スポーツイヤフォンShokzのDNAであるタフさはどうして生まれるか?
深圳の工場や、開発設備を取材して、Shokzのイヤフォンがタフである理由がよく分かった。
中国国内を中心に、世界中から優秀な人材が集まり開発に携わり、クオリティの高い設備で生産していることが、製品品質の向上に繋がっているのだ。生産に関わる人たちの服装や設備が清潔で、ホコリや汚れが付きづらく、落ち着いて精密な作業をできる環境にあれば、必然的に製品クオリティも向上するということだ。
しかし、Shokz製品のタフネスさについては、最近達成されたというわけではない。
ユニットをチタン製フレームで繋ぎ、バッテリーも電子回路もシリコンで覆うShokzの構造は、高い耐久性、対衝撃性、防水性を実現するのに適している。ランニングなどのスポーツシーンにフィットするShokzの耐久性の高さは、いわばShokzのDNAともいうべきものだ。
延々とハードな負荷をかけ続けられるイヤフォンたち
今回、そのShokzの耐久性を実現するテスト部門の取材を行うことができた。
『世界の工場』とも言われる深圳には、さまざまなテストを請け負う企業も存在する。そういう企業にテストを依頼し、規格を取得することも可能だが、自社でテスト部門を持ち、単に規格を通すだけでなく、ユーザーの使用シーンを考えて作ったShokz独自のテストを繰り返し、さらにそこで露呈した欠点をフィードバックして修正することができるからこそ、Shokzのイヤフォンは優れた耐久性を持ち、低い故障率を維持することができるのだ。
たとえば、OpenRunシリーズは、左右のユニットをチタンのフレームで繋ぎ、それをシリコンでコーティングすることで作られている。しかし、チタンフレームが折れたとか、シリコンが剥がれたとかいう問題は一度も聞いたことがない。

それは、ご覧のような機械で、5000回、1万回という回数の折り曲げテストをしているからだ。他社に調査を依頼しているのではなく、自社でテストしているからこそ、妥協なくテストできるし、万が一壊れたとしても、どんな壊れ方をしたか、設計や生産の部門に細かくフィートバックすることができる。

Openfitシリーズもチタンフレームを持っているので、その部分の折り曲げテストが延々と行われる。

こちらはOpenDotsの折り曲げテスト。それぞれのデバイスに応じた治具が作られて、しかるべき部分のテストが行えるようになっている。
こちらは、ボタンの動作テスト。電源ボタンやボリュームボタンの動作を延々とテストしている。

こちらは、ケースの開け閉めに関するテスト。ロボットが規定の回数ケースを開け閉めして、ヒンジなどが劣化しないかを試している。

我々が、ケースを使った時、いつまで経っても「パチン!」と気持ちよく閉まるのは、このテストのおかげだといえる。
右の機械は、USB-Cコネクターの抜き挿しを行うテスター。

もちろん、実際には斜めに挿してしまったり、挿した状態でコネクターに曲げ圧力がかかったりとか、いろいろな状況があるのだろうが、少なくとも数千回に渡る抜き挿しに耐えられるかはここでテストされる。
ポケットで押されたり、落っことされたり
こちらは、もっと現実的な、ズボンのポケットの中に入れて圧力がかかった時に壊れないかを試すテスト。下の布がズボン。布の下のV字型の部分でテンションを調整し、上のゆるいV字の部分の布に製品を挟み込む。そして圧力をかける上の茶色い部分が『お尻』というわけだ。これでなんども繰り返し規定のプレッシャーをかけて製品が壊れないかテストするのだ。

落下についてのテストは、ドラムに入れて回転させる方法でも行われているが(冒頭の動画参照)、手作業でも行われている。数十個のイヤフォンを、1個ずつ落下させ、それを拾い上げ、また落下させるというテストをひたすら続けるのは大変そうだ。

暑かったり、寒かったり、太陽の紫外線に晒されたり
こちらは、温度や湿度を調整して、過酷な環境を再現する機械。高い湿度や高い温度、逆に低すぎる温度など、世界中の気象環境を再現することができる。

さらにその奥には、強力な可視光線や紫外線に晒された状態を再現するテスターがある。強力な可視光線や紫外線を使うことで、通常の使用状況で、何千時間も光に晒したような状況を作り出してテストする。
耐水性に関するテスト機材も興味深い
こちらは、カリフォルニアのアップル社のデュラビリティテスト施設でも見たことのある多方向からの噴水流に対する耐性をテストする機械。IPX5や6の条件を満たすためのテストだ。

対してこちらは、IPX7や8、つまり水に浸けても浸水しないかどうかをテストする施設。水深が1mなら1mの、2mなら2mの円筒の水の中に浸けて、浸水しないかどうかをテストする。

茶色い水は蛍光色素の入った水で、これを使うと、あとでブラックライトを当てた時に、内部に浸水したかどうかを検証することができる。

これは、人工的に作られた『汗』のストック。汗は塩分を含んでおり、 pHも真水とは違う。それをテストするための規定の『人工汗』があるのだそうだ。
円筒の水槽の水ではテストできない、より深い深度の防水性をテストするための施設がこちら。水深50mや100mという深さの水圧を再現できるようになっているのだそうだ。

また、防虫スプレーや、日焼け止め、化粧品などは、普通の水分と違うので、デバイスにより深い影響を与える可能性が高い。それらの新商品が発売されたら、Shokzのイヤフォンに有意な影響がないか、それぞれテストするのだそうだ。

中にはもちろん日本ブランドの化粧品もあった。アップルでは日焼け止めがスマホのガラスのコーティングに大きな影響を与えると言っていたが、ここでは日焼け止めが特に大きな影響を与えるということはないのだそうだ。
まるで、いじめられるかのように、延々とテストされるShokzのデバイスがともすればかわいそうにも思えるが、このテストがあってこそ『壊れにくいShokz』が実現するのだそうだ。
他社のデバイスも、もちろん同じようなテストをしているのだとは思うが、こうやってテスト風景を目の当たりにすると、Shokzの製品がタフであることの理由が納得できる。
(村上タクタ)
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