホーソーン「ミュールスキナー」ラフアウトを使用した「3192」、オイルを豊富に含んだプルアップレザーを使用し、経年変化が楽しみな「3190」と「3191」の3種類がラインナップする。ワーク感のあるルックスを保ちつつ、クッションインソールやメッシュライニングなど新素材を採用しているため履き心地抜群。
▼同じくサイドゴアの人気シューズ「ロメオ」も一緒にチェック!
▼かつて人気を博したこの定番ブーツを忘れてはいけない!
続いて、業界人の着こなしをスナップで15スタイル紹介していこう。
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