スウェットの裏側に宿る百年起毛

1973年、アメリカで誕生した「ディスカスアスレチック」。その歴史を日本のものづくりで見つめ直す今回のプロジェクト。訪れたのは和歌山の工場。その一角で今も動くのは、およそ百年前の希少な起毛機。眠っていた機械を修復し、再び現役に戻した。
生地に触れる針は、当時の形状をもとに特注製作する。現代の機械なら一日で50から60反ほど加工できるが、この起毛機はフル稼働しても約10反が限界。それでも旧式を選ぶのは、タッチや膨らみ、柔らかさ、毛羽の表情に独特の味が生まれるからだ。
今回使うのは旧式の丸編み生地。筒状のまま裏返し、畳み、数反をつないで起毛機へかける。一度通せば終わりではない。毛の起き方を見ながら何度も機械へ戻し、送り速度、回転速度、テンションを調整する。糸のロットや気温、湿度でも仕上がりは変わる。最後に頼るのは職人の経験と感覚だ。その姿勢が生地の風合いをつくる。丸胴のまま起毛して残るラインも、今では昔ながらの工程の証だ。古着らしさを演出するのではなく、古着が生まれた時代に近い方法からつくる。そんな贅沢な一着だ。

100年起毛スウェット
![]()
約100年前の起毛機を用い、旧式の丸編み生地を丁寧に起毛したスウェット。何度も機械に通しながら職人が毛羽立ちを調整することで、ふっくらとした柔らかさと、ヴィンテージを思わせる豊かな表情に仕上がる。生地は厚すぎず、どこか少しチープにも感じられる素朴な風合い。その気負わなさもまた、「ディスカス」らしい。2万8000円
【問い合わせ】
ディスカス ジャパンオフィス
TEL03-6433-5333
Photo/Norihito Suzuki,Ryota Yukitake Styling/Shogo Yoshimura Hair&Make/Takeharu Kobayashi Text/Yu Namatame
関連する記事
-
- 2026.08.05
次に来る古着はどれ? アメフトの最高峰リーグ「NFLプリントスウェット」に注目だ
-
- 2026.07.10
次に来る古着はどれ? ネクストヴィンテージは「企業モノスウェット」